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技法別には、次のような漆芸がある。 ・蒔絵(まきえ、漆器の表面に漆で文様を漆描き、漆が乾かないうちに金や銀などの金属粉を蒔きつけて漆を固め、研磨して仕上げる技法)研出蒔絵・平蒔絵・高蒔絵など。 ・螺鈿(らでん、貝殻の内側、虹色光沢を持った真珠層の部分を板状に切り出し、器物に嵌め込むか貼り付ける技法)「青貝」とういう。 ・存星(ぞんせい、文様の輪郭線を浅く彫り、地の色と異なる色漆を埋めて研ぎ出し、金箔や金泥を埋め込んで文様を縁取る「沈金(鎗金)」で文様を表わす技法) ・彫漆(ちょうしつ、器物の表面に漆を何層にも塗り重ね、その漆の層を刀で彫ってレリーフ状に文様を表す技法) ・箔絵(はくえ、石黄などを混ぜた専用の漆で文様を描き、乾かぬ間に金銀箔を張付け、乾燥後に文様以外の箔を拭い去る技法) ・金貝(かながい、文様に切った金・銀・錫 ・鉛などの薄片を漆面に貼り付け、漆を塗った上で研ぐか剝ぎ取るかして文様を表す技法)朱塗の堆朱・黒漆の堆黒。 この「漆芸名品展」に重要文化財《羯鼓催花・紅葉賀図密陀絵屏風》が出陳されている。 両隻が揃って見られるのは、11月8日(火)~11月20日(日)であるが、「羯鼓催花」は10月18日(土)~11月20日(日)、「紅葉賀図」は11月8日(火)~12月11日(日)にも見られる。 ということで、本日11月9日(水)、静嘉堂文庫美術館に行ってきた。 《羯鼓催花・紅葉賀図密陀絵屏風》は桃山時代~江戸時代初期の二曲一双の屏風(左隻↓、右隻↓↓)であるが、筆者・注文主不明、サイズは、各隻・縦167.0cm、横189.4cm、木地は杉(各扇ともに一枚板)である。平成22~24年の修理によって大変見やすくなっていた。 左隻右扇下部には、左から笙・拍板・龍笛・尺八・笏拍子を奏する楽人たちが描かれているが、それぞれ密陀絵で見事に表現されている。 右隻は「源氏物語・紅葉賀」の巻が主題。清涼殿東廂において若き光源氏が頭中将と「青海波」を舞い、桐壺帝を始め、宮廷の人々を深く感動させた場面である。光源氏の意識は、姿こそ見えない帝とともに御簾の奥にいると思われる恋する藤壺中宮に向けられている。 並んで舞った頭中将は光源氏に比べると、「花 vs 深山木」とされている。 源氏中将は、青海波をぞ舞ひたまひける。 片手には 大殿の頭中将。容貌、用意、人にはことなるを、立ち並びては、なほ花のかたはらの深山木なり。 両隻は「奏楽」を共通のテーマとし、「漢 vs 和」ならびに「春 vs 秋」を対比させている。 さらに、両隻で奏でられる「愛」は、「絶頂の愛」vs「苦しみの愛」と対照的である。 この《羯鼓催花・紅葉賀図密陀絵屏風》では、蒔絵・金や銀などの金貝・縁には螺鈿と錫で梅唐草文など漆芸技法のすべてが駆使されており、当時の制作者たちが通常とは違う大作の屏風絵を完成させた喜びと自信が作品から伝わってくる。 この展覧会で見られるその他の展示品は以下のようであるが、展示期間が限られているものもある。 ・重文 尾形光琳「住之江蒔絵硯箱」江戸時代(18世紀)縦24.0x横23.1cm は後期(11月8日~12月11日)。 尾形光琳の基準作として知られる硯箱。藤原敏行朝臣「古今和歌集」の「すみの江の岸に寄る波よるさへや 夢のかよひち人目よくらむ」を主題とした意匠で表している。大きな鉛板を岸に、散らし文字を銀板で、黒漆の地塗りに金蒔絵の波、それを蓋と身のすべてに配したこの作品は、斬新かつ豪華。光琳が、本阿弥光悦作の硯箱を模して制作したと、自筆で箱書している。 ともに信長、秀吉、家康と伝来した大名物の茶入。大坂夏の陣で大坂城落城により罹災したこれらの茶入は、家康の命により塗師・藤重父子が繕い、今日の姿によみがえらせた。これらの茶入の“艶”は、やきものの釉薬ではなく、“漆”のツヤである。 静嘉堂所蔵の油滴天目(口径19.7cm)に添う堆朱の天目台(径21.2cm)は、明時代初期の彫漆の秀作で、牡丹や菊などの花卉が、すぐれた刃技で優美に彫り出されている。 静嘉堂の曜変天目(口径12.2cm)に添う黒漆の天目台(16.0cm)は、茶人に「尼崎台」と呼ばれてきた貴重な宋時代の無文漆器。今回初めて「曜変」は天目台に乗せた姿で展示されていた。 中国で最も優れた作風の彫漆を制作していた明時代初期の作品。六弁の花形をした径18.9cmの盆で、胎に朱漆を幾重にも塗り重ね、そこに優美な牡丹の花卉を浮き彫りした力作である。 琉球の「貝摺奉行所」で制作された高級螺鈿漆器。意匠は唐・杜牧の詩文をもとに制作された蘇州版画が写されている。4月初めの清明節に人々が墓参と踏青(ピクニック)に出かける光景を表している。 螺鈿装飾を中心に、飴色をみせる玳瑁の円文、金属の縫った線文も施され田瀟洒な箱。岩崎小弥太が文房具箱として熱海別邸で使用していた。 大名や当代一流の文化人との交流も知られる江戸の蒔絵師・原羊遊斎の印籠。秋の虫は金・銀・赤銅で作られた金工品が象嵌されている。 雪の結晶を文様とした印籠。根付とともに原羊遊斎の作。雪華文様は、古河藩主土井利位著「雪華図説」(正編は天保三年(1832)刊、続編は同十一年刊)によるとのこと。茶色味を帯びた蝋色塗の黒漆地で、研出蒔絵・薄肉高蒔絵の技法で描いている。羊遊斎作の雪華蒔絵印籠は、鷹見家蔵・永青文庫蔵の二点がある。根付も雪華文様。硬い木材を饅頭形にし、鏡蓋に金蒔絵で描いている。緒締は、木胎の黒漆地に、花喰いの鳳凰を金蒔絵で、雲気を朱漆で表わしている。 ・柴田是真「柳流水青海波塗重箱」江戸末~明治時代(19世紀)高さ33.2cm 通期。 柴田是真は幕末明治にかけて活躍した江戸の蒔絵師・絵師。従来は分業だった漆芸で下絵から蒔絵制作まで一人で行った。この五段の重箱は、塗りの漆を替えて五色とし、川が流れる景を変わりゆく意匠としている。光沢がある櫛目の波は、彼が再興した「青海波塗」である。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2016-11-09 20:49
| 江戸絵画(浮世絵以外)
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