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サントリー美術館で開催中の「鈴木其一-江戸琳派の旗手」を見てきたばかりなので(参照)、興味を持ってこの番組を視聴した。
【ゲスト】山下裕二【出演】岡野智子、新村則人、石田佳也、野口剛 玉蟲敏子ほか 幕末に描かれた不思議な六曲一双屏風《朝顔図屏風》メトロポリタン美術館所蔵が12年ぶりに日本で公開された。 ![]() ![]() 描いたのは肖像画の一枚も残されていない謎の絵師で、 落款の名は其一。 伝統に挑んだ異端の絵師、其一は人をあっと言わせる名人だった。 実物大のひまわりの掛け軸《向日葵図》畠山記念館蔵の画像が出てきた。これは、客人に披露して楽しむ仕掛けの絵だが、葉は緑から黒く変色するさま、花は極めて緻密に描いて、至る所に驚きを散りばめている。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 1796年に東京の下町台東区根岸に 生まれた其一は晩年までこの地で暮らしたが、隣には師匠酒井抱一の住居があった。 其一は抱一の肖像画《抱一上人像》個人蔵を描いている。 ![]() 《白蓮図》細見美術館蔵のように、 抱一の情緒豊かな絵は江戸の武士や商人に絶大な人気を博し、俵屋宗達に始まり尾形光琳へと受け継がれた「京都琳派」の後継者となった。 ![]() 18歳で抱一に弟子入りした其一も「江戸琳派」を学び、早くから頭角を現し誰もが認める抱一の後継者となった。 抱一に仕えること15年余り、其一は常に付き従い、師匠の代筆を手がける事も多かったといわれているが、其一は抱一とは異なる感性を有していた。 そんな其一33歳の時に、抱一がこの世を去り、其一に大きな転機が訪れた。 其一は工房を離れ独立し、高く評価してもらった酒井家の御用絵師は続けながら、独自の絵を追求した。 《水辺家鴨図屏風》細見美術館蔵は、水辺に集う鳥の群れを描いたもので、金地を大胆に残し水の流れの形も奇抜で、見るものに強烈な印象を残す作品である。 ![]() 垣根などに絡みついて伸びる朝顔が、花とツルだけで宙を舞う不思議な姿で描かれ、植物というより別の生き物のようである。特に、ツルのきれいな曲線自体が女性のような妖艶さとを表現している。 ![]() 実際に其一の《風神雷神図襖》の不穏な黒い雲を従えた姿が朝顔のシルエットに重なる。 ![]() 其一が《風神雷神図襖》を描いたは1837年は大塩の乱の頃である。 そして1853年の黒船来航の頃に《朝顔図屏風》が描かれた。 これらは、不穏な時代の空気の中で、絵に異様な迫力を追い求めた其一の思いがあふれた傑作だといえるのではないか。 前述の《夏秋渓流図屏風》根津美術館蔵も、江戸絵画の美意識から大きくかけ離れた其一の屏風である。 ![]() そして見落としてしまいそうな所に、異様にリアルな蝉。 ![]() 画面の中で唯一動きを感じるのが水であるが、滝から落ちた水はアップダウンを繰り返しながら見るものに迫ってくる。 この絵の奇妙さを生んでいるのは、毒々しい色彩である。 青の群青、緑の緑青という最高級の絵の具だけが生み出せる原色同士の激しい対比の力がほとばしってくる。 東京文化財研究所に、明治以降の美術品の売買に使われた貴重な目録が残っている。 大正7年、東京の「松澤家」というところが売りに出した美術品処分のオークションカタログに書かれた「檜木山六枚折屏風一双」という作品の写真が掲載されていた。 この「松澤家」は「江戸十人衆」と呼ばれた日本橋の大商人で、其一のパトロンだった。 其一が「松澤家」に送った直筆の書状には、 当時最も高価だった絵の具の一つである天然の群青を求める内容が記されていた。 パトロンの財力を利用まで其一が高額な極彩色の絵の具を繰り返し要求していたのは、水流の描き方で説明できる。 其一より60年以上早く生まれた円山応挙の傑作《保津川図屏風》では、滝からの水が中央に向かって勢いよく流れるさまを見事に捉えている。 ![]() 二つの屏風を比べると応挙の水流が中心に向かっていくのに対し其一は見るものに押し寄せるように手前に突き落としている。このような臨場感あるいは鮮烈さにおいては其一は更に先に進もうとしたのである。 其一は、更にそれを極彩色に塗り替えているが、この色使いは其一のオリジナル。 初公開の作品《富士千鳥筑波白鷺図屏風》個人蔵が其一の恐るべき感性を更に物語っている。 ![]() 江戸の人々の信仰を集めた二つの山、一つは雪に覆われ山肌の激しくとがった輪郭の「富士山」で、これを横切る千鳥の群れを画面に張りつけたように描写している。 ![]() ![]() つまり琳派の流れの中で見るのではなくて、其一という「個」に注目して見ていくとすごく面白い存在として見えてくる。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2016-10-02 23:04
| 江戸絵画(浮世絵以外)
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