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本日(2016.10.23)の日曜美術館は、「熱烈!傑作ダンギ ミケランジェロ」 というサブタイトルが付くほど議論が封筒して面白かった。
その大筋は、「巨匠ミケランジェロ。圧巻の彫刻《ダヴィデ》、迫力壁画《最後の審判》。傑作を次々生んだルネサンスの天才には、いまに通じる意外な魅力が。ゲスト3人がそれを彫り出す!」というものである。 「何でも過剰に完璧をめざすミケランジェロの《ダヴィデ》が苦手」という【ゲスト】の漫画家・ヤマザキマリさんと【ゲスト】の脳科学者・茂木健一郎氏が大議論を始め、【ゲスト】の美術史家・木下長宏氏が「それまでの枠組みでは通じなくなった時代に、自分で考え、試し、美の道を切り開いたミケランジェロこそ、いまこそ輝く芸術家である」ことで収まりをつけたが、途中【司会】の井浦新さんや伊東敏恵さんがおろおろする場面もあった。 ここでは、私が面白いと思った3点について、メモを残しておきたい。 1.ノアの方舟 ![]() ![]() ![]() 司会の伊東さん訊ねて曰く「ノア自身はどこに…?」 木下氏答えて曰く「ノアは方舟の右の所に赤い袖の白いひげの男です」 伊東さん曰く「小さい!ここですか」 木下氏曰く「聖書の記述と合わせると、雨がどのくらいやんだかどうか見てこいって言ってハト(鳩)を飛ばすのですね。聖書では一番大事な神様の裁きを他の人はみんな受けて死んじゃって、ノアの一家だけが生き延びていて人類が始まるのですが、そういう大事な人をもう背景の後ろの方にやっちゃって、手前にいるのは普通の庶民で、丘に登り始めている。必死で逃げてるけどカトリックの教義からいくといずれは水にのまれるだろうという解説が多いのです」 さらに木下氏曰く「でもこの丘に登っていく人たちに一番愛情を込めてミケランジェロは描いています。でもそれをおおっぴらに言っちゃうと、異端審問にかかって幽閉されるか死刑にされるかどっちかという時代ですから、こうやって描いておいたという事だと思うんですけどね。それまではやっぱりまだキリスト教カトリック教ですね。ローマ・カトリック教の教義の中で何とかやっていけるんじゃないかと思っていたけれど、もうこの法皇のわがままでシスティーナの画を描かされるわけだしそういうのを見ていく中でもうカトリックに自分は身を捧げる事はできないと思ったと思うんです」 2.「囚われ人」とも「奴隷」とも言われる彫刻 (↓左)は《囚われ人・瀕死の奴隷》(Captif_L'Esclave mourant)1513-1516 (↓右)は《囚われ人・反抗する奴隷》(Captif_L'Esclave rebelle)1513-1516 ![]() 木下氏曰く、「よく見ると膝の間の手は彫り出されないまま、顔も途中のようです。それでいて懸命に石からはい出ようとするように見える不思議な姿です」 ミケランジェロが苦手だというヤマザキさん曰く、「これは傑作で感動します。要するにミケランジェロはいつも石の中に既に形が入ってるのを僕は彫り出すという言い方をされてますけどこれは彫り出しきれてない。要するに石と妥協しちゃってる。石っていうものを残してしまう。完全に人間という形にしきれないままですね。要するにもう征服石からの征服からとけられない。だからモチーフが全部奴隷なんですけれども…。私はさっきからミケランジェロというのは出しすぎだとか表現として全部もうストイックにやりすぎだと言うけどこれはある程度の…これを一つの完成品としてもうこれでいいんだと思えるその決断力というのはもともとミケランジェロには多分なかったはずのものだと思うんですよね。そこがちょっとミケランジェロどうしたのかなっていうことになってしまう」 茂木氏曰く、「木下先生、僕思ったんですけど我々完成した彫刻を見てますから途中を見ていないじゃないですか。ミケランジェロは若い時から実にこういう世界を見てるわけですよね。彫ってる途中の制作過程というところで。 ヤマザキさん曰く「制作途中で見られるのは嫌ですね。テレビとか入ると平気で撮りますけどもそういう感じです。やっぱり。工程は見られたくないです。出来上がるまではあんまり出したくないのでこれは漫画に置き換えれば下絵途中の原稿を出したようなものですよ。何にも完成してないのに掲載されちゃったみたいな感じで」 3.ロンダニーニのピエタ ![]() ミケランジェロの第4のピエタ、彼が生前最後に手がけたこの大理石彫刻は、1952年にミラノのスフォルツァ城博物館に収蔵されるまでローマのロンダニーニ邸の中庭に置かれていたことから、《ロンダニーニのピエタ》と呼ばれる。木下氏曰く、「《ロンダニーニ》を見ると思いますよね。こっちのマリアと比べてみるとまさにギリシャ・ローマから脱皮して余計なものはどんどん剥ぎ取っていってこっちの《ロンダニーニ》ではもう裸の女の人と男の人の像って言っても誰もノーと言わない。このくらいやっぱり60年間かけて…。お坊さんじゃないですか?やっぱり。お坊さんってやっぱり悟りを経てこういう…。だから余計なものをどんどんどんどん剥ぎ取っていった。筋肉も何にもついてない。本質だけの彫刻というかそういうものにいっちゃったんですね88歳の時には」 茂木氏曰く「ミケランジェロ現象と呼ばれる現象が心理学の世界でありましてね。例えば恋人同士とか夫婦だとかお互いの中のある理想的な姿を一緒にいる事で彫り出すんじゃないんですけど引き出す。そういう関係があるんだというのをミケランジェロ現象というんですけど、僕ミケランジェロってね、あの本当に美しい初期の《ピエタ》からこの最晩年の《ピエタ》まで一貫して何か人間の中にある何か姿を彫り出してくれてたのかなと思うのです。ですから最初期の《ピエタ》は本当に美しい完璧なものですけど、この姿も我々の中にあるんだと思うんですね。ずっと人間が人間である以上。 だからミケランジェロって人間の中にあるその見えない本質みたいなのを彫り出してくれてる人で最後がこれっていうのが確かにね木下先生おっしゃるようにちょっと感動的な気はしますね」 木下氏曰く、「ものすごく迫力があるのは、彫った時の瞬間には、ものが既に半分完成されているということなのでしょうか。生成されている完成とでも言いましょうか。彫りながら完成を探していってる…。真面目で正直な人だったのかなと思いますよね」 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2016-10-23 14:28
| ルネサンス
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