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Singapore Art Galleryは、国立博物館から歩いてすぐのところにある。歴史のある学校の建物を利用しており、外見↓はそれほど目立たないが、木のある中庭↓↓に出て見ると、素晴らしい回廊に囲まれていることが分かる。
1階の企画室では「傅正杰 Feng Zhengjie」の「本色 Primary Colours」を観ることができた。明るい色彩の大画面で、平面的で不思議な表情の人物が描かれている。 2階の他の部屋には「Art of Our Time」というタイトルで館蔵の東南アジア美術が展示されていた。 カンボジアのChin Sothyの《Human making love to Sovanmachha》の人魚・龍・魚・海は美しく、ミャンマーのMin Wae Aungの《Golden 23 Monks》の向こうへ遠ざかっていく僧侶たちの黄色い僧衣が印象的だった。 彫刻としては、ベトナムのNguyen Haiのブロンズ《Hero on a Horse- Saint》、インドネシアのG Sicharta Seogijoの座屈出産木像《Birth of Goddes》の嬰児の頬に付いた血、Julia Llunchの鏡に向き合ったテラコッタ女性像《Thinking Murder》の乳房を押さえる姿などが記憶に残った。 ここで 「思わぬ出会い」 があった。 フィリピンのBrenda Fajordoの対の油彩《American Occupation》 と《Japanese Occupation》は、いずれも平和なフィリピンの生活を描いた周りの沢山の小さな画の中に、大きな戦争画が配置されている。前者では、アメリカ兵によるフィリピン人の銃殺の場面、後者では日本兵と軍艦旗、アメリカ兵と星条旗の間にタンクと路上に横たわるフィリピン人。 これを観ていると、どこからか日本の歌が聞こえてきた。「・・・・の朝ぼらけ・・・」。思わず聞き耳を立てると、続いて「お手てつないで野道を行けば・・・」、そして「君が代」が歌われている。それは展示室の隅に置かれたビデオ作品から聞こえてくるものだった。 そこでその作品を最初から観た。作者はマレーシアのWong Hoy Chorg。タイトルは《Sook Ching- An Experimental Video on Japanese Occupation》。1990年の作品である。 現在80歳ぐらいになっている老人たちの20歳ぐらいのときの記憶の証言に基づいてこのビデオが構成されている。現在の映像と過去の映像が交錯しながら出てくる。戦争で死んだ子供vs幸せな現在の子供、市民が監禁され虐待された狭い収容所vsその前で新婚記念の写真を撮る現代のカップルなどがそれである。タイトルのSook Chingは静粛!ということのようだ。このビデオは過去を忘れさせまいとするこのアーティストの意図が明らかで、ショッキングであった。 じっとこのビデオに見入っている私のところに若いカップルが興味を持って近づいてきた。「これは何か」と聞くので、「日本兵の市民虐待でアート以上のものである。アメリカ兵がイラクでやっていることと同じだが」と答えた。ちょっと反応があったので、「どこから来たの」と聞くと、「I am sorry. We are from US」という答えが返ってきた。そこでわたしも「I am also sorry. I am from Tokyo. But why don't you look at the paintings over there」と答えて、その二人を前述の「アメリカ占領と日本占領」の画の前に連れて行った。そしてしばらくの間、感想を述べあった。「戦争の愚かさ」という結論では意見が一致したように思う。 美術散歩 管理人 とら HP
by cardiacsurgery
| 2008-03-20 10:17
| 東洋アート
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