ブリューゲル×大友克洋 @NHK Eテレ 日曜美術館

2017年5月28日の日曜美術館では、ブリューゲルの《バベルの塔》の内部構造に迫った二つのアプローチ が紹介された。

その1は、マンガ家・大友克洋で、日曜美術館「ブリューゲル×大友克洋」の番宣では次のように紹介されている。

「バベルの塔」を漫画家・大友克洋が語る。16世紀、激動の時代を生きたブリューゲルが絵に込めたメッセージとは？自らバベルの塔の内側を描いた大友が発見したものとは？

16世紀にヨーロッパで活躍したピーテル・ブリューゲルの代表作「バベルの塔」。60cm×75cmの1枚に1400人が緻密に描き込まれている。激動の時代を生き抜いたブリューゲルが絵に込めたメッセージとは何だったのか。緻密でどこか不気味なブリューゲルの作品世界に大きな影響を受け、自らもバベルの塔の内部を描いた作品を制作した漫画家・大友克洋をスタジオに招き、存分に話を聞く。

【ゲスト】漫画家・大友克洋【司会】井浦新、高橋美鈴

その２は、東京藝術大学研究室で行われている《バベルの塔》の内部構造分析である。こちらのほうは番宣で無視されている。

実際にも、その１、その２の順序で放送された。

その１．ブリューゲル×大友克洋細密描写のブリューゲル《バベルの塔》には、1400人もの人が描き込まれているが、大友氏はその人々は塔内で生活していたかもしれないと考え、塔の内部がどうなっているかを検討してみた。そして今年出来上がったのが《INSIDE BABEL》である。大友氏が《INSIDE BABEL》の制作過程を仔細に説明。第一に、トレーシングペーパーで《ブリューゲルの塔》の詳細を転写する。次に、塔の内部も回転状構造になっていると考えて、その見取図を作る。内部は、下部が狭く、上部にいくほど広い構造になっていると考える。最終的な内部構造案は（↓）のようである。この場合、塔外から塔内は’↓）のように見える。これに着色したものが、今回完成したINSIDE BABELである。それでは、その細部を見ていこう。内部には水路が作られている。この水路は海につながっていて、建築資材や生活物資の輸送に役立つ。ここらでちょいと一息。大友氏が以前からブリューゲルに関心を寄せていたことが紹介された。↓はその一例。その２．東京藝術大学研究室

東京藝術大学研究室ではコンピューターによるバベルの塔の画像解析が行われている。バベルの塔の横断図は次のように正円形ではなく、前方に伸びた形になっている。このように歪なバベルの塔と正円形に修正した塔を並べてみると、（↓）のようになる。これを応用して作った立体模型が（↓右）である。ブリューゲル作のバベルの塔では、各階の縦のつながりがスムースであるが、立体模型ではつながりがズレている。このズレは立体模型を横から見ると一目で分かる。最後に、大友氏のマンガが登場。とても楽しめる好番組だった。

【参照】バベルの塔展のブログ①、ブログ②

美術散歩　管理人　とら