記事ランキング
ブログパーツ
最新のトラックバック
外部リンク
以前の記事
2021年 01月 2020年 11月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 more... カテゴリ
全体
国外アート 西洋中世美術 ルネサンス バロック 印象派 印象派後期 現代アート(国外) 東洋アート 仏像 国内アート 江戸絵画(浮世絵以外) 浮世絵 近代日本美術 戦争画 現代アート(国内) アート一般 書籍 音楽 映画・写真 講演会 北海道の鈴 東北の鈴 関東の鈴 中部の鈴 関西の鈴 中四国の鈴 九州の鈴 ヨーロッパのベル アジアのベル アメリカのベル オーストラリアのベル 未分類 フォロー中のブログ
検索
その他のジャンル
ファン
ブログジャンル
画像一覧
|
【番宣】ディエゴ・ベラスケス《セビーリャの水売り》
これは 縦106cm横82cmの油彩画。道端で水を売っている貧しい老人が、気高い人物のように描かれたこの作品。中でもグラスの水の描写は圧巻!若者が描いたとは思えない、とんでもない完成度である。 【メモ】「美の巨人たち」2018/4/14 再放送 ディエゴ・ベラスケスの《セビーリャの水売り》は、イギリスのアプスリーハウスに収蔵されている縦106cm、横82cmの油彩画で、ベラスケス20歳の時の傑作です。 ディエゴ・ベラスケスは、1599年にスペイン南部のセビーリャで下級貴族の血を引く家に生まれた。11歳の時にセビーリャを代表する文化人で画家のフランシスコ・パチェーコの工房に入り絵を学んだ。 類まれなる才能を認められたベラスケスは、18歳でパチェーコの娘フアナと結婚し、翌年に長女フランシスカが生まれた。若き日のベラスケスは「ボデゴン」と呼ばれる庶民の風俗と静物を組み合わせた厨房画を数多く描いている。 若き日のベラスケス 圧倒的な描写力 《卵を料理する老女》はベラスケスが19歳の時に描いた作品。ベラスケスは2人の人物にスポットライトのような強い光をあて、小道具の一つ一つを極めて丹念に描きこんでいる。 スコットランドナショナルギャラリー エイドリアン・ルイス学芸員曰く:ベラスケスの初期作品は技術的に見ても大変優れている。ずば抜けた描写力はごく普通の人物や物ですら何か特別な力をもっているように見せてしまう。 1年後、20歳になったベラスケスは《セビーリャの水売り》を描き上げた。 6つの放物線 「セビーリャの水売り」の中には6つの放物線が隠されている。 1)3人の人物をおさめた山なりの放物線 2)水売りの身体の放物線 3)手前の壺の放物線 4)グラスの輪郭の放物線 5)小さな壺の放物線 6)大きな壺の下側の放物線 これらの6つの放物線は構図に安定感をもたらし、人物とその仕草を繋げる役割を担っている。 アプスリーハウス ジョセフィン・オクスリーチーフ学芸員曰く:確実に二つの壺の位置には人物との関連性が考慮されていると思われる。老人と少年の視線は合っていないが、二つの壺の位置によって繋げられている。 視線と奥行きの魔術 老人の視線をたどると、グラスを通りこしてデコボコした壺に向かっている。一方、少年の頬の滑らかな肌は右下の素焼きの壺と対応している。この2つの視線が交わったところに描かれているのがグラスの水。隠された交差する線が私たちの目をグラスに引き付けている。 画面の一番手前は素焼きの壺の表面に描かれた水滴はキャンバスから飛び出しているように描かれている。この一滴の雫から素焼きの壺、その奥に使い込まれた木の机、陶器の壺と水売りの老人、さらにグラスの水と二人の手、少年、背景ににじむように描かれた男の姿。この幾重にも重ねられた奥行きが画面に途方もない深みを与えている。これがベラスケスが作り上げた筆の魔術である。 ベネチアングラスの謎 アプスリーハウス ジョセフィン・オクスリー チーフ学芸員曰く: 描かれているのは高価なベネチアングラス。地味で貧しい水売りが普段使うようなものではない。なぜベラスケスは豪華なベネチアングラスを描いたのか。 老人は背筋を真っすぐに伸ばし威厳にみちた面持ちでグラスの水を見つめている。受け取る少年の表情は限りなく真剣。暑い日差しの中で一杯の水を求める夏の風物とは思えない静けさをたたえている。 アプスリーハウス ジョセフィン・オクスリー チーフ学芸員 曰く:ベラスケスはこの水売りを気高い人物として描きたかったのである。そこに宗教的な意味をみいだすことも可能である。洗礼の様子を表しているという説もある。 キリスト教の世界では、水は罪を洗い清める純潔の象徴です。ベラスケスは入信の時の洗礼の儀式を暗示させるように「セビーリャの水売り」を描いたのかもしれない。 ベラスケスの野望 ベラスケスは20代の前半に2度に渡ってマドリードを訪問している。その時に携えていたのが《セビーリャの水売り》だったと言われている。 そして、ベラスケスは24歳の若さで国王付きの画家になることができた。 スペイン王フェリペ4世曰く:王家の肖像画はディエゴ・ベラスケスにのみ描かせる。 国王フェリペ4世の寵愛を一身にあびたベラスケスは、数々の傑作を残していくことになった。「王の画家にして画家の王」と呼ばれた。その原点となったのが王宮で称賛をあびた《セビーリャの水売り》である。 《セビーリャの水売り》は、なぜイギリスのロンドンにあるのでしょうか? 数奇な運命をたどって 初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーは、ナポレオン戦争で軍功を重ね、最終的に1815年のワーテルローの戦いでは同い年のナポレオンと会戦し、彼を打ち破った軍人として知られる。 サー・トマス・ローレンス《初代ウェリントン公爵の肖像》1814年 ジョゼフ・ボナパルト(フランス語: Joseph Bonaparte、1768年1月7日 - 1844年7月28日)は、ナポレオン・ボナパルトの兄。 時のスペインの王フェルナンド7世は、ナポレオン軍に勝利した功績をたたえ絵画コレクションをウェリントン公爵に与えた。その中に《セビーリャの水売り》が含まれていた。 こうして《セビーリャの水売り》は、ロンドンのウェリントン卿美術館の所蔵となったのである。 本作は制作されてから長い年月が経ったので、変色などの傷みが厳しかったが、1959年に修復された。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2018-04-14 23:42
| バロック
|
ファン申請 |
||