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展覧会「シカゴ ウェストンコレクションの肉筆浮世絵~美の饗宴」については、こちらに書いた。
大変立派な展覧会だったが、前回のブログでは個別の作品について触れる余裕がなかった。そこで、今回は初代歌川豊国 の二十四枚揃物《時世粧百姿図》について、まとめてみることとした。 ここでは江戸の女性の衣装、化粧、髪型の多様性に目が行くが、これらは専門家に任せ(参照1.2,3,4,5,6)ここでは各図の構成の説明に止めたい。 各図の画像は展覧会図録やYouTube動画には載っているが、著作権の関係でブログでは省略せざるをえないので、参考のために小さなイメージアイコンを載せさせていただいた。 ◆76-1 官女 春霞と桜の花をバックに立つ官女が十二単に檜扇を携えた姿で描かれている。 ![]() 中老が奥方と老女に相見え、節句の祝として紅白の真綿を献上する。竹の花入れには桜と山吹が活けられ、その脇には袱紗のかかった煙草盆を持つ小姓と御側が控える。 ![]() 妾が気晴らしに狂言師を呼んでの一興。舞踊の扇二本を後ろ帯に差し、三味線を操る踊りの師匠とその弟子が「春駒」を舞う。妾はそれを見ながら盃を傾け、そばの御次に話しかけている。 ![]() 裕福な商家の婦女子たちが春の陽気に満ち溢れたの隅田川の堤防を散策。杖を持った姑と連れ立つ母親に、摘み取った土筆を嬉しそうに取り上げて見せる娘。風呂敷の包を小脇に抱え、娘とともにしゃがんでいた年増の女中が娘の無邪気さを笑っている。 ![]() 紺地に「喜撰」と書かれた水茶屋の店先で、団扇を提げた浴衣姿の芸者風の女に寄り添って、客から来た文を言づけているのはこの店の茶屋女。店内の腰掛では、常夏の鉢の蔭で猫が居眠りをしている。屋外の縁台では、日傘を立て掛けて腰を下ろした神楽巫女が茶を呑んでおり、その前を子を背負った枝豆売りの女が枝豆を入れた平笊を抱えて通り過ぎている。 ![]() 縁側には紅いサツキの大鉢が置かれ、庭の垣根には卯の花、空にはホトトギスが飛んでいる。旦那が亡くなったこの家では、巫女を仏間に呼んで口寄せを行っている。巫女と向き合う格好で大きな臀部を突き出し、煤けた足の裏を見せながら遺児を抱えて泣いているのは女中。その左側に座っている当の未亡人はキセルを立てたまま外へ顔を向けており、女中を挟んで右側に座った姑が軽薄な嫁の挙動をたしなめている。 ![]() 柳の幹に、浴衣に仕立てるために伸子張を施した素槍霞に落雁模様の新しい反物が掛り、その下にも糸を解いた麻の葉鹿子の生地を異国張りにした二枚の戸板が山形に立て掛けてある。右側の少女に背負われていた幼児が、母親に抱き留められようとしている。囲い者らしい左側の女は、瞽女が杖を振りながら三味線を抱えて来るのを見て、含み笑いを浮かべている。 ![]() 料理屋の見世先行燈には「仕出し仕候」「千客万来」などの文字が見える。店脇の井戸から汲み出した水を両天秤の水桶一杯に担いだ力持ちの女は「おさん」とよばれる水仕の女中。その前を歩くのは、くわえ楊枝に印半纏を着たの職人風の女房で、料理屋に頼んだ刺身を受け取って帰るところで、これを嗅ぎつけた野良犬がすかさず駆け寄っている。画面反対を行く二人連れの女は湯帰りで、その前を花売り婆が売り声を張り上げながら歩いていく。 ![]() 座敷の一室で、小間物売りの女が風呂敷の中から品物を広げ、女たちが嬉々として品定めをしている。描かれた三人の女性は大奥で奥女中たちに仕える女中。女たちは笄や簪を手に取って吟味している。左上の離れたところに黒紋付を着て正座している牛のような体躯の女は女中頭。絵の右下には、最近の役者絵が見える。 ![]() 楊弓場と呼ばれる遊技場の店先とその往来を描いている。葦簀を掛けた棟続きの二軒の矢場には、矢場女が一人ずつ常駐している。二つの店を仕切る板壁には「御持参物 はきもの 御用心」の貼り紙があり、後ろへ少し寄り掛るように立って客待ちする若い方の娘は、後ろ手に熨斗菱の描かれた団扇を持つ。その往来を黒い紗の羽織に短刀を帯して扇子を提げた後家と水浅黄の単衣を着た武家奉公の老女がすれ違う。 ![]() 壁に名前が書かれた黒札が掛っており、芸者の置屋らしい。一人の芸者らしき女が、女髪結いに自分の島田を作らせながら、傍らで常磐津のおさらいをする小娘に片手間の拍子をつけてやっている。二棹の三味線が掛けられた右の壁に貼られた美しい絵はパンフレットから切りとったもの。奥の台所では、母親が火吹き竹を用いて鍋の火を焚いている。左端のまな板の上へ包丁とともに置かれた曲物のへりに記された文字で作品の制作年が分かる。 ![]() 木陰の下に莚を広げ、田植えの済んだ青田を横目に煙草を吸いながら、雑談をする二人の女。軽食の入った盥を頭上に掲げ、左手に薬缶を提げた年増がその傍を通りかかる。 ![]() 妓楼から茶屋へと赴く花魁の道中を描く。対の禿を従えた花魁を先頭に、留袖新造と遣手が続く。背後には、常夜灯のたそや行燈と防火用の天水桶という道具立。 ![]() 新吉原仲之町には毎年数千本の桜が移植され、雛節句とその翌日は花魁、遊客、見物人でごった返した。本図は茶屋の二階からその光景を捉えている。中央の芸者と向かって左の芸者は、二人一組の茶屋お抱えの吉原芸者である。紋付を着た茶屋の女将は、階下の通りを歩いてきた顔馴染みへ声を掛けている。背後の座敷には、鯛の大皿や煮物が乗った朱塗りの食台、簡素な膳が並び、右奥には、太鼓が見える。 ![]() 茶屋の二階座敷に設けられた割り床で、客をとる呼出しとその朋輩などを描く。蚊帳の中では、寝間着姿の遊女が、茣蓙の上に腰を下ろして懐紙をとっている。蚊帳の外には朋輩の遊女が立っており、右手で着物の褄をたくし上げ、楊枝を使いながら、中の女に話しかけている。廊下には、食べ物を運ぶ女中が別の呼出しに話しかけている。 ![]() 河岸見世とは、吉原の中心部から外れたどぶ沿いにあった店の総称で、ここには河岸見世にあった小格子の昼見世を描く。格子の間から遣いに出た禿の帰りを認める遊女、格子横では、三人の遊女が手すりから身を乗り出すようにして女易者の辻占を聞いている。 ![]() 品川は、飯盛女の枠で遊女を置くことが黙認された半官許の遊里として栄えた。本図は、沖に面した妓楼の裏手から船客を送り出したところ。遠ざかる船を見送って一息つく三人の遊女。向かって右には姉女郎と火入れを抱えた禿が描かれている。 ![]() こちらも品川だが、出格子のある部屋の中に格の低い六人の遊女が描かれている。三味線を抱えた女が端唄を口ずさみ、湯上がりの女三人が茹で蟹を貪っている。窓辺に腰掛ける女の脇には大森、大森の麦藁細工製の煙草入れが置かれている。左側の女が頬杖をついて海を眺めており、牛頭天王の祭礼で配られた団扇を肘に敷いている。 ![]() 深川の置屋の二階を描いている。右の二階の段梯子を降りようとしている着物姿は、呼ばれて身支度を整えた私娼。室内で待機している浴衣姿の女を右から反時計回りに見ていくと、①鏡台の前で顔に白粉を塗っている女、②二の腕に据えた灸の熱さに顔をしかめている女、③鏡台の脇で文に目を通す女、④煎じ薬を茶碗に注いでいる女である。 ![]() 料理屋の廊下に掛かっている白抜きで「〇(葭)田屋」と書かれた柿渋の暖簾を潜って出てきたのは、派遣された呼出しの遊女。その後ろに付いてきたは文遣いの坊主禿。暖簾の右側には二枚の戸板が立ててあり、その前の畳床に揃いの黒紋付を着た二人の禿が控えている。片方はすでに眠りこけており、前の板張りには、三味線箱、遊女の名札束ね、食事の済んだ台の物が並んでいる。 ![]() 一間しかない狭い個室に、女郎が一人づつ常駐して、客をとる形式の店を局見世という。こごでは、これから風呂へ行き、身支度にとりかかる女たちとそれを局見世内から見送る女たちの様子を描いている。局女郎たちの見世が並ぶ前の通りはすべて板張りとなっている。 ![]() 川岸の材木石材置場に現れたのは二人の夜鷹。春柳の葉には二匹の蝙蝠が戯れている。右下には、夜鷹と客を当て込んだ屋台の屋根が見える。 ![]() 船饅頭とは、船上で客をとる下級娼婦のこと。ここでは、肩に手拭いを掛け、苫船の船尾に立って秋の夜風にあたる女が描かれ、夜空には三日月がかかっている。背景の左側には、浅草米蔵の倉庫、右側には、吾妻橋が見える。 ![]() 「内証」とは、帳場兼居間のこと。袖なし羽織を着た妓楼の女将は、銭函を背にし、長火鉢を前にして、煙管を弄りながら坊主禿に肩揉みさせている。その目の前には、反物の包を開けてみている二人の女と一人の振袖新造が立っている。女将の左側の長火鉢の上には、広島薬缶と四つの個人名入り急須が乗っている。 ![]()
by cardiacsurgery
| 2017-02-28 10:19
| 浮世絵
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