国宝 天神さま ＠九州国立博物館

　出張の最終日を利用して、福岡から大宰府へ行ってきた。まずは「大宰府天満宮」↓に参拝。　ついで「宝物殿」を拝観。ここの記念展もなかなか良かった。拝観料は300円であるが、九博では無料拝観券をもらえる。しかし私にとっては後の祭。

　宝物殿の脇から九博への長いエスカレータ・トンネル↓が始まる。　トンネルの両面には、今回の「国宝　天神さま」の広告が大きく掛けられており、期待を高めてくれる。　長いトンネルを過ぎると、そこは博物館だった。山を背景に聳えている。全面ガラス張り。↓　特別展会場の入口↓で、パスポートを提示して入場する。東博に入るときには有難味がないが、ここでは大いに有効である。　いよいよ展示を見る。ここではいつものようなダラダラとした紹介を避けて、もっとも気に入ったものだけを挙げる。

　なんといっても大迫力なのは、《北野天神縁起絵巻　承久本》である。あまりにも有名な絵巻なのでオンラインでも見られるが、実物を見るとアット驚く。まず大きい。通常は横に使う料紙を縦に接いで使っているからである。そして色彩が鮮明である。そして構図がダイナミックで、細部にわたるまで丁寧に描かれている。今回は前期で巻第四・六が出ていた。後期は巻第三・五である。

　左大臣・藤原時平の讒訴を取り上げた醍醐天皇によって大宰府に流され、憤死した菅原道真が雷神となって宮廷を襲うところ（前期の巻六↓）も出ていた。これは、俵屋宗達の《風神雷神図屏風》の原図だともいわれているが、こちらのほうがズット凄い。陰謀に加味した者たちは、落雷死！！！。後期の巻五は↓↓。
　もうひとつの目玉作品は、今回メトロポリタン美術館から里帰りしている《北野天神縁起絵巻》。これはかって井上馨が愛蔵していた作品。冥界を案内する死んだ道真、地獄の業火に焼かれる醍醐天皇↓など、他の天神縁起絵巻には見られない場面が出てくる。ただし前期は巻第三、後期が巻第四である。　和むのは、大阪・道明寺の国宝《十一面観音菩薩立像》↓。道真は幼いときに母の願かけで命を救われたため、観音を信仰しており、この展示作品は道真自身が造り、大阪にいた叔母・覚寿尼に与えたものだという伝承がある。三尺の小さな観音像であるが、見事な出来である。　道真の肖像はいろいろな形で描かれているが、ここでは大阪天満宮の《束帯天神像》↓だけを上げておく。　とにかく百聞は一見に如かず。絶対にお勧めの展覧会である。

　時間がないため、宝物殿と九博を絶食でまわったが、参道で土産に買ったはずの「梅ヶ枝餅」↓を、空腹に耐え切れず大宰府駅のベンチで食べてしまった。餡子が熱いほどで美味かった。５個のお土産が３個に減ってしまったが、ここで餓死すればもって帰れないので、「とら」としては、「まあいいか」とした。 　空港への帰途、西鉄「天神」駅で面白い広告↓を見た。言いえて、妙なり。
美術散歩　管理人　とら

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