ティツィアーノとヴェネツィア派展 ＠東京都美術館

暖かい日曜日。東京都美術館で開かれている「ティツィアーノとヴェネツィア派展」に行ってきました。目的は16年振りにティツィアーノの《フローラ》に再会するためです。ちなみに、今までに行った類似の展覧会は次の通りです。

#1 フィレンツェとヴェネチア　＠国立西洋美術館 1999-03　

#2 ヴェネツィア絵画展　＠上野の森美術館 2001-03

#3 イタリア・ルネッサンス‐宮廷と都市の文化展　＠国立西洋美術館 2001-03

#4 栄光のルネッサンスから華麗なロココまで ＠茨城県近代美術館 2006-07

#5 ヴェネツィア絵画のきらめき @BUNKAMURA 2007-09

以下、章別に今回の展覧会のお気に入り作品を挙げていく（参照）。

Ⅰ　1460－1515｜ヴェネツィア、もうひとつのルネサンス

・ジョヴァンニ・ベッリーニ　聖母子（フリッツォーニの聖母）1470年頃　ヴェネツィア、コッレール美術館　テンペラ・板⇒カンヴァスに移し替え本作は、かつてベルガモのフリッツォーニ家のコレクションにあったため、「フリッツォーニの聖母」と呼ばれる。手摺の向こうに半身の聖母像を配する構図は、ビザンティンのイコンに基づく。

・ティツィアーノ・ヴェチェリオ　復活のキリスト　1510－12年頃　フィレンツェ　ウフィツィ美術館赤い十字の付いたついた「復活の旗」を手に、大地に立つキリストの姿が描かれている。

Ⅱ　1515－1550｜ティツィアーノの時代

・ティツィアーノ・ヴェチェリオ　フローラ　1515年頃　フィレンツェ　ウフィツィ美術館：再見(#3)右手に左から薔薇・菫・ジャスミンの花束を持ち、右手の薬指に結婚のシンポルの指輪をはめている。キラキラと輝く金髪赤いマントの模様・パルマ・イル・ヴェキオ　ユディット　1525年頃　フィレンツェ　ウフィツィ美術館　ホロフェルネスの首をもつユディトが描かれている。女性のふくよかな体格や白い肌、豊かな金髪、また大きく開いた襟ぐりやたっぷりとした袖が印象的である。

・セバティアーノ・デル・ビオンボ　男の肖像　1511年以前　ナポリ、カポディモンテ美術館：男は手に「笛」を持っている。

・ロッコ・マルコーニと共同制作者　聖カタリナの神秘の結婚、聖ヒエロニムスと大修道院長聖アントニウス　1520年代　ヴィチェンツァ、キエリカ―ティ宮絵画館：左に指輪をキリストからはめて貰ってる聖カタリナ。彼女のアトリビュートである車輪も描かれている。中央には聖母子。右には本を読む聖ヒエロニムスと彼のアトリビュートであるライオン。聖ヒエロニムスを覗くのは杖を持った聖アントニウス。寄進者らしき男も描き込まれている。

・フランシスコ・ヴェチェッリオ　聖母子とマグダラのマリア　1530年代　ヴィチェンツァ、キエリカ―ティ宮絵画館：フランシスコ・ヴェチェッリオはティツィアーノの兄。

・ティツィアーノ・ヴェチェリオ　ダナエ　1544-46年頃　ナポリ、カポディモンテ美術館部分図・ヤコボ・ティントレット　レダと白鳥　1551－55年　フィレンツェ　ウフィツィ美術館Ⅲ　1550‐1581｜ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ‐巨匠たちの競合

・ティツィアーノ・ヴェチェリオ　教皇パウルス3世の肖像　1543年　ナポリ、カポディモンテ美術館ファルネーゼ家出身の教皇パウルス3世が1543年に神聖ローマ皇帝カール5世に会うためにボローニャを訪れた際に、教皇自身がモデルとなって描かれた作品。

・ティツィアーノ・ヴェチェリオ　マグダラのマリア　1567年　ナポリ、カポディモンテ美術館　再見（#3)ティツィアーノが描いたいくつかのマグダラのマリアのうち、もっとも後期に位置づけられる作品。ローマのアレッサンドロ・ファルネーゼに送られた絵画であると考えられる。いくつものヴァージョンや本図像に基づく版画が存在することから、当時大変人気を博した図像であったことが分かる。

・ヤコボ・ティントレット　ディアナとエンディミオン（or ウェヌスとアドニス）フィレンツェ　1543－44年　ウフィツィ美術館：本作は天井装飾画だったと考えられる。

・ボニファーチョ・ヴェロネーゼと助手　最後の晩餐　1540－45年　フィレンツェ　ウフィツィ美術館（引用画像）ユダはテーブルの上の鉢のひとつに手を伸ばしている姿で分かる。「マタイによる福音書」によると、「イエスは《私と共に同じ鉢にパンを浸しているもの》が裏切り者だ」と指摘した。これ以降もこの聖書の言葉に倣って、ユダの姿がこのように描かれることが多い。
【参考】彩飾写本(部分)1007年または1012年 ミュンヘン・バイエルン州図書館蔵【参照】

・パオロ・ヴェロネーゼ　聖家族と聖バルバラ、幼い洗礼者聖ヨハネ　1565年頃　フィレンツェ　ウフィツィ美術館リズミカルで安定した構図とヴォリュームのある人体表現、短縮法によって描かれたイエスやヨセフの的確な描写に、ヴェロネーゼの技量が遺憾なく発揮されている。聖女バルバラの金髪の輝きや豪華な衣服の光沢の表現は、ヴェロネーゼの真骨頂である。

美術散歩　管理人　とら