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尾形乾山(1663-1743)の作陶はいままでにもかなり見ているので(①、②、③、④、⑤)、今回はパスしようかと思っていた。
![]() その「日曜美術館」にゲスト出演しておられたデザイナー・佐藤オオキさんの解説が「目から鱗」だったからである。 第1章 乾山への道-京焼の源流と十七世紀の京都: 桃山時代から江戸初期にかけて、さまざまな産地の器が京都に入ってきたが、そのうちに京都でも京焼の生産が始まった。近年、この京焼の技術的な系譜が明らかになるにつれて、乾山窯もそれまでの押小路焼や仁清といった京焼の伝統を踏まえた窯のひとつだったことが判明した。 ということで、最初に出ていたのは、「京焼の系統図」(↓)である。 A.華南三彩→瀬戸・美濃窯系成形技術→初期京焼(押小路焼)→(仁清)→乾山この章では、上記の系統図に登場した焼物の代表例が展示されていた。 1.「華南三彩」としては、中国・漳洲窯の《三彩蓮池水禽文皿》明時代 2.「華南三彩」を写した「美濃」としては、《織部鷺文輪花皿》桃山時代 3.「押小路焼」としては、《三彩蓮池水禽文皿》桃山~江戸時代 4.「仁清」としては、《色絵輪宝羯磨文香炉》江戸時代など 5.「楽焼」としては、楽道入《黒楽四方茶碗 銘山さ里》江戸時代 第2章 乾山颯爽登場-和・漢ふたつの柱と大平面時代: 1699年、37歳の乾山は京都の北西、鳴滝泉谷に窯を築き、陶工としての活動を始めた。「乾山」の「乾」は、窯が京都の乾の方角にあったことに由来している。 この鳴滝窯で生まれた特徴的な器は絵画のような角皿類であるが、これは絵画で器を飾るのではなく、絵画をそのまま器とするという発想の転換に基づいている。また和歌に基づく大和絵的な色絵と、漢詩に基づく水墨画的な銹絵によって、「和」と「漢」の二つの世界を描き出した。 27 尾形乾山《色絵定家詠 十二ヶ月和歌花鳥図角皿》MOA美術館: これは狩野派風の絵で、(↓)はそのうちの「一月」。同名の角皿の出光美術館蔵のものが並んで出ていたが、こちらでは狩野派風の絵皿と琳派風の絵皿が混ざっていた。 ![]() 日曜美術館での佐藤オオキさんのコメントによると、「このように水平にするためには、通常焼成時に支柱を使うが、これによって裏面に残るはずの支痕は幾何学模様で隠されているのではないか」とのこと。 また佐藤オオキさんは、「この盃台は花入れなど他の用途にも使えるデザインだ」と感心しておられた。英語にすると、versatile design ということなのだろう。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 61 尾形乾山《色絵阿蘭陀写 花卉文八角向付》出光美術館 ![]() ![]() 70 尾形乾山《白泥染付金彩芒文蓋物》サントリー美術館: 外側の芒は「武蔵野」で、内側の染付は「業平菱」。伊勢物語の「東下り」を想起させるデザインである。 ![]() ![]() ![]() 76 尾形乾山《色絵石垣文角皿》京都国立博物館: まるで現代絵画のようだ。 ![]() ![]() ![]() 日曜美術館では、「前に見た蓋物やこの反鉢は、1次元の平面と2次元の立体の両者の利点を併せもつ2.5次元のデザインだ」という佐藤オオキさんのコメントがあった。 ![]() 86 尾形乾山《色絵菊図向付》五島美術館: 菊形の向付。 ![]() ![]() 96 尾形乾山《色絵夕顔文茶碗》大和文華館: 源氏物語の「夕顔」をテーマにしており、主人公の儚さを象徴するように見込は黒、胴は灰色がかっている。三条西実隆の歌「よりてだに 露の光りや いかにとも 思ひもわかぬ 花の夕がほ」が書かれている。 ![]() 110 尾形乾山 重要文化財《武蔵野隅田川図乱箱》大和文華館: 乾山81歳の作。 ![]() A.京都 二代乾山・猪八→三代乾山・宮田呉介この中で、会場に展示されていたのは下記のように多数。 98.二代乾山・猪八《色絵阿蘭陀写花卉文向付》など4点。 103.三代乾山・宮田呉介《色絵絵替土器皿》 112.酒井抱一編《乾山遺墨》 130.乾斎(井田吉六)《藍絵龍文小皿》など4点。 116.三浦乾也《銹絵染付椿文水指》など多数。 128.井伊直弼《楽焼蓋置》: 後期展示 133.乾哉(浦野繁吉)《染付菊文片口形小鉢》 135.富本健吉《色絵椿模様大飾箱》 「百聞は一見に如かず」。得ることの多い展覧会だった。 日曜美術館では、この乾山展を見おわった佐藤オオキさんの「今日は、乾山と沢山の会話をして、すっかり疲れてしまった」という言葉は、時空を超えた先輩デザイナーに対する心からのオマージュのように聞こえた。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2015-06-23 11:48
| 江戸絵画(浮世絵以外)
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