平成30年 新指定 国宝・重要文化財 ＠本館 8室・11室
期日： 2018年4月17日（火） ～ 2018年5月6日（日）
平成30（2018）年に新たに指定される国宝5件、重要文化財50件と、追加・統合指定された重要文化財3件の、58件を展示（写真パネル展示8件含む）。
主な出品作品
国宝 紙本著色日月四季山水図 室町時代・15世紀 大阪・天野山金剛寺蔵
六曲一双の屏風で、重要文化財だったものがこの度、国宝になった。 動感あふれる構成に、大らかな加飾と鮮やかな色彩が共鳴し、独特の迫力を生み出している本作品。荒海を囲む山並みに、右から左へと四季のうつろいが表され、右隻には金の太陽が、左隻には銀の月が配されている。やまと絵の特質が際立つ優品。
国宝 木造千手観音立像（蓮華王院本堂安置）鎌倉時代・13世紀 京都・妙法院蔵
前後10列の階段状の壇上に整然と並ぶ等身大の1000体の観音立像は圧巻で、堂内は、さながら“仏像の森”、三十三間堂ならではの特徴。各像は、頭上に十一の顔をつけ、両脇に40手をもつ通形で、中尊同様の造像法で作られている。 千体の中、124体は、お堂が創建された平安期の尊像、その他が、鎌倉期に16年かけて再興された像。その約500体には作者名が残され、運慶、快慶で有名な慶派をはじめ、院派、円派と呼ばれる当時の造仏に携わる多くの集団が国家的規模で参加したことが伺える。
国宝 紺紙金字大宝積経巻第三十二（高麗国金字大蔵経）高麗時代・統和4年(1006) 京都国立博物館蔵
高麗の統和二十四年（穆宗九年、一〇〇六）穆宗の母后千秋王太后が寵臣金致陽と同心発願して書写せしめた紺紙金字一切経の唯一の遺巻で、その端厳な書風は北宋前期の書法を伝えている。高麗の装飾経の現存最古の遺品であり、殊にその見返絵は成立年代を明らかにする高麗最古の紙本絵画として価値が高い。なお見返には朱筆で嘉慶二年八月権律師豪憲の施入記があり、本経が古くより請来され、南北朝時代末には湖東の金剛輪寺にあったことを伝えている。
国宝 菅浦文書／菅浦与大浦下庄堺絵図 鎌倉～江戸時代・13～18世紀 滋賀・須賀神社蔵
琵琶湖の北岸滋賀県伊香郡菅浦の地に伝来した区有文書で、鎌倉時代より江戸時代に至る総数千二百七十九点を存している。その内容は菅浦の歴史を反映し多岐にわたっているが、特に「惣」を中心とする中世村落の規模を具体的に伝えた文書として、わが国歴史上にその価値が高い。絵図は鎌倉から南北朝時代にかけて隣接する寺門円満院領大浦庄と庄内唯一の田地である日差・諸河の地をめぐる堺相論の際に作製されたもので、山門檀那院領として竹生島の支配の下にあった菅浦庄の庄域や、竹生島都久夫須麻神社の社頭景観等を簡略ではあるがよく描写して注目される。
重要文化財 紙本墨画淡彩 野々宮図 岩佐勝以筆 江戸時代・17世紀 東京・出光美術館蔵
周囲の秋草が繁茂する黒木の鳥居の下に光源氏が前方に視線を送っている。晩秋、伊勢下向を控えた元恋人の六条御息所を嵯峨野に訪ね、変わらぬ恋慕の情を伝えようとするところである。光源氏がこれから会う御息所の姿を省略し、時間を少し繰り上げた場面として描いているところに又兵衛の工夫がみられる。
重要文化財 木造雲中供養菩薩像 平安時代・11世紀 文化庁蔵
僧侶の姿で雲に乗る像。浮彫的な技法を用いている。元来は平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩像の一躯だったとされる。鳳凰堂が建立された天喜元年（1053）の作で、定朝が主宰する造像として価値がある。
重要文化財 薄黄縮緬地鷹衝立文様友禅染振袖 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
淡い黄色で染められた凹凸のある風合いの縮緬地に、友禅染と刺繍の技法を用いた振袖で、鷹と衝立を色彩豊かに大胆な構図で表している。また、衝立の中に表されている梅は、途切れながらも枝振りのよい一本の立木を表現。 文様表現と友禅染の技術の点から見ても優れている作品である。
重要文化財 キトラ古墳壁画 五面 飛鳥時代 文部科学省
天井には三重の円同心（内規・赤道・外規）と黄道、その内側には北斗七星などの星座が描かれ、傾斜部には西に月像、東に日像を配した本格的な天文図がある。この天文図は、現存するものでは東アジア最古の天文図。 描かれている星の総数は、277個である。
東西南北の四壁の中央に四神の青龍、白虎、朱雀、玄武が描かれている。東壁の青龍と西壁の白虎は右向きであり、すなわち青龍は南壁の朱雀のほうを向いており、白虎は北壁の玄武のほうを向いている。
重要文化財 和田三造 南風 明治時代 東京国立近代美術館
荒れた海の上、雲のかかる島を背に、4人の男が船に乗っている。たくましい体つきの男は堂々と立っている。頭に被っているシャツは風になびき、太陽がつくる影はくっきりとしている。煙草を手にした男の視線は上のほうへ、手ぬぐいを頭に巻いた男は顔を右のほうへ向けていいる。帽子の男は膝を抱えて座り、他の3人とは雰囲気が違う。和田三造は、19歳の頃に乗った大島通いの帆前船が難破し漂流したことがある。この作品はその体験をもとに制作したもの。嵐に遭遇したにも関わらず、描かれた男たちは荒れた海を力強く進んでいる。こうした勇壮さは日露戦争後の高揚した気分によく合っていて、当時評判を呼んだ。
重要文化財 伊藤若冲 果蔬涅槃図 江戸時代 京都国立博物館
大根を釈迦に見立て、入滅を嘆き悲しむ菩薩や羅漢、動物・鳥をさまざまな京野菜や果物で、そして沙羅双樹を玉蜀黍であらわした見立て涅槃図。もと京都・誓願寺の什物だった。この画は涅槃図のパロディではない。伊藤若冲は、相国寺に「動植綵絵」30幅を精魂こめて描き贈るほど敬虔な仏教徒であった。この見立て涅槃図は、安永8年（1779）の若冲の母の死を契機とし、母の成仏と家業の繁栄を祈ったものとみるべきである。もちろん、若冲が京都・錦小路の青物問屋の跡継ぎとして生まれ育ったことと無関係ではない。ユーモラスな表情をみせながら、活気に満ちた大画面。コクのある中墨の面と線、潔い濃墨のアクセント。若冲は、「動植綵絵」のような着色花鳥画ばかりでなく、水墨画にも新しい境地を拓いている。
重要文化財 円山応挙 瀑布図 江戸時代・安永元年四月 相国寺
非常に長い軸の下部が引きずるように曲げて掛けられている。このようにすると、滝の部分は垂直に、滝壺の部分は水平になる。すなわち、これは応挙の「三次元の仕掛け」である。滝の音がしないのは不思議。
重要文化財 交趾大亀香合 明時代 藤田美術館
傳三郎が死亡する直前に手に入ったとの知らせが来た大名物。ちなみみ、入手価格は現在の9億円に相当。
重要文化財 夜叉神立像 平安時代前期 2躯 京都・教王護国寺蔵
「夜叉神立像」(重文)は、弘法大師が刻んだともいい、かつて南大門の左右に安置されていた。旅人の失礼に罰を与えたため中門に遷されたとのこと。室町時代、1596年、中門倒壊後、夜叉神堂が建てられ遷された。両像ともに目をむき、眼光鋭く異形の表情をしている。東の炎髪の「阿形」(193㎝)は、「雄夜叉」であり、「文殊菩薩」を本地仏とする。西の巻髪の「吽形」(204㎝)は、「雌夜叉」であり、「虚空蔵菩薩」を本地仏とする。2体共に両手、足先は失われ、腰に獣皮(木造)を巻く。体部分に空いた無数の孔は、蜂の巣跡という。桧材、一木造。
重要文化財 源氏物語（池田本） 鎌倉時代・13～14世紀 奈良・天理大学蔵
重要文化財 平清盛請文 平安時代・12世紀 文化庁蔵
重要文化財 茨城県三昧塚古墳出土品 古墳時代中～後期・5～6世紀 茨城県蔵
重要文化財 江戸幕府書物方関係資料 江戸時代・17世紀～19世紀 国立公文書館蔵
参照美術散歩 管理人 とら
