東州斎写楽の役者画ー東京国立博物館・本館

　歌舞伎をテーマとした写楽の大首絵20点が勢ぞろいしている。まことに壮観である。お気に入りの画像をアップする。最初の2枚は暗い展示室でフラッシュなしで撮ったので画質は必ずしも良くない。後の2枚は東博のＨＰから借用した。

１．三代目佐野川市松の祇園町の白人おなよと市川冨右衛門の蟹坂藤馬
　寛政6年（1794年5月）、蔦屋重三郎を版元として出版された雲母摺の役者大首絵23枚の1枚。都座で上演された《花菖蒲文禄曽我》で、敵討ちに味方する素人娼婦「おなよ」が敵の手下「蟹坂藤馬」の刀に手をかけるところ。

２．二代目瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木
　寛政6年（1794年5月）、蔦屋重三郎を版元として出版された雲母摺の役者大首絵23枚の1枚。都座で上演された《花菖蒲文禄曽我》で、敵討ちを助ける武士「大岸蔵人」の奥方「やどり木」を演じている。

３．市川鰕蔵の竹村定之進
　河原座で上演された《恋女房染分手綱》を題材とした作品。竹村定之進は丹波国由留木家の能役者で、不義の罪を犯した娘「重の井」の身代わりに切腹するという悲痛な役どころ。
４．三代目大谷鬼治の奴江戸兵衛
　《恋女房染分手綱》を画題としたもの。市川男女蔵演じる「奴一平」の用金を奪おうと襲い掛かる「江戸兵衛」を描いている。江戸兵衛は、悪人「鷲塚官太夫」とその弟「八平次」に加担し、丹波の城主由留木家家臣「伊達与作」の下僕一平から用金を奪う。この大判錦絵は最近千葉市美術館の美術館ボランティア展でも観た。美術出版社の「浮世絵の歴史」の表紙にもなっている有名作品。


美術散歩　管理人　とら