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聖バレンタインデーに旧友からチョコレートと一緒に2冊の本が送られてきた。一冊は谷崎潤一郎著の「陰翳礼讃」でこれについては簡単なブログ記事を書いた。もう一冊がこの上野誠著「大和三山の古代」講談社, 2008 - 217 ページである。
プロローグこの本のPR文は下記。 香具山、畝傍山、耳成山からなる大和三山。奈良県橿原市に位置し、いにしえより心の原郷として日本人に愛されてきたこの山々には、人々のどんな思いが込められているのだろうか。特定の場所に、神話・伝説・物語・歌は堆積する。本書は、それらをとおして、この地に重層した歴史の記憶やイメージを鮮やかに読み解いてゆく。清新な切り口で挑む国文学の冒険―そして、古代は新たな姿を我々の前に現す。このブログでは、今までに読み終わった第一章についてだけ述べることとしたい。 奈良県立万葉研究所に勤めている著者の許にファクスが届き、奈良文化財研究所による藤原宮の発掘現場に赴いた。 そこで対面したのは「平瓶(ひらか)」すなわち須恵器の平たい壺だった。 その中に入っていたのは、六個の「富本銭」と六個の「水晶」。 富本銭には亀甲状に七曜が配されている。七曜は、日(陽)・月(陰)と木・火・土・金・水で、中国の「陰陽五行説」に基づいている。富本銭の亀甲状の配列は、陰陽の二つの気と五行の循環の妙を表し、陰陽五行の調和のとれた天下泰平を象徴している。 壬申の乱に勝ち抜いた天武天皇は、684年に新しい都の造営地を「藤井が原」すなわち「藤原」に決定した。しかし686年に天武天皇が崩御し、その妻だった持統天皇が藤井が原への遷都を実現させた。 持統天皇は藤原への行幸を繰り返し、そのたびに「地鎮祭」を施行した。土地の神々を畏怖していた古代人は、神々を慰撫するために祭祀すなわち地鎮祭を行っていたのである。 今回出土した銅銭と水晶の数「九」は、奇数を尊ぶ文化圏では「最大」あるいは「無限」を意味している。陽数を重要視する中国では、九月九日が重陽の節として祝われ、それが日本にも伝来し定着している。 藤原宮は大和三山のほぼ中心にあたる場所に築かれている。「万葉集」巻一は、①「藤原新宮殿造営賛歌」、②「藤原遷都後明日香空白歌」、③「藤原新宮殿完成賛歌」の順に長歌を並べている。 この「藤原新宮殿完成賛歌」の一つである「藤原宮の御井の歌」では、「藤原宮の御井」が周囲の景観を展望する最適の場所であることが示されている。 歌われた景観としては、まず「香久山」、次に「畝傍山」、「耳成山」という大和三山、続いて「吉野山」が出てくる。藤原宮は大和三山を鎮める位置にあるが、歌では、「東」に香久山、「西」に畝傍山、「北」に耳成山、「南」に吉野山と表現されているのである。 「長歌」では、以上の遠景歌に次いで、最後に近景歌の「藤原宮御井」が登場する。一方「短歌」では、藤原宮新宮殿に仕える女性たちが歌われている。 「藤原新宮殿完成賛歌」である「藤原宮の御井の歌」の景は、新宮の景観を理想化したもので、その景は「陰陽五行思想」あるいはそれに準拠した「風水思想」によるものと思われる。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2017-02-27 10:37
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