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この美術館に小村雪岱 Komura Settai の作品が多数所蔵されていることは、以前に《おせん》↓を見たときに知った。それが今回まとめて出品されている。これは雪岱生誕120年を記念しての由であるが、これこそ熊谷守一展の大きな、大きなおまけである。
![]() 1.白と黒の美学―挿絵の世界: 有名な《おせん》の木版の他、《斬るな剣》、《江上路》、そして《遊戯菩薩》・《忠臣蔵》・《月夜の三馬》・《西郷隆盛》の原画。さらに雪岱の挿絵が掲載されている雑誌が所狭しとばかりに陳列されている。この雑誌は坂戸市の岩城邦男コレクションとのこと。 ![]() 《おせん》(詳細→)は開いた傘に隠れるように男から逃げていく黒い御高祖頭巾。細くしなやかな線と意表をつく斬新な構図。息づく江戸情緒がモダンな感覚で表現されている。これが今回は「江戸モダン」と表現されているのだろう。一度見たら忘れられない魅力に取り付かれる。 2.情細やかな意匠―舞台装置の世界このセクションでは、入り口に展示されている《鳥辺山》の男女が迎えてくれる。岡本綺堂の「鳥辺山心中」の主役、江戸侍の半九郎と祇園の遊女お染。原文では、「二人が死にゆく姿について、半九郎に対しては『男の肌は白小袖にて、黒き綸子に色浅黄うら』、お染に対しては『女肌には白無垢や上にむらさき藤の紋、中着緋紗綾に黒繻子の帯、年は十七初花の、雨にしおるる立姿』という唄があるが、事件の起きた時代と歌の作られた時代に差があるため、この物語では二人の服装を一度も説明しなかった」と書かれている。比較するとお染の帯の色以外はこの唄によっているようである。 しかし驚くべきものは、その奥に陳列されている舞台装置の原画の数の多さである。ひとつの演劇の舞台が美しい細長い画として凝縮された形で残っていることに感動する。 《大菩薩峠》、《源氏物語葵の巻》、《一本刀土俵入り》、《汐汲》、《討入曽我》などわたしでも名前を知っているものもあるが、筋書きの分からぬものが半分以上である。キャプションに劇の梗概が書いてあったが、残念ながらとても読みきれない。説明のプリントをお願いしたいところである。 それでも《一本刀土俵入り》の最初に出てくる我孫子屋の場面、《源氏物語葵の巻》の奥庭の群青色と壁の秋草がせめぎあう第二場などの有名な舞台の原画は目を凝らしてみてきた。 3.「雪岱調」の源泉―古典絵画と鏡花文学への憧憬 このセクションがメインである。《見立寒山拾得》↓では、中央の二人の女性が半ば坐って額を合わせている。一人が柏の葉に筆でなにやら書いている。瓜実顔の女性たちは無表情だが、首から下のポーズは魅惑的である。 ![]() ![]() 版画《雪の朝》↓は、まだ薄暗い朝まだき、雪がしんしんと降っている。障子の向こうには明かりが見えるから、もう起きだしているのだろうが物音一つしない。池、羽目板、積雪のそれぞれが微妙に異なる灰色で描かれている。 ![]() ![]() 《湯島夜景》、《筑波》、《河岸》、《深見草》もとても良い木版画である。 さらに着物や帯にも見事なものが出品されていた。 ミュージアムショップに行くと、絶版となっていたと思っていたLampoon HouseのArt RANDOM CLASSICS「小村雪岱」が販売元を変えて廉価で売っているのを発見。飛びつくように購入した。表紙は上述の《見立寒山拾得》↓ ![]() 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2008-02-04 19:13
| 国内アート
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