記事ランキング
ブログパーツ
最新のトラックバック
外部リンク
以前の記事
2021年 01月 2020年 11月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 more... カテゴリ
全体
国外アート 西洋中世美術 ルネサンス バロック 印象派 印象派後期 現代アート(国外) 東洋アート 仏像 国内アート 江戸絵画(浮世絵以外) 浮世絵 近代日本美術 戦争画 現代アート(国内) アート一般 書籍 音楽 映画・写真 講演会 北海道の鈴 東北の鈴 関東の鈴 中部の鈴 関西の鈴 中四国の鈴 九州の鈴 ヨーロッパのベル アジアのベル アメリカのベル オーストラリアのベル 未分類 フォロー中のブログ
検索
その他のジャンル
ファン
ブログジャンル
画像一覧
|
第二次世界大戦中から戦後にかけての版画が243点も展示されている。版画家が戦時をどのように生きたかが興味がある。
ここには戦争中といえども、それに影響されずに作られたと思われる作品が並んでいる。入口にある恩地孝四郎の《『氷島』の著者・萩原朔太郎》は深い皴を刻んだ作家の肖像である。山本鼎らによって始められた創作版画もここまできていたのである。 駒井哲郎の《河岸》では、繊細な対岸の家並みの表現が美しい。前川千帆《浴泉裸婦》は背中向きながら浮世絵風の裸婦像である。戦争たけなわの1943年の作品であるから驚く。 平塚運一の版画が4点出ていたが、切り絵を想起させる。その中でのお気に入りは《斑鳩寺》。 伊東健乃典の《光芒》はキュビスム的であり、川西英の《古道具屋A》はレジェ風である。 山口源の《石垣苺》↓は灰色の石垣と苺の葉の緑と実の紅のコントラストが抜群である。 第2章 奉公する版画 1943年に、大政翼賛会のもとに版画会の統制団体である「日本版画奉公会」が設立されている。この会に所属するものには画材が支給され、軍部や前線への「献納版画」が作られた。 画題として、小泉癸巳夫の《聖峰富嶽三十六景》、川西英の《菊》、奥山儀八郎の《相撲六人衆》や《古式三段構之図》↓などは許容範囲である。 恩地孝四郎の《こまくさ》や熊谷守一の《山百合花》は美しい木版であるが、「詩と版画 軍艦献金作品集成 大東亜の花ごよみ」という題をみると、横山大観が「海山十題」の売り上げで戦闘機を寄付したことを思い出す。 堂本印象の《印像仏画集》は宗教画であって異様な感じはしないが、伊東深水の《ジャワ ジャカルタ郊外》や《ボルネオ マルタプーラ河》は南進する日本軍を直接には描いていないものの、やはり軍部におもねる版画であるといわざるをえない。 一番ひどかったのは、田坂乾の《大東亜会議列席代表像 Hideki Tojo》である。こんなところで東条英機の肖像を見たくなかった。 第3章 戦中の版画本 《書窓版画帖十連聚》では、川西英の《港都情景》と逸見享の《水韻音譜》が良かった。 川上澄生は大好きである。出展されている彼の《いんへるの(るしへる版)》はものすごい迫力。《時計》の表紙も抜群の出来である。 第4章 標本たちの箱庭―加藤太郎と杉原正巳 まず出てくるのがここでも恩地孝四郎。《南海への執念》には生みの静物が散りばめられている。マグリット風のシュールレアリスムなのだろう。 石井鶴三の《都市俯瞰》や《松雪》はなかなか良い。恩地孝四郎の《廃墟》は近美の特集展示「崩壊感覚」で見た。 この頃はアメリカ兵が日本の版画を束で買っていったという。明治維新のころの浮世絵と同様な事象だったらしい。 第6章 戦後―抽象と具象のあいだに 抽象絵画と歩調を合わせるように抽象版画が流行し、川上澄生の作品ですら抽象性を帯びたたものがある。 私としては具象のものが良い。木和村創爾郎の《浅草観音内陣図》、勝平得之の《米作四題より 植乙女(夏)》、畦地梅太郎の《雪渓(長次郎谷)》・・・これは剣岳↓、小野忠重の《工場》などがお気に入り。 棟方志功の《鐘渓頌》は青と赤で裏彩色された多数の木版を貼りこんだもので、迫力がすごい。 優れた企画力に裏打ちされた立派な展覧会だった。 美術散歩 管理人 とら HP
by cardiacsurgery
| 2008-01-21 21:16
| 国内アート
|
ファン申請 |
||