レオナルド《糸巻きの聖母》あれこれ

　レオナルド《糸巻きの聖母》(英国貴族バクルー公爵家所蔵、↓図）が、今回、東京都江戸博物館で開催中の「日伊国交樹立150周年特別展　レオナルド・ダ・ヴィンチ　天才の挑戦」で見られるということで話題になっている。もっとも、本作の模写が欧州各地に多数存在するというのだから、うっかりできない。　この《糸巻きの聖母》は、1903年に、スコットランドのドラムランリグ城（バクルー公爵家の居城の一つ）から盗まれ、2007年10月4日に、英警察当局がグラスゴーで発見し、4人の男を逮捕したということで有名になっていたものである。　レオナルドの専門家である池上英洋氏の単行本「レオナルド・ダ・ヴィンチ」によると、いわゆるレオナルド《糸巻きの聖母》には複数の作品が存在しており、レオナルド本人の原画が失われたというよりは、親方から渡された下絵を基に、弟子たちが各自で描いたものだろうとされている。この際、背景に違いが見られるのは親方の下絵には背景が省略されていたことを意味しているとも書かれている。美術散歩　管理人　とら