名物に旨いものあり ＠名古屋 2015

　仕事関係のホテルや料亭での宴会には特記すべきものはないが、個人で見つけた「お気に入りグルメ」は、次の二つ。

１．志の田きしめん＠山田屋：　タクシーの運転手に教えてもらった知る人ぞ知る大衆的な店。　昭和5年に名古屋城の傍で創業、火災のため昭和25年に現地に移転したという老舗だが、二代目と三代目はとても気さくな人柄で、こちらのおしゃべりに付き合ってくれた。

　例えば、「うどんの汁の色が黒いのは伊勢まで」ということは、二代目と私がともに実体験しており、店内の時代物の岡持ち（↓）は三代目が現在も近所の出前に使用中であることを聞き取った。　閑話休題、「志の田うどん」はご当地名古屋限定の「うどん」。たまたま「うどん」が切れていたので、これを「きしめん」にすることを勧められた。

　「志の田きしめん」とは私の勝手なネーミングだが、白醤油ベースで葱・蒲鉾・油揚げが入ったこの「きしめん」があまりにも美味いので、汁も残さずに飲んだ。　比較のために、黒醤油ベースの通常の「きしめん」も小盛りで頼んでみたが、こちらも鰹の削り節がたっぷりとかかっていてなかなかの味だった。こちらの汁は、当方ゆえあって塩分制限中の身の上なることを話して、残させていただいた。　ランチタイムに訪れるサラリーマンが中心で、夕方は午後五時～七時の限定営業ということで、実際に私がお邪魔した午後六時から帰るまでに現れた客は私だけだった。

　勘定は千円札でおつりが来た。安い！　こういう老舗を応援していくのは、日本人の務めだと思いつつ店を出た。

　通りでタクシーが通りかかるのを待っていた私のところに三代目が店から出てきて、この店の隣りのタクシーの配送所まで案内してくれた。名古屋の人情の厚さに感激し、明年2月の名古屋滞在の折には、この「山田屋」を必ず再訪しようと思った。

２．天むす　＠自来也：　前から一度は食べてみたいと思っていた名古屋名物だが、帰りの新幹線の中でようやくその目的をはたした。
　袋ごと電子レンジで加熱可能とのことだが、車内ゆえ袋を開けてみると、クラシックな竹の皮包みが出てきた。付いてきた箸も竹箸である。 捩じってある竹ひもを解いて、包みを開くと、かわいらしい「天むす」が五個でてきた。　一口で食べてみると、中の海老天が絶妙の味と歯ごたえである。三個目からは手に持って割って食べたが、海苔の質が好いせいか指に海苔が付いてこない。

　古人曰く「百聞は一口に如かず」！　来年の名古屋での駅弁も、この「自来也の天むす」にしよう。
　
美術散歩　管理人　とら