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丸木スマは、丸木位里と大道あやの母、丸木俊の義母。昨日、松涛美術館で大道あやの回顧展をみたので、引き続いて丸木スマの回顧展を見て、母娘の画風を比較してみたいと思い、北浦和に遠出した次第。
あやの展覧会には原爆の画が出ていなかったが、スマは、位里・俊夫妻ほどではないが、10点の原爆図を描いており、今回の展覧会にも《ピカの時》という画が出ていた。これは血を流している裸の被害者を、大きな烏が見下ろしている画である。 スマとあやは、いずれも豊かな色彩で、画面一杯におおらかに、身の回りの題材を描いている。太い芯がありながら、無邪気で童心に帰ったような単純な画風である。ただ、単純な「素朴派」と違い、色彩が弾けているようなエネルギーが二人に感じられる。もちろん、細かい点では、二人の画風に差はあるが、共通点のほうがはるかに多い。 共通点が多いのは、楽しいことた悲しいことを通して見つめてきた60ー70年という年月の蓄積が画となって表れているからだろう。 画風の差は、スマは長い年月の経験を一つの画のなかに集約して描いたのに対し、あやはそこに存在するものに集中して、比較的短期間に細密に描いたことからきているのであろう。 作品テーマごとに分類された展示に沿って、お気に入りをあげていく。 1.山里の息吹: 《ふるさと》、《鳥が飛ぶ-三滝の山》は、それなりの画になっている。《太田川の渓流》、《太田川のかに》は、単純な構図で、気持ちが良い。 2.季節はめぐる: 《花見》、《せみが鳴く》、《田楽》、《もちつき》であるが、この章の画はグランマ・モーゼスを思い出すようなものが多かった。洋の東西を問わず、細かいところまで忘れずに描きいれるというのは、「高齢画家風俗画」に共通している。 3.花ひらく: スマは花がうまい。これはあやを上まっている。背景の色を工夫して、花が浮き立つようにしている。本人は、これを「色が張り合う」と言っていた。お気に入りは、《つつじ 赤》、背景の赤・赤椿・鳩と強いコントラスをなす《白椿》、整列した《黄菊白菊》↓、マチィスばりに巧い《花と猫》、ゴッホばりの色彩感覚の《ひまわり》↓など。いずれも素晴らしい。 5.いのちの鼓動: 動物画もスマの得意である。動物を俯瞰した《めし》、外人の作と間違われた《川のかに》↓、《にわとり》、《内海の魚》、《池の友達》、院展4度目の入選作の《簪》(↑ポスター)、太い黒線のめだつ《春駒》などが印象深い。 5.かけがえのない日々: ここでは、前述した《ピカのとき》のほか、《とうろう流し》が被爆者を悼んでいる。無邪気な画を集めた《貼交屏風》もとても良かった。展示されていた《自画像》は、すべて笑顔だった。 今回は、丸木スマの作品と現代作家による作品とのコラボレーションが行われていた。 木彫の植物の須田悦弘、彫刻の安藤栄作、道ばたの花の写真家かわしまよう子の3名が、それぞれに丸木スマの作品に対する思いを語っていた。 丸木スマは、画を描くという生きがいを見出して、「まだまだ死にとうない」と語っていたそうであるが、天は彼女の人生に無残な終止符を打ってしまった。時に81歳。一方。スマにくらべさらに大変な人生を送ってきた大道あやは、100歳の現在を幸せに生きておられる。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2008-08-28 21:26
| 国内アート
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