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これは、2017年7月23日に放送された「NHKスペシャル」・「列島誕生ジオ・ジャパン 第1集:奇跡の島はこうして生まれた」のメモ。ちなみに、「列島誕生ジオ・ジャパン 第2集:奇跡の島は山国となった」の記事はこちらである。
最新研究は、日本列島が地球史上まれな大事件が4つも重なって誕生したことを明らかにした。 まず、日本列島が大陸から引きちぎられた。そして、関東に南から続々と迫りくる火山島の連続衝突が日本を一つにした。また、地球最大規模の噴火が紀伊半島で起こり、世界中の気温を10度も下げた。そして、東北で突如起こった大地の隆起によって、日本は世界有数の山国に変貌した。これほどの大事件が4つも相次いだのは、地球上日本列島のあるこの場所だけなのである。 1.引きちぎられた大地「ジオ・ジャパン」は、私たちが今暮らすこの日本列島誕生のドラマに迫る番組であるが、和食と日本各地の絶景の中に日本列島の成り立ちを探っていくため、番組中に「ジオ御膳」が用意されていた。全国各地に絶景があるのも、和食が奥深い味なのも、全てこの日本列島が世界の中でも特別な奇跡の島だからと考えられたからである。 最初に用意された前菜は「富山湾のホタルイカの旬菜和え」。このホタルイカを食べられるのも、日本列島の特別さと深い関係がある。ホタルイカのふるさと富山湾のすぐ向こうに見えるのは、日本の屋根・北アルプスであるが、この風景がホタルイカのおいしさを作ったのである。 ホタルイカ取りは、春の盛りに、岸のすぐ近くで行われている。こんな沿岸でホタルイカが取れるのは日本だけである。ホタルイカは深海で暮らすために、青い光を発している。 ![]() ホタルイカのおいしさにも海のすぐそばに高い山があるという日本独特の地形が深く関わっている。 ![]() 日本列島の成り立ちを研究している火山学者・巽好幸氏の意見は次のようである。「日本は世界で見て特別な場所である。まず非常に特別な形をしている。特に強調したいのは、山が高く、雨が多く、豊かな自然があるため、いろいろな生物が住んでいる。土地が多様だし、生命も多様だ」。 最新の科学は、日本列島誕生に4大事件があったことを明らかにした。第1の大事件は、大地が引きちぎられるという激動である。この最初の大事件の様子を今に伝える絶景が日本海沿岸にいくつも残っている。 新潟県佐渡の「尖閣湾」に残っている直角に切り立った崖の荒々しい岩肌(↓)、鳥取県の「浦富海岸」の15kmにもわたって続く断崖絶壁(↓↓)、青森県の「仏ヶ浦」の高さ50mもの白い奇岩林立(↓↓↓)などがそれである。 ![]() ![]() ![]() 日本列島誕生の秘密を40年にわたって調べ続けている乙藤さんは、火山がつくる岩、すなわち「火成岩」に注目した。 高温の溶岩や火山灰の中に含まれる鉄は、冷えるとその時の北の向きを永久に記録する。いわば方位磁石の化石である。大地が動くと記録された北の向きもずれていくので、磁石のずれを調べれば大地がどう動いたかが分かる。乙藤さんは全国を回り岩石を採取し、僅かに残った磁力から方位磁石の化石の向きを調べた結果、不思議な傾向が見つかった。1500万年前より古い岩石では西日本と東日本で岩石に記録された北の向きが異なっていたのである。岩石に含まれる方位磁石はもともと同じ北を向いていたはずだから、大地が回転したのである。この回転に日本列島誕生の秘密が隠されている。 それを教えてくれるのが飛騨川の流れが深く大地を削ってできた12kmにわたる峡谷「飛水峡」である(↓)。 ![]() ではそこからどのようにして大海原に浮かぶ今の日本列島になったのか。答えは1つ。大陸の縁が引きちぎられて海へと出てきたのである。その証拠が日本海の沿岸に残るあの断崖絶壁に見られる。いくつもの筋が残る荒々しい岩肌は、とてつもない力で大地が引きちぎられてできた地形だと考えられる。 方位磁石の化石が教えてくれた謎の回転は何を意味していたのだろうか。昔の日本列島は大陸にあり、もともとの方位磁石の向きは同じように北を向いていたはずである。ここから乙藤さんたちは大胆な仮説を考えた。大陸の縁にあった日本の東日本は反時計回りに、西日本は時計回りに別々に回転しながら引きちぎられたという説である。 激動の始まりは今からおよそ3000万年前、恐竜が絶滅したあとの哺乳類の時代である。8mもある地球史上最大の哺乳類たちが温暖な大陸で暮らしていた。この大地に突然亀裂が入り、ここからその後数百万年の時をかけて裂けていったと考えられる。大陸の真ん中で大地が割れる事はあっても大陸の縁が引きちぎられるのは地球史上ではまれな現象である。 そしておよそ2500万年前、大陸の裂け目は更に広がり、ついに太平洋から海水が入り込んできた。これが日本海のもととなる巨大な入江で、さらに数百万年かけて陸地が大陸から引きちぎられ、日本列島のもとが「2つ」に分かれて海へと出ていった。 そのころの海底には、長さ数百kmにも及ぶ亀裂ができていた。大地を引きちぎった力は海底にも働いて、割れ目が広がり、深い海がつくられた。これがホタルイカを育む深海の誕生である。 日本海の拡大が止むと、今度は海底火山が次々と出現し、大噴火が繰り返された。白い火山灰が1000m以上も積もり、その白い火山灰が青森県下北半島仏ヶ浦の絶景をつくり上げた。火山灰はもろいため風雨に削られ世にも珍しい不思議な地形となったのである。 列島誕生第1の大事件は、このように大陸の縁が2つに分かれて引きちぎられるという地球史上極めてまれな大激変だった。そうして生み出された日本列島では、1500万年前、「2本」の島々として位置が定まった。 日本海の海底地形図を見ると、ジグソーパズルのように大陸に当てはまる部位がある。これはもともと大陸の一部で、日本海ができて日本列島が移動していた際に、動いてはきたが、途中で取り残されてしまった場所なのである。この海底構造や岩石を調べると、大陸の中のそれらと一致したので、大陸の破片であることが確定した。また、1500万年前の日本列島を見ると、2つには分かれているものの、おぼろげに西日本の原形が見えてきている。 「ジオ御膳」の「甘エビの金箔のせ」は(↓)、この第1の大事件のおかげで生まれたといえる。 ![]() 大陸の縁が引きちぎられるという地球史上まれな出来事が起こったのはなぜだろうか。その謎を解く鍵が東京から1800km離れた絶海の孤島・南鳥島にあった。 ![]() 太平洋プレートが西方に動くのに、日本列島が逆向きの東方に引きちぎられたのは、太平洋プレートが特別なプレートだからである。地球の表面を覆う十数枚の岩盤プレートの中最大のものが太平洋プレートで、このプレートの西端に接していたことが日本列島の運命を決めたと考える研究者がいる。地球物理学者の吉田晶樹さんは、最新のコンピューターシミュレーションを使って太平洋プレートの動きを再現している。 右側から潜り込んでいる太平洋プレートは地球最大のプレートで、厚さは100kmもありきわめて重い。そのため日本付近では自重で下へ沈んでいく。側面を押された重い太平洋プレートが沈み込みを続けることで右向きの強い流れが生まれる。プレートが沈み込むとその時生まれる流れに引きずられてユーラシア大陸は次第に薄くなり、ついにちぎれる。日本列島誕生第1の大事件は、地球最大の太平洋プレートが大陸の縁に接していたことで起こった。この運命的な場所で、地球の歴史上類いまれな大陸の引きちぎりが起きて、日本列島が誕生したのである。 1500万年前の日本列島では、日本はまだ「2本」だった。ところがその後奇跡的な大事件が起こって日本は一つにつながった。これこそ日本列島を奇跡の大地にした第2の大事件である。 日本が2本だった頃、富士山を取り巻く南関東の山々の辺りは海だった。現在の風景は第2の大事件、すなわち「火山島の連続衝突」によってつくられた。 東京から南に650kmの海に浮かぶゴツゴツした岩肌が海面からまるで塔のように突き出た高さ100mもの奇岩「孀婦岩」(↓)も、この第2の大事件と深く関わっている。 ![]() 丹沢山地の標高400mの場所になぜ海の中の化石や溶岩があるのだろうか。丹沢のはるか南の伊豆や小笠原の島々にこれら2つが見つかる場所があった。その中の一つである三宅島は、活火山の島で、至る所に溶岩があり、海にはサンゴもある。丹沢ももともとこうした南の海の火山島だったのである。これら南の海の火山島こそ第2の大事件の主役である。 この火山島は、水中から見ると広大な裾野を持つ巨大な海底火山である。先ほど紹介した孀婦岩も、海底から2200mも盛り上がった巨大な火山である。伊豆の火山島は関東の方に向かって一直線に並んでいる。この並び方こそが第2の大事件を引き起こしたのである。 この火山島の列もともとここにあった訳ではない。時間を戻して見てみると、この火山島の列はずっと西にあった。2500万年前には今の沖縄辺りに並んでいた。この頃、太平洋プレートによる大陸の引きちぎりが始まり、それと同時に火山島を載せた「フィリピン海プレート」も東に引っ張られていった。日本列島が現在の位置に定まった頃、フィリピン海プレートの動きも止まり、火山島は北に向かって並ぶことになった。 その直後、今度はプレートが北に向かって動き始めた。「プレートの進む向き」が北、「火山島の列の向き」も北という偶然の一致によって火山島は同じ場所へ連続的に衝突していったのである。 地球史上まれな火山島の連続衝突の様子を再現してみると、日本列島がまだ「2本」だった頃、関東の辺りは東日本と西日本を隔てる海峡だった。その南の沖合には火山島が1列に並んでいた。海底から見れば、どれも巨大な火山で、火山島の周囲ではひっきりなしに「枕状溶岩」が生まれていた。浅い海にはサンゴ礁が発達していた。そして1500万年前には、フィリピン海プレートが北に向かって動き出した。これが奇跡の始まりで、1列に並んだ火山島が次々と「西日本と東日本の間」へと向かっていった。500万年前ごろには、丹沢山地のもととなる島々がぶつかった。島の周囲のサンゴ礁も海底の溶岩も陸地の高い所へ押し上げられていった。丹沢の山中にサンゴの化石や枕状溶岩があるのはこの大事件の名残である。空から見ると、この光景は連続衝突の規模の大きさを物語っている。最も初期に衝突した火山島が櫛形山地になった。その後やって来たのが御坂山地になり、続いて丹沢山地、最後の衝突で伊豆半島ができた。 このように、日本列島誕生第2の大事件は、2つに分かれていた日本の間を偶然埋めるように起こった火山島の連続衝突だった。火山島が当たったのは西日本の端だったが、これはその後大いに役立つことになる。火山島が連続衝突して生まれた山々からは大量の土砂が流れ出したのである。その土砂は2本に分かれていた日本の間の海を埋め今の関東平野のもととなった。 およそ500万年前、偶然起こった火山島の連続衝突により、それまで2つに分かれていた日本列島が1本につながった。この第2の事件「火山島の連続衝突」がもたらした恵みが、ジオ御膳の「キンメダイの炙りお造り」である。 フィリピン海プレートと大陸との境界の海中には、「海溝」という深い部分ができており、それに伊豆がぶつかることで海溝が深い所が曲がって陸地の真横すぐそばまで来ている。 ![]() ![]() 用意したデザートは「桜餅」。「桜と富士山」は日本の絶景の代名詞だが、その風景も火山島の連続衝突が生んだものである。春に、伊豆半島の沖合25kmにある伊豆大島を一斉に白く染めるのは「オオシマザクラ」で、伊豆の島々で進化を遂げ大きな花を咲かせるようになったのであるが、香りが豊かなため桜餅にはこの桜の葉が使われている。 伊豆半島のもとがぶつかってきた時、この島の桜も一緒に本州にもたらされたと考えられている。このオオシマザクラが本州にあった桜と交配する事で大きな花をたくさん咲かせる見事な桜が生まれた。それが大きな花を咲かせるオオシマザクラの特徴を引き継いだ「ソメイヨシノ」である。 富士山も火山島の衝突がもたらしたものである。伊豆の島々がぶつかり続けることで、大量のマグマがこの場所で生まれ、日本一の山ができたのである。このように、人々を魅了する富士山と桜の姿はかつて東西2つに分かれていた日本が一つになったことを物語る絶景なのである。 日本列島の誕生の陰に起こった4つの大事件には、まだ残り2つの大事件があるが、それは次回の放送で取り上げる。「列島誕生ジオ・ジャパン」の次回は、日本列島が完成する物語である。大陸から切り離され大海原に出てきたばかりの日本列島には、山はほとんどなかった。そこに地球史上最大規模の噴火が起こり、更には激しい隆起によって日本列島は大変貌を遂げついに山国日本が完成したのである。 【出演者】神戸大学教授・巽好幸、劇団ひとり、HKT48・指原莉乃、【キャスター】和久田麻由子 ![]()
by cardiacsurgery
| 2017-07-25 10:31
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