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第Ⅴ章 <明末四和尚>
遺民画家の中でも出家して僧籍に入った四人の画家は「四画僧」あるいは「四和尚」と呼ばれている。 1)漸江 漸江(ぜんこう)は、郷里の山・黄山に親しみ、渇筆の輪郭線で対象を描いた。白描風の清澄な画風によって、元の倪瓚の再来ともてはやされた。 ・漸江《竹岸蘆浦図巻》清 順治9年(1652) 紙本墨画 泉屋博古館 29 ・漸江《江山無尽図巻》順治18年(1661)紙本墨画淡彩 泉屋博古館 30 この《江山無尽図巻》では、木の葉は紅葉らしく茶色、松の葉は緑、そして遠くの山は青く塗られている。遠山の向こうに理想郷があるかのように描いているのである。 2)石渓 石渓の最も優れた次の2作品が展示されていた。 ・石渓《達磨図巻》清 康煕4年(1665) 紙本墨画淡彩 泉屋博古館 32 ・石渓《報恩寺図》清 康煕2年(1663) 紙本墨画淡彩 泉屋博古館 31 3)石濤 黄山を描いた石濤の2作品が並べて展示されていた。 ・石濤《黄山八勝図冊》清 17世紀 紙本墨画淡彩 泉屋博古館 40‐7 重文 今期は全八図中の第七図(↓)が出ていた。手前の小峰に描かれた特徴的な枝ぶりの松は黄山名所の「擾龍松」。 ・石濤《黄山図巻》清 康煕38年(1699)泉屋博古館、42 重文 「天都峯」を右に眺め「蓮華峯」を左に臨む麓の山道を籠をやる人々が小さく描かれている(↓)。 唐代からある青緑山水図では、手前に茶・赤茶、真中に緑、遠くに青を置くというルールがあったが、この画では石濤はそのルールを無視している。 谷を埋めて流れくる雲霧の向こうに、瀑布がかかり、その上の雲を突き破って金色の高峰が聳え立っている。一人の高士は立って「垂直状の瀑布」を眺めており、もう一人の高士は下流に曲がり落ちる「S字状の瀧」を眺めている。二人の高士は独立していて、互いに干渉することがない、 4)八大山人 明の王族出身で出家した八大山人の《安晩帖》は、淡々とした筆致の中に、苦難の末に達した画家の老境をうかがわせる作品である。中国絵画は擬人化が得意ではなかったが、八大山人は早くから擬人化した動物を描いていた。 ・八大山人《安晩帖》清 康煕33年(1694)紙本墨画(淡彩)泉屋博古館37 重文 ・八大山人《書画合璧巻》清 17~18世紀 紙本墨画 泉屋博古館39 八大山人の書は懐素の草書の力強さを歌う李白の歌を写しており、画は菫其昌・黄公望・菫源という南宋画の系譜から学んでいる。書の懐素、画の黄公望という二人の先人を一図中に踏まえて、自らの世界を創りだしたこの作品はまさに「書画合璧巻」であるといえる。 第Ⅵ章<清初の正統派、四王呉惲> 個性的な「四画僧」に対して、「四王呉惲」は正統派。 1)四王=王時敏+王原祁+王翬+王鑑 ・王時敏《江山蕭寺図巻》明 崇禎8年(1635)紙本墨画 文化庁 重美 ・王原祁《倣元末四大家山水図》清 17世紀 紙本墨画(淡彩) 京都国立博物館 前期のみ展示。 本図では、乾筆の擦皴を主体に捺染をまじえ、墨色中心ながらも、王原祁画の特色である明るい色彩感覚も示している。具体的には、四幅のうち、右二幅は色を使っていて、左二幅には色は使われていない。その構成は、董其昌の主張する「勢」の表現を重視し、軽快な皴法とあいまって律動感に溢れている。 ・王翬《関同晴麓横雲図》清 17世紀 絹本墨画淡彩 個人蔵 ・王翬《倣趙令穣江村平遠図巻》清 康煕51年(1712)京都国立博物館 ちなみに四王のうちもう一人は「王鑑」の作品は今回出ていなかった。 2)呉惲=呉歴+惲寿平 呉歴はイエズス会の宣教師だった。惲寿平は、菫其昌の画風を継承する正統を伝える一方、華麗な没骨着色の花鳥画に新生面を開いた奇想派でもある。 ・呉歴《秋景山水図巻》清 康煕32年(1693)紙本着色 泉屋博古館、47 重美 群青・緑青・代赭を厚く施した彩色は、中国伝統の青緑山水の手法を用いたともいえるが、西洋画の鮮やかな色彩の影響があるかもしれない。 ・惲寿平《山水画冊》清 康煕26年(1687)紙本墨画(淡彩)泉屋博古館、44‐9 先人たちのおかげでこのように素晴らしい中国絵画の名品が日本に残った。本当にありがたいことだと思う。 美術散歩 管理人 とら 【参考】 ・典雅と奇想 明末清初の中国名画展 第1報 @泉屋博古館分館 ・典雅と奇想 明末清初の中国名画展 第2報 @泉屋博古館分館 ・典雅と奇想 明末清初の中国名画展 第3報 @泉屋博古館分館 ・典雅と奇想 明末清初の中国名画展 第4報 @泉屋博古館分館
by cardiacsurgery
| 2017-12-06 15:21
| 東洋アート
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