もうひとつの薬師寺展 ＠薬師寺東京別院

　以前に薬師寺東京別院に行った時には、仮住まいであった。今回初めて新しい建物を訪れたが、ビルの一部となってしまっており、不思議な感じである。　靴を脱いで上がる。自分で靴を下駄箱に並べる。もちろん鍵などはない。ここには善男善女しか来ないのである。

　拝観料500円を払って2階に上がると、ロビーの奥に三躯の十一面観音。すべて重文で、迫力がある。フラッシュをたかなければ写真撮影ＯＫ。観音さまの間に隙間があって、横から眺めても良い。　中央が奈良時代のもの。両脇が平安時代のもの。左側のものは猫背でちょっと人間的である。中央の菩薩の画像↓をパンフレットから借用する。　右側の部屋に入ると、左に仏壇があり、金色の背景に５体の重要文化財の仏さまが鎮座しておられる。思わず正座して手を合わせる。↓は下から見上げた仏さま。中央は弥勒菩薩、右は吉祥天、左は毘沙門天。　ちょっと離れて、撮った写真は↓。左手前が文殊菩薩、右奥が地蔵菩薩。下から見上げた仏さまを彫刻という美術品としてみてしまう。　周囲は、塑像残欠、経典、仏画、薬師寺枡など重文で埋め尽くされているが、国宝の天井板には目を見張る。《東塔初重支輪板》である。宝相華が描かれた群青・緑青・朱・白茶などの顔料の色が奈良時代さながらに残っている。
　重文の《大津皇子》は別室に安置されていた。そばには花が生けてあった。その悲劇の人生を悼んでこちらでも手を合わせた。
　東博とは違い、参拝者も少なく、静かな宗教的な環境で仏さまにお会いすることができた。

美術散歩　管理人　とら

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