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今年の連休は長く、しかも天気が良い。「美術散歩」も水戸芸術館の「山口晃」、サントリー美術館の「若冲と蕪村 後期」までは、快調に進んだが、次なる予定の東博の「鳥獣戯画」は激混みということなので、連休中の上野美術散歩は延期することにした。
JR総武線「本八幡駅」南口でタクシーに乗り、初乗り料金で「市川市生涯学習センター」に着いた(↓)。 この建物の二階にあるミュージアムの企画展会場には、観客が2~3名だけ。2部屋に、ギッチリと並べられた250点もの資料をゆっくり見ることができた。 以下、章立てに沿って、展示内容の概要を紹介する。 序章 精神科医になるまで: 式場は新潟県生まれで、中学のころから雑誌編集にかかわっていたが、新潟医学専門学校に入学後は、雑誌「白樺」を愛読し、文芸雑誌「アダム」を編集発行している。卒業後、精神科をえらんだのは、「医学の中で文学や心理学に関係ある唯一の科だったから」とのことである。 第一章 精神医学 1.「白樺」によりゴッホに傾倒: 式場が、ゴッホに関心をもったのは「白樺」からである。(↓)は「白樺」に初めて掲載されたゴッホの作品《河岸と橋》。 さらに斎藤は、ゴッホの病名について式場のあげた7つの説のうち、「式場自身の説は、癲癇(てんかん)性精神病説に一致し、近時独逸のリーゼといふ人の記述した散発性朦朧症(der episodische Dämmerzustände)とも一致してゐる」と詳しく紹介していた。 式場は、ゴッホの最期を看取った医師ポール=フェルナン・ガシェの息子 ポール・ガシェやゴッホの甥 V・W・ヴァン・ゴッホと親交を結んでおり、これを裏付ける資料も展示されていた。 3.書誌編集: 書誌とは文献目録のことであるが、式場は日本だけでなく、全世界のゴッホ関係文献を網羅する完全な書誌を目指しており、このことについての資料も出ていた。 (↓)は、多くのゴッホ関係文献が収納された式場邸の本棚。 7.さまざまな病跡学研究-ゴッホ研究からの広がり: 式場は、ロートレックの病跡的研究も行っている。 戦後これに木村荘八が彩絵を描いた単行本の出版計画があったが、実現しなかった。木村荘八が選ばれたのは、木村が永井荷風の「濹東綺譚」の挿絵(参照)を描いていたからである。 木村が描いたこの”幻の”「二笑亭綺譚」挿絵原画の所在が今回明らかになり、会場には17点が初公開されていた。 (↓)は、木村荘八《二笑亭の外観》文芸読物9巻1号、昭和25年で、正面2階の位置に、3枚のはめ殺しの大きなガラス窓が見える。 1.柳宗悦と木喰五行の調査研究-民芸運動につながる活動への: 式場は、柳宗悦の木喰五行の調査研究に協力していた。関東大震災によって、医業から離れていた式場はこの仕事に没頭していた。 式場は柳から「正しく芸術を味わう能力」と「芸術を味わう悦び」を教えられたといい、柳を師と仰いでいた。 ジャーナリズムの寵児となったため普通の病院勤めが困難になっていた式場は、昭和11年に、市川に「国府台病院」を開院した。 病院開設後の式場は、院内に患者の「作業療法」の場としての「バラ園」を設け、医業の傍ら精力的に文筆活動を行なっている。 式場は、画家・山下清の積極的な後援も行っており、今回は山下清の《式場先生》↓が出ていた。 式場の著作は生涯で約200冊に及んでいるが、ゴッホ関係、民芸関係以外にも、医学小説、医学教養書、女性のための教養書、随筆など広範囲である。 式場隆三郎は、ゴッホのようにパイプ(↓)を咥え、ゴッホのような情熱をもって、医学と芸術のはざまで見事な一生を終えている。 帰りは、隣のニッケコルトンプラザに回ったが、広場に今回の展覧会名「炎に人」にふさわしい「がんこ炎」という名前の焼肉屋があったので、これもなにかの縁と考えて、写真を撮ってきた。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2015-05-04 01:19
| 印象派後期
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