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今日の日曜美術館は汝窯青磁の解説と現在東洋陶磁美術館で開催中の特別展「台北 國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆」のPR番組だった。
一方、日曜美術館の前宣の文章は次のようになっている。 世界に九十点ほどしか現存しない青磁「汝窯」。千年ほど前の中国北宋に奇跡的に出現した汝窯の独特の色合い「天青色」に心奪われた皇帝や陶芸家の物語。中国北宋時代、芸術文化の黄金時代を造り上げた皇帝・徽宗が造らせた最高の青磁「汝窯」。北宋の滅亡と共に僅か30年で姿を消しました。世界中に現存するのは僅か九十点あまり。天青色という独特な青い色合いと、しっとりとした質感を再現しようと、後の清朝皇帝も再現を試みますが果たせませんでした。釉薬の配合、窯で焼く温度の設定、冷却時間など、わからないことだらけの汝窯の再現に今また、日本人が挑みます。【ゲスト】現代美術作家・杉本博司氏と大阪市立東洋陶磁美術館・出川哲朗館長 【司会】井浦新と伊東敏恵 以下はこの番組のメモである。 現在、大阪の東洋陶磁美術館では、台北の国立故宮博物院所蔵の汝窯青磁が5点、東洋陶磁美術館所蔵の1点と合わせて、合計6点の青磁を見ることができる。 •1 青磁無紋水仙盆 汝窯 台北 高6.7㎝、口径23.0×16.4㎝(↓)杉本博司氏曰く「台北の《青磁無紋水仙盆》を見ると、青磁自身から光を放っているようにも感じられる」。 徽宗の時代は、北宋の首都・開封に、文化黄金期の華が開いた時代で、汝窯青磁が作られた。北京の故宮博物院所蔵の《青磁三足洗》の美しさは格別で、後年これを模した《倣青磁樽》が作られた。 徽宗の時代に作られた汝窯青磁は、稲藁を焼いた藁灰を主原料とした釉薬を使い、高温の窯で酸素不足の不完全燃焼によって生じる美しい青色を特徴としている。これは「天晴色」すなわち「雨過天晴雲破処」と表現された微妙な淡青色である。 「天晴色」については、杉本博司氏は「雲が切れた時に差し込んでくる光の色」と捉えられていたが、出川哲郎館長は「雨後に晴れてしまった明るい空の色とも考えられる」という意見だった。 杉本博司氏から「汝窯青磁では貫入の差を問題にしているが、現代美術では文様が少なくなり、色や形を見ている」という興味ある意見が出された。 清の乾隆帝は、コレクションの《汝窯青磁水仙盆》台北故宮博物院を愛し、その底面に乾隆御製詩(火器すべてなく葆光あり)を刻ませている。 ちなみに、乾隆帝の御製詩の火器は日本語の炻器(せっき)、英語の石器(stoneware)に当たると考えられる。 炻器とは英語stoneware(石器)の訳語であるが、窯を使い、1200~1300℃の温度で焼成され、磁器と陶器の中間的性質を示すもので、釉薬の有無にかかわらず、透光性・吸水性ともにないものを指す。ただし炻器の原語であるstonewareは西洋陶磁の用語であり、東洋陶磁の分類概念とは必ずしも一致しない。一方「葆光」の由来は、荘子・斉物論第二(24)(↓)に基づく。 故 知 止 其 所 不 知 。至 矣 。孰 知 不 言 之 辯 。不 道 之 道 。若 有 能 知 。此 之 謂 天 府 。注 焉 而 不 滿 。酌 焉 而 不 竭 。而 不 知 其 所 由 來 。此 之 謂 葆 光 。また、「葆」の意味は、「①草木がしげるさま、②保つ・守る・保護する(=保)、③たから・貴重なもの、④羽飾り・包む 」となっている(参照)。 このように考えて始皇帝の御製詩(火器すべてなく葆光あり)を和訳すると「汝窯青磁を見ていると、炻器にはない包まれた宝の光が感じられる」となる。 清の滅亡に伴い、汝窯青磁は国外に流出したが、これによって汝窯の研究や発掘調査が進んだ。 1987年、河南省の農村で青磁片が発見され、ここが汝窯の窯跡であるとされた。ここに失敗作の破片多数存在していたことは、汝窯青磁の製作が非常に難しかったことを意味している。 汝窯青磁の胎土や釉薬についても分かってきた。 汝窯青磁の検査では、多数の気泡があって、これに当たった光が乱反射することが分かった。さらに、気泡周囲にカルシウムや石灰の結晶があり、これらも汝窯青磁に美しさをもたらしていることが判明した。 現在でもこの汝窯青磁の再現に挑む陶芸家がいる。 川瀬忍は、汝窯青磁の形の単純さと曲線の柔らかさに魅かれ、青磁の花碗や大鉢を制作しているが、汝窯青磁のことをそれを作らせた北宋の徽宗皇帝にちなんで「徽宗さん」と呼んでいる。 岐阜県土岐市で青白磁を制作してきた塚本満も、汝窯青磁の再現に挑戦している。胎土の選定、釉薬の配合・量・掛け方、焼入れの温度・時間・還元度などの組合せは無限にあり、汝窯青磁再現は道遠しの段階である。 番組の最後は2人のゲストの言葉で締めくくられた。 ・出川哲朗館長曰く「天青色は無限の世界である」。以下は、大阪市立東洋陶磁美術館のホームページ特別展「台北 國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆」からの抜粋である。 【主な出品作品】 •1 青磁無紋水仙盆 汝窯 北宋・11世紀末~12世紀初 高6.7㎝、口径23.0×16.4㎝ 台北 國立故宮博物院(↓) •2 青磁水仙盆 汝窯 北宋・11世紀末~12世紀初 高5.7㎝、口径23.1×15.2㎝ 台北 國立故宮博物院 •3 青磁水仙盆 汝窯 北宋・11世紀末~12世紀初 高6.8㎝、口径23.1×15.8㎝ 台北 國立故宮博物院 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2017-02-12 10:57
| 国外アート
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