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丸沼芸術の森に行ったのは、これが5回目。ワイエス-ワイエス-藤田嗣治-広重-ワイエスの順である。今回は、米国に行っていたワイエスが帰ってきているので、もう一度見に行った次第。
1. 《さらされた場所》習作・・・何種類もの小さな花を描いた美しい習作。クリスティーナはお気に入りのスイトピーを育てていたとのこと。彼女の愛したハーバードの学生の大好きな花だったらしい。 2. 《雨どい(さらされた場所)》習作・・・今回のポスター↑となっている。古いじょうご、配水管、バケツなど、とても画題とはならないようなものをじっくりと描きあげている。クリスティーナの弟でモデルになりたがらなかったアルヴァロの分身のように描いたのだろう。ワイエス・グリーンの草むらも丁寧。 3. 《干草をかき集めるアルヴァロ》・・・これには働くアルヴァロの後姿が描かれているが、画の中心は馬と荷車。農村の風景である。遠くにオルソン・ハウスが見える。 4. 《材木をのこぎりでひくアルヴァロ》・・・これも働くアルヴァロがオルソン・ハウスのそばの草むらの中に溶け込んでいる。 5. 《運搬用そりの上のバケツ》・・・日照りの時に牧場の泉から水を手桶で汲み、木製のソリに乗せて家に運んだ。ここには人物は描かれていないが、アルヴァロの労働の隠喩ではないかと感じられる。強い逆光に照らされたソリとバケツが浮き立つ。 6. 《屋根窓》・・・窓はワイエスにとって窓以上のものであり、窓がそこに住んでいる人たちの肖像として、いわば人格を表しているとのこと。そういう風に見ると、この田舎家がお城のように見えてくる。 7. 《表戸の階段に座るアルヴァロ》・・・彼の休息の場所。他人はだれもここには来なかった。アルヴァロはここでパイプをくゆらせることが楽しみだったとのこと。沈み行く夕日が感じられる。 8. 《階段と表戸》・・・表戸の外に腰をついているのはクリスティーナ。足の悪い彼女はこの階段を上ることができなかった。クリスティーナが2階にいるワイエスにブルーベリー・パイを届ける時も階段の下までくるのがヤットだった。家の中から逆光の外をみるワイエスの想いが込められているようだ。 9. 《オルソンの家》・・・淡青の空と家、緑の草原がとても美しい。ワイエスはこのような美しい光景をいつも見ていたのだろうか。おとぎの国のように感じられる。これは少し抒情的にすぎるといわれるかもしれないが、今回のマイ・ベスト! 10. 《オルソンの家の秋》・・手前の草花が色づく秋を表しているが、この表現には力が入りすぎて抽象表現に近づいている。焦点は、やや遠景のオルソン・ハウスに絞られている。壁の光と影の境界が直線的である。 11. 《オルソン家の納屋の干草置き場》・・・これもアルヴァロの描かれていないが、今にも絵の奥の暗いところから彼がヒョッコリと現れてきそう。柱の間から床に射してくる光と影の境界が鋭い。 12. 《オルソン家の家》・・・中村音代さんのギャラリートーク: 「ゴシック風の田舎家」といわれる代表的な作品。これはアルヴァロの世界の表現である。大鎌は彼の道具。急な屋根の勾配がゴシック建築的。羽目板の一枚一枚数えて書いたという堅牢な画。手前の影、中央の日差し、そしてやや暗いワイエス・グリーンの草むらなど光と影の描き方が絶妙。草むらのスクラッチにも留意。スクラッチのためにファブリアーニ紙を使っている。ワイエスの白は紙の地の色である。ワイエスは死を考えた時に白を使い、生と死、此岸と彼岸の間に黒を使っている。 13. 《オルソンの納屋の内部》・・・再見であるが、何回見ても迫力がある。窓からの光が、ほぼ水平に納屋の中にさしこみ、牛の背中や乳房を照らしている。尻尾の先や床にスクラッチが見える。 14. 《アルヴァロの魚置き場》・・・父ジョーンが作った小屋。暗い室内に置かれた荷車などに海の青が使われているとのこと。しかしそのくらい青と屋外の明るい青との対照は過激であるともいえるほどである。 15. 《アルヴァロの寝室》・・・狭い窓から水平に差し込む光の部分だけが浮き上がっており、あとはよく見えない。白い部分はベッドのシーツなのだろうか。光と闇の世界であるといっても良い。アルヴァロはあくまでクリスティーナの影なのかもしれない。 16. 《海からの風》習作・・・これも再見。見えない風を見えるようにしているところにこの画家の卓抜さがある。カーテンには鳩の刺繍がされていたとのこと。ワイエスが屋根裏部屋で実見した情景。 17. 《クリスティーナの世界》習作・・・ワイエスの代表作の習作にまたお目にかかれた。後姿であるが、ほつれ髪や突っ張った手が印象的である。これはクリスティーナの肖像画以上のもので、彼女の一生を表している。足の不自由なクリスチーナは、両親の墓にお花を供えたり、野菜を採ったりする時には、野原をこのように移動したという。 18. 《薪ストーブ》習作・・・髪を切ったクリスティーナ。戸外から彼女の背中にまでさしてくる光は暖かく柔らかである。薪ストーブの金属の黒とは対照的である。 19. 《オルソン家の台所》・・・これも光と影、白い戸と黒の対照が素晴らしい。光線には方向性が感じられる。靴、箒、薬缶などが細かく描き込まれている。 20. 《青い計量器》・・・再見。青い器とその周囲の差し込む光はまるでレンブラント光線である。器の下の布の質感も素晴らしい。 21. 《青い計量器》習作・・・これも再見。これは光線の角度をもう少し水平に近づけている。その結果、器の一部だけから光が反射してくる。また全体が暗いため、青い器が神秘性を帯びてきている。 22. 《パイ用のブルーベリー》習作・・・青い果物や鉢の明るい部分と暗い部分のコントラストが目立つ。光の進入角度がきちっとしているためである。ブルーベリーの青は素晴らしい。 23. 《穀物袋》・・・中村音代さんのギャラリートーク: アルヴァロの肖像画! 穀物袋に光が当たり、その縁が耳のようになっている。一方、アルヴァロの耳には赤が使われている。こちらは血の通った耳である。ここには自然光はなく、影によって作り出された光だけが存在している。 24. 《豆類の乾燥》・・・光と熱によって干からびてしまった種とうもろこし。真髄のみを残すという究極の描写であろうか。 25.《オルソンの家》・・・これも前回見たと思う。クリスティーナの葬式の日のオルソンハウス。雪に反射する家は淋しく、また神々しく見える。これが丸沼藝術の森から刊行された本の表紙↓となっていた。 須崎勝茂オーナーからは、1)ワイエスが譲ってくれたのは、「若い人に制作過程のデッサンや水彩を見せるために預かるという気持ちである」といったためであること、2)昨年のシンシナチをはじめとする3館での米国展のこと、3)ワイエスがブッシュ大統領から藝術選奨を授与され、5分間もスピーチしたこと、4)明後年には埼玉近美やスウェーデンで展覧会を開くことなどの話があった。 美術散歩 管理人 とら HP
by cardiacsurgery
| 2008-04-21 20:54
| 現代アート(国外)
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