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辻惟雄氏のいう「奇想の画家たち」のトップに来るのは、臨済宗中興の祖の白隠慧鶴(1685~1768)である。大雅は白隠のもとに参禅し、蕭白は白隠の表現を取り入れ、芦雪は白隠の弟子から学んでいる。
永青文庫の設立者である細川家16代、細川護立(1883~1970)は病弱であったが、白隠が禅の健康法を説いた「夜船閑話」を読み、さらにベルツ医師の治療も役立って健康を取り戻した。このため護立は白隠の書画を収集するようになり、現在、永青文庫にはおよそ300点の白隠が伝わっている。 1.白隠の書画と民衆: 白隠の《自画像》↓では、細い線と太い線、淡い墨と丁寧に書き分けている。その目つきは厳しいが、健康の秘訣などの賛を入れて頂相として弟子に渡したものらしい。 《隻手布袋図》の布袋さまは白隠自身なのだろう。「隻手の音声」という禅の公案に関係しているのだと思われる。 《棒頭猿回図》は長年サルのように働かされている下級武士が文句をいっている姿の風刺らしい。《寿》という墨書は立派。 《隻履達磨図》は巧い。都で死んだはずの達磨が西方から一足だけの履を持って歩いてくる。皇帝が達磨の墓を調べさせると、もう片方の履が出てきたという話に基づいている。 《お福粉挽歌》では、鼻が低く、頬が膨らんだ女が粉を挽いている。その着物には「寿」と梅の花。 《重い杵》の賛には、「杵とは死ねということか」という掛けことば。年貢の高いことの暗喩である。《文殊菩薩図》は獅子の上に乗った菩薩像。 《蓮弁観音図》↓は観音さまがゆったりと蓮の葉の上に休んでいる。その下の波は静か。海上の波をおさめる観音菩薩を描いたものである。 このように白隠の書画は大胆な筆遣いであるが、同時に弱者に対するいたわり、強者に対する戒めを含み、全体としてはほのぼのとした味わいのある戯画となっている。 2.東嶺の気迫: 弟子たちも白隠を継いで、書画を通じて人々に語りかける営みを続けている。東嶺の一行書《則心則仏》には迫力があり、二つの「即」は見事に書き分けられている。 《山水図》は、白隠の画、東嶺の賛であるが、左の丸木橋を普通に渡っていく人に対して、右の二本の丸木を継いで作った橋を這いながら渡る盲人たちのように集中しなければならないことを諭しているようである。類似の丸木橋を渡る盲人を描いた白隠の画は板橋区立美術館で開かれた「戸方庵井上コレクション名品展」で見たことがある。 東嶺のものはこの2点だけで、部屋の中央には白隠の《蓮池観音図》↓。これは墨塗りの背景に白抜きの観音さまなど。素晴らしいアートとなっている。 4.細川護立と白隠の書画: ここには護立が最初に遭遇した白隠の《布袋図》が出ている。多少変色しているが、堂々たる布袋さま。これも「戸方庵井上コレクション名品展」で見た白隠の《布袋図》に似ている。この絵のすぐ後には、先に述べた護立病気快癒と白隠コレクション開始のいきさつを書いた護立自身の文章が展示されていた。 その後は、古い中国陶磁や梅原龍三郎や横山大観の画が飾られたホールになっており、立派な長椅子がおいてある。そこに坐って図録をゆっくりと読んできた。古いが落ち着いた美術館で、良い展覧会を楽しめた。後期にも出かけてみたい。 美術散歩 管理人 とら HP
by cardiacsurgery
| 2008-07-18 22:43
| 江戸絵画(浮世絵以外)
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