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Ⅰ.“偽文化財”を楽しむ @朝日新聞
2018年1月5日付の朝日新聞朝刊の「社説余滴」欄に、「大牟田透」科学社説担当の「“偽文化財”を楽しむ」という文章が載っていた。 その実例として挙げられていたフェルメールの「真珠の耳飾りの女」の高精細複製画は、東京藝術大学の宮廻正明教授らが手掛けたものとのことだった。 大牟田科学社説担当が昨年暮れに参加された朝日新聞の社説「文化財の活用 / 万全の保存」(12月19日付掲載)に関する論説会議で、「文化庁の審議会が地域おこしなどをにらみ、文化財に関する様々な規制を緩める答申をまとめたのを機に、保存がおろそかにならないように主張する社説(案)」に対し、大牟田氏が「クローンという手をもっと考えても良いのではないか」と発言したが、「お金がかかる」との反論もあって社説には盛り込まれなかったとのことである。 今回の「社説余滴」では、大牟田氏は「クローンはオリジナルを損なうことなく、気楽に鑑賞できる」「国際的な名画を間近で得心のいくまで眺められる」「国宝級の仏像を手に取ることができる」「貴重な文化財を宝の持ち腐れにせず広く一般の人に魅力を届ける」などの利点があるため、「クローンには大きな可能性があるのではないか」としている。 大牟田氏は、「技術が、先達の文化的果実を一般に広め、感じ・味わう楽しみを知った人々がオリジナルとのより深い出会いに赴くという技術と人間の幸せな関係を夢見る」という文でこの「社説余滴」を締めくくっておられた。 Ⅱ.クローン文化財 @學士會会報 折しも暮れに「學士會会報 第928号 2018年1月」が届き、そのp.8-15には、東京藝術大学・宮廻正明教授の論説「クローン文化財‐法隆寺金堂壁画・釈迦三尊像の再現‐」が載っていたので、ここにその内容の一部を紹介させていただく。 東京藝術大学では、劣化が進行しつつある、あるいは永遠に失われてしまった文化財の本来の姿を現代に甦らせ、未来に継承していくたもの試みとして、文化財をクローンとして復元する技術を開発し、特許を取得した。 クローン文化財の制作は、オリジナル作品の3D計測や高精細撮影によって空間・形状・質感・色彩についての精緻なデータを所得することに始まり、これらのデータをデジタル編集・加工し、コンピュータ上で文化財の復元データを完成させ、特殊な印刷紙に印刷したり、3Dプリンターで像の原形を制作したりする。 次に鋳物・日本画・彫金などの伝統技術を有する専門家が、オリジナル作品の色彩や質感を感じ取り、伝統技術に則って鋳造したり彩色したりして、仕上げていく。 クローン文化財は、①オリジナル作品が生まれた時の鮮やかな色彩を復元でき、②一定期間クローン作品を展示することによってオリジナル作品が保護され、③戦争や災害で失われた文化財をクローンという形で蘇らせることができる という三つの価値を有している。 宮廻教授らは、1949年に火災により焼損した法隆寺の金堂壁画十二面の、クローン復元に挑戦した。 「法隆寺の金堂壁画は反転すると重なる」と言われてきたが、復元に際してデジタル画像で試したところ、三号壁と四号壁が裏腹になるなど十二面それぞれが対応していたので、見比べて欠損部を補った。 宮廻教授らは、法隆寺金堂釈迦三尊像の再現にも取り組んだ。まずは金堂内で3Dスキャナー撮影を行い、その画像データを元に3Dプリンターを用いて樹脂で立体を作り、高岡市で鋳物に成形した。この鋳物を藝大に持ち帰って、手仕事で仕上げた。 Ⅲ.別品の祈り展 @東京藝術大学大学美術館陳列館 2014年4月26日~6月22日に東京藝術大学大学美術館で開かれていた「法隆寺展」と同時開催された「別品の祈り展」では、法隆寺金堂壁画の四面と三面が入れ替わっており、八面と十一面も酷似しているとされていたので、以下に「別品の祈り展」のブログ記事を再掲する。 館外に出ると、陳列館で「別品の祈り 法隆寺金堂壁画」をやっていることに気付いた(↓右)。 まずは2Fへ。そこには新しい技術で製作された法隆寺金堂壁画が部屋一面に飾られていた。焼損前に撮影されたガラス乾板やコロタイプ印刷、画家による模写、壁画複製特許技術を組み合わせて制作↓されたものということだったが、技術の進歩を実体験した。 手前の部屋では「映像Ⅱa:焼損前復元」と「映像Ⅱb:反転画像」が見られた。 前者では、各壁画の「焼損後写真/焼損前写真/復元写真」を並べて示されており、後者では、第5号壁画の反転像は第2号壁画で、第4号壁画の反転像がは第3号壁画であり、第8号壁画と第11号壁画の反転像も部分的に一致することが示された。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2018-01-05 11:31
| アート一般
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