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「三都の女展」の後期。半分以上が入れ替えられており、十分に楽しんできた。しかし往復4時間をかけて行ったのは、それだけではない。後期に展示される甲斐庄楠音の《横櫛》を観るためだった。
甲斐庄楠音の《横櫛》は、昨年6月の新日曜美術館「穢(きたな)い絵だが生きている~大正画壇の鬼才・甲斐庄楠音」でショックを受けた絵だったが、今年の「日本美術が笑う」展でも同名の絵が出ていた。こちらのほうは普通の美人画のようで、二つの絵は違うのではないかと感じた。 前期に行った時に買ってきた今回の展覧会図録には、1916年ごろに描かれた《横櫛》(京都国立近代美術館所蔵)と1918年に描かれ第1回国画創作協会展に出品された《横櫛》(広島県立美術館所蔵)の2点が載っている。 今回の展覧会の「後期展示作品作品解説シート」には、①絵画専門学校の卒業制作「横櫛1」、②第1回国画創作協会展入選作「横櫛2」、③その後の修正作「横櫛3」の3バージョンが存在するように書かれている。残念ながら、今回の高崎に出展されているのは③のみ! 「横櫛1」 1915年、楠音21歳のとき、東京の長兄楠香を訪ね、兄嫁彦子らと本郷座で四代目沢村源之助が切られお富を演じる河竹黙阿弥作「処女翫浮名横櫛(むすめごのみうきなのよこぐし)」を観たが、その数ヵ月後に彦子が他界した。直後、兄嫁とともに見た芝居が、京都でも上演される。 その翌年に、楠音は彦子をイメージしながら「横櫛」を一週間で描き上げた。顔の色は悪く、死相が現れているようにもみえる。襦袢の衿には天女が、地には炎と竜。死を暗示しているようにも思える。これが京都国立近代美術館所蔵のものである。 「横櫛2」 1917年、23歳の楠音は丸岡比呂史のアトリエを訪ねて一緒に制作するようになり、比呂史の妹トクと親しくなって婚約した。 しかし、許嫁であったトクが甲斐庄を捨てて年長の男と結婚するという事件が起こった。その原因はその男が無理強いしたという説と甲斐庄が性同一性障害であったからトクが逃げたという説があるようである。いずれにせよ恨みに思った甲斐庄は、自分の出世作「横櫛1」の背景に「切られのお富」の絵をはめ込んだ。これは、「切られの与三郎」が出てくる「与話情浮名横櫛」を河竹黙阿弥が書換えた狂言「書換処女翫浮名横櫛に出てくる毒婦である。 1918年、村上華岳の勧めにより、第1回国画創作協会展にこの「横櫛2」を出品し、入選している。 「横櫛3」 この「横櫛2」は、後にこの毒婦を消して、短冊と取り替えられ、「横櫛3」となっている。短冊には「こくがさうさくきょうかい たい一かい しゅつひんさく よこぐし」と書かれているので、「横櫛2」を描き換えたものなのであろう。これが広島県立美術館所蔵のものである。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2007-12-07 22:44
| 国内アート
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