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ちなみに、この本の表紙は「プライスコレクション 若冲と江戸絵画]の表紙と同じく。若冲の《紫陽花双鶏図》の一部である。 1.「鳴鶴」に登場する作品 ・伊藤若冲《雪中鴛鴦図》:動植綵絵の一。鴛鴦は古来、夫婦和合の象徴。普通の鴛鴦が寄り添って描かれるのに比べ、この二羽は完全に水陸相隔てている。夫婦の情愛めいたものは何一つなく、まるでこの世とあの世、異なる世に暮らすかのごとき距離が、彼らの間にあった。木の間を遊ぶ小鳥、咲きしきる山茶花の色が鮮やかであればあるほど、「鴦」に顧みられぬ岩上の「鴛」の悲しみがひしひしと伝わってくる。 文正《鳴鶴図》元‐明時代 14世紀 相国寺: 相国寺9世・絶海中津が1376年に帰国する際にこの画を請来したという寺伝がある。 時夜將半 (時に夜將に半ばならんとし)左幅は、「詩経」小雅・鴻雁之什・鶴鳴をふまえた画で、一羽の鶴が月を振りかえって眺めるように立っている。 鶴 鳴于九皐 (鶴 沼沢に鳴く)17世紀にはこの画は「画鶴」の古典となっており、狩野探幽や土佐光起によって模写されている。 伊藤若冲《白鶴図》江戸時代 18世紀 個人蔵は、文正《鳴鶴図》を基にした作品で、鶴の姿態は文正とソックリだが、右幅の崖を反転、波をデザイン化、左幅の鶴は、陳伯冲の《松上双鶴(日下高声)》を借用して、地上から松の樹の上に変えている。 ・鹿苑寺大書院障壁画《月夜芭蕉図》 ・伊藤若冲《讃岐金刀比羅宮奥書院 上段の間 花丸図》 これは2007年に @東京芸術大学大学美術館で開かれた「金刀比羅宮 書院の美」で見た。その際のブログ記事は以下のようになっている。 上段の間はお目当ての伊藤若冲の《花丸図》↓である。実物の障子は4面だけだが、美しい花の乱舞である。こちらは完全に坐って観るようになっており、それぞれの花やその間隔が上段のものほど大きくしてある。・伊藤若冲の《動植綵絵》と《釈迦三尊像》について: 2007年、承天閣美術館で両者を一気に見ることができた。参照。 ・伊藤若冲《付喪神》: 2007年、埼玉県立近代美術館で開かれた「渋澤龍彦 幻想美術」展でこの絵を見た。参照。 ・伊藤若冲《石峰寺 石仏五百体》 画面の中央、伏せられた籠の上に、巨大な二股大根が置かれている。そのぐるりを囲むのは、蕪、蓮根、椎茸、瓜、柿・・・ありとあらゆる蔬菜と果物が大根を取り囲み、背後には玉蜀黍が葉を茂らせていた。ただ、この涅槃図には麻耶夫人が除かれている。それはここに寝ている釈迦に死にゆく若冲の母を仮託したものだったからである。6.「まだら蓮」に登場する作品: ・市川君圭《蓮池図》: 小説の市川君圭は若冲の贋作作りであるが、実在の人物である。「ことばんく」ではつぎのように記されている。 1736-1803 江戸時代中期-後期の画家。元文元年生まれ。市川君障の父。京都で中国の元・明代の名画を研究し,とくに鶏をえがく名人といわれた。門弟に張月樵。享和3年2月2日死去。68歳。近江(滋賀県)出身。名は廸,適。字は君啓。通称は弁蔵。別号に眠竜。7.「鳥獣楽土」に登場する作品 ・伊藤若冲《白象群獣図》では牙、目、口などを褐色で表されている。この升目描きの画は、二重升目という精度の高い技法で、印鑑も押されている若冲の真筆である。3点の枡目描作品のなかでは一番格調が高い。色も形も巧みで、印鑑もしっかり押されている。双眼鏡で見ると、枡のなかにもうひとつ四角形があり、立体的に見える(二重升目という精度の高い技法である)。 以下、小説内に記さている鳥獣名を列挙する。 ・右隻(群獣図)↓: 白象、豪猪(やまあらし)、緬羊、山童(オランウータン)、駱駝、猟虎(ラッコ)、海馬 ・左隻(群鳥図)↓↓: 鳳凰の周りに、火喰鳥、高麗鶯、紅羅雲、番の鶴 (右隻) (左隻) 二重升目が崩れていない部分は次のようである。 (右隻) ・小説の中では、市川君圭が描いたとされる静岡県立美術館蔵の《樹下鳥獣図屏風》(前回記事)の絵師の帰属についても、現在は若冲工房で完成されたとされている。 このような、プライス本と静岡本とのモチーフの比較は、藤井菜都美氏の論考に詳しい。 以下は、Wikipedia「鳥獣花木図屏風の真贋について」の引用である。 プライスコレクションの「鳥獣花木図屏風」は、若冲の代表作としてメディアなどで紹介されることが多い作品である。しかし、若冲研究の第一人者の一人佐藤康宏は、本作品を初めて見た時から一貫して若冲自身の関与を否定した見解を述べている。佐藤はプライス本と他の升目描作品を比べると、動植物が若冲らしからぬぶよぶよとした締りのない曲線で描かれ、形態も単純化し緊張感に欠けている事を指摘する。彩色も「樹花鳥獣図」より丁寧であるが桝目内部の彩色に一貫性がなく、グラデーションを用いず桝目に沿って塗り分けされるといった単純な手法で「白象群獣図」の彩色論理を全く無視した悪い意味での図案化・装飾化が見られる。こうした論拠から若冲自身の関与は考えられず、「若冲の形態と彩色法から離れて違う方向へ暴走した、質的に劣る作品」で、幕末頃に作られた作者不明の模倣作(若冲の落款や印章はないので贋作ではない)としている。本書に登場する画人たち ・伊藤若冲(1716-1800)主人公。生涯独身だったとされているが、小説内では妻が自死したことになっている。 ・池大雅(1723-1776) 若冲の朋友で小説の中に何度も登場。 ・円山応挙(1733-1795) 京の有名絵師として小説の中にしばしば登場。 ・与謝蕪村(1716-1784) 大坂毛馬村の水飲百姓を出自とし、京の絵師とはなじまないが、小説の中では一回だけ若冲宅を訪れている。 ・谷文兆(1763-1841) 小説の中に舞台回し「谷文五郎」として登場。 ・市川君圭(1736-1803) 小説の中では若冲の亡妻の弟で、若冲の贋作を制作し続けて、若冲を悩ませる。 ・弄翰子 編《平安人物志 安永版》 安永4年(1775): 画家の部門に、円山応挙・伊藤若冲・池大雅・与謝蕪村・紀元直(嶋田内匠助) の名前が並んでいる。
by cardiacsurgery
| 2015-12-16 13:39
| 江戸絵画(浮世絵以外)
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