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![]() 電子展示会と称するサイトで予習していったので、それなりに楽しめた。このようにほとんど図録そのもの、あるいは拡大画像やフキダシ説明があるため図録以上であるというべきサイトは「貴重」である。多謝! ジュネーブ郊外の「マルタン・ボドメール財団」でも「世界の科学・文学・宗教」の貴重書をみたが、今回の展覧会は「和漢の文学書」を中心に編成されたものである。 第一部 学ぶ 古典の継承: まずは「伊勢物語」。最初に出てきた室町時代の写本は読みにくい。ここで「題簽」という恐ろしげな用語を憶える。これは、単に「本の題名のレッテル」なのだそうだから、そろそろ誰にも分かる用語に直したら良いと思う。 伊勢物語の《嵯峨本(古活字本)》が素晴らしい。画はともかく、書体の流麗さに驚く。これが活字! 現在のフォントがいかにつまらないものなのかをあらためて思い知らされる。 ![]() 「古今和歌集」の解釈は、最高の秘伝として一部のものにしか教えなかったらしい。「古今伝授」というばかげたことをしていたとのこと。 「小倉百人一首」のところに来ると、急に元気が出る。なんとか読めるし、カルタのような画まで付いている。なんとこれが菱川師宣の画。体験コーナーでは複製版に触ることもできたが、これは絶対に買いたい。 「平家物語」の《長門本》は素晴らしかった。表紙には金泥で草木が描かれ、赤い「題簽」もパンチが効いている。そして流麗な書体の写本で、9人の筆者名も記されている。「祇園精舎のかねのこゑ・・・」と読んでいけるのだから楽しい。この写本の前を離れにくかった。《光悦謡本》の色変わり料紙や《謡曲三番》の画も美しかった。 「日本書紀」↓や「論語」の立派な活字に感心する。とにかく漢字は分かりやすい。がんばれば内容もちょっとは分かりそう。「白氏文集」も然りである。 ![]() 第二部 集う 知の交流: 江戸時代には学者・文人が集まったコミュニティが形成されていた。しかし屋代弘賢・平田篤胤・狩谷棭斎らはあまり馴染みがない名前である。松平定信の詞書の付いた《輿車図考》は、火をくぐった跡が生々しいが、これこそ「貴重書」である。 大田南畝の《一話一言》は随筆集だが、出ていたところには桜島が「起こし絵」になっていた。同じく大田南畝の《流観百図》は博物集で、サイトの画像と違い《寛政五年 長崎に来るエーセルス》が出ていた。式亭三馬自筆の摺物《落話中興来由》はなかなか巧い。 曲亭馬琴の書簡や《南総里見八犬伝》も出ていた。最近、千葉市美術館で「八犬伝展」を観たばかりなので、目を凝らしてみた。松前侯の侍医であった息子の宗伯の追悼文は泣かせる。大きなパネルに《南総里見八犬伝》の表紙がズラリと並んでいたが、千葉市美術館で観た実物はこれほど大きくないので、このパネルは羊頭狗肉。 山東京伝の《作者胎内十月図》の自筆稿本と版本が出ており、最後の体験コーナーでは模写本を手にとって見られるようになっていた。作品を生み出す苦しみを「産みの苦しみ」に変えてしまい、作者のおなかに入ったタネが次第に成育し、人形になり、無事出産するという桁外れのストーリーである。京伝が北尾政演という名で描いた浮世絵《美人合自筆鏡》もなかなかである。 第三章 楽しむ 絵入りの様々: この章がなんといってもマイ・ベスト。 まず「奈良絵本」から。これは手で描いた彩色写本。《ゆや》は謡曲「熊谷」の清水寺の場。これも体験コーナーで複製に触れられる。《てんじんき》↓は、先週 九博で「国宝 天神さま」展でみたのと同じテーマ。すなわち復讐に燃える菅原道真の雷神。琳派の「風神雷神図」のプロトタイプである。《小袖曾我》の曾我十郎・五郎、《甲陽軍鑑》の信玄と謙信はいずれも美しい。 ![]() 「刷り絵本」では、菱川師宣の作品がいくつも出ていて楽しめた。《奈良名所江戸桜》、《大和絵つくし》、《好色一代男》である。喜多川歌麿の《狂月坊》もとても良く、体験コーナーで複製を手にとって見ることができた。恵美長敏編の《賞春芳》という画譜は拓版画。白黒が逆転した画でパンチがある。 「絵巻物」にも良いものが多かった。お気に入りは《義経欧州下り》。《御馬印》↓も面白かった。 ![]() 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2008-10-22 22:38
| 国内アート
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