歌川広重の空摺り《梅花に寿帯鳥》 ＠東京国立博物館

　ルネサンスのバター臭い記事が続いたので、お口直しに浮世絵の話題をいくつか。

　まずは、広重の「空摺り」。　ご存知のように、空摺りとは、版木の凸の部分に絵の具を付けずに、紙を置き、紙に湿り気を与えて、摺る方法である。摺ると、紙に凹凸ができ、立体感が出てくる。



　









　








　そのような摺りなので、空摺りは実物を見てもわかりにくい。絵を斜めから見たりして、光の加減を調整すると浮き出てくる。このブログでもいくつか修整後の画像を紹介したことがある。

　ところが、先月、東博の浮世絵展示室を通ったところ、広重の見事な空摺りに遭遇した。これならば未修整でもブログにアップできるのではないかと思い、シャッターを押した。

　フラッシュなしの写真なので、色調は違うが、右の図では凹凸は出ているように思うが、いかがでしょうか。

　ところで寿帯鳥とは？　綬帯鳥とも呼ばれ、頭に冠状の羽毛があって尾の長い鳥のことだそうです。対応する実在の鳥としてはサンジャク（カラス科）。

美術散歩　管理人　とら