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これは、「浮世絵の夜景」の関連講演会である。
演者の小池正胤氏は、東京学芸大学名誉教授、大学定年後、外国にある浮世絵の仕事をされ、現在は太田記念美術館の評議員でもある。終了後に伺ったところ昭和5年のお生まれとのこと。 とても力の入った講演で、予定の90分が大幅に延長して135分になってしまった。帰ってネットで調べると、山東京伝、曲亭馬琴などの読本を専門とし、『南総里見八犬伝』岩波文庫版の校訂者として知られる小池 藤五郎教授のご子息で黄表紙研究者となっている。この講演に熱がこもっていた理由も分かるというものである。 参加者にはあらかじめ16枚のA4版のプリントを渡されているが、会場のスクリーンには曲亭馬琴の読本「南総里見八犬伝」に絵師「柳川重信」が描いた夜の場面の口絵や挿絵が反射式プロジェクターで次々と映写されていく。そして、これに基づいて講演が講談を聞いているかのように展開していく。 まず、3枚の口絵《巨鯉にまたがって龍門を上る里見義実と漆毒で皮膚がただれた金碗幸吉》、《主家を乗っ取る悪臣山下定包と悪婦玉梓》、《「ことろことろ遊び」をする子供時代の八剣士と「ヽ大和尚」》が映され、八犬伝の概要が説明される。 この物語は20年以上もかかって出来上がった長編である。岩波文庫でも10冊になる。これに匹敵する長さの物語は「東海道中膝栗毛」くらいで、「源氏物語」はずっと短い。江戸時代にはとても評判になった物語である。明治になって坪内逍遥が「小説神髄」の中で「前時代のもの」と評価して以降あまり読まれなくなったが、最近の浮世絵ブームとともに再評価されてきている。 馬琴はこの物語の執筆中に視力を失い、息子も死んでいたので、嫁の路(みち)が代書した。路の実家は医師であるため、漢字は知っていたとは思われるが、馬琴が字の訓読みを路に教え、路は泣きながらこれをマスターして代書を完了した。 物語は「永亨の乱」に始まる。1489年、管領「足利持氏」は執権「上杉憲実」に攻められて自害した。その際、持氏の二人の子は脱出して、結城友朝の助けを得て結城城に立てこもった。房総の国主「里見季基」と息子の義実は結城氏に味方したが、結局落城した。この際、里見季基は若い義実に二人の臣下をつけて城を脱出させる。 ここで《挿絵↓》が登場。里見義実は三浦半島の入江に辿りつき、対岸の安房に渡るため舟を探すが、漁村の少年に「戦乱のため舟を徴発されて魚取りさえできない」と毒づかれた。突然、群雲が湧いてまわりが暗くなり、稲妻がひかり、海面が波立つ。その時忽然として「白龍」が現れ、南を指して飛び去る。これとともにあたりが明るくなり、海も静まり、小舟に乗った従者の堀内貞行が現れる。 ![]() 義実は安房一国を押さえ、娘「伏姫」が産まれる。伏姫は飼われていた「八房」という大きな犬を可愛がる。義実が敵に囲まれた時、この犬に「敵将の首を取ってきたら、伏姫を与える」と戯れに言ったところ、八房は敵将の首をとってきてしまった。こうして伏姫は八房とともに富山に移っていく。《挿絵↓》では、伏姫は自分の懐胎を知り、「覚えなきことだが」と言いつつ死を覚悟する。そこに飛びくる鉄砲の二つ玉。これは義実の家臣、金碗大輔が撃ったもの。一つは伏姫に、もう一つは八房に当たる。ずっと遠くに見えるのは義実と堀内貞行の主従。 ![]() ![]() 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2008-02-17 23:33
| 浮世絵
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