図解 名取春仙の三四郎 第四章

　「図解　名取春仙の三四郎 第三章」の続き.

29．明治41年9月30日　三四郎（第廿九回）四の一：　三四郎は、大学の池の周りも回ってみたが、別段の変わりはない。三四郎の考えの中に、時々例のリボンが出てくる。挿絵には、池が描かれている。30．明治41年10月1日　三四郎（第三十回）四の二：　挿絵なし。秋晴れの午後、三四郎は散歩にでた。団子坂の上から、左へ折れて千駄木林町の広い通りに出たが、坂下でやっている菊人形の幟が見え、にぎやかな囃の音も聞こえてきた。

31．明治41年10月2日　三四郎（第卅一回）四の三：　挿絵なし。三四郎と与次郎は、広田先生の下宿探しをしていると、御影石の柱がある鉄の門扉が付いた家に貸家札が下がっていたので、与次郎が借家の交渉に行ってきた。

32．明治41年10月3日　三四郎（第卅二回）四の四：　三四郎は、動坂から田端の谷に下りたときに見た建設中の西洋館を見ながら、九段の燈明台は「江戸名所図会」にも出ていると話したが、これは「東京名所」という錦絵の間違いだった。33．明治41年10月4日　三四郎（第卅三回）四の五：　左下の駒絵の屋敷は、借家札が下がっている佐竹邸。下方には角帽。過日大久保で見た轢死体もが描きこまれている。34．明治41年10月5日　三四郎（第卅四回）四の六：　借家を探している広田先生は、与次郎と三四郎と一緒に、大きな御影石の門が建っている貸家・佐竹邸を見に来た。ところが広田先生は「石の門はいかん」と言う。35．明治41年10月6日　三四郎（第卅五回）四の七：　母からの手紙を読む三四郎。そこには、三輪田の御光さんの娘との縁談が書かれていた。36．明治41年10月7日　三四郎（第卅六回）四の八：　三つの花は、三四郎の三つの世界、①母が属する過去の世界、②学問の世界、③美禰子も属する輝く世界の象徴。「母を呼びよせ、細君を迎え、学問に委ねる」のが三四郎の理想。37．明治41年10月8日　三四郎（第卅七回）四の九：　三四郎は、広田先生の新しい借家の縁側に腰掛けて庭を眺めている。それぞれ一本の百日紅と桜の木と一株の寒菊以外は、平らで肌理の細かくて美しい土があるだけだった。38．明治41年10月9日、三四郎（第卅八回）四の十：　広田さんの新しい借家の掃除に来ていた三四郎は、広田先生を訪ねてきた「池の女」に再会した。グルーズが描くヴォルプチュアスな目付きの官能的な女だった。【参照図】39．明治41年10月10日　三四郎（第卅九回）四の十一：　池の端や病院で会い、今度は広田先生の新しい借家の掃除に来たこの女の名は「里見美禰子」。挿絵は美禰子に云われて、隣家から箒・ハタキ・バケツ・雑巾を借りてきた三四郎。40．明治41年10月11日　三四郎（第四十回）四の十二：　広田先生の借家の裏の窓からは家主の庭が見える。鶏が飼われている。掃除姿の美禰子が裏の窓から見ていたのは、「駝鳥の襟巻に似た」大きな白い雲。41．明治41年10月12日　三四郎（第四十一回）四の十三：　与次郎と下女と車屋が引いてきた荷車が到着した。三四郎、与次郎、美禰子の三人で西洋間の本棚に本を並べる作業を開始した。42．明治41年10月13日　三四郎（第四十二回）四の十四：　広田先生がフロックコートで天長節の式から帰ってきた。43．明治41年10月14日　三四郎（第四十三回）四の十五：　広田先生の借家で、美禰子は画帖を開き、マーメードの図を三四郎に見せた。裸の女の腰から下が魚になって、魚の胴がぐるりと腰を回って向こう側に尾だけ出ている。【参考図】
44．明治41年10月15日　三四郎（第四十四回）四の十六：　美禰子は広田先生の陰で、先生がさっき脱ぎ棄てた洋服を畳み始めた。 45．明治41年10月16日　三四郎（第四十五回）四の十七：　よし子が団子坂の菊人形を見たいというので、美禰子がみんなで見に行こうと提案した。三四郎は参加、佐々木与次郎は不参加と云ったが、広田先生は黙っていた。【参照】図解　名取春仙の三四郎　第五章

美術散歩　管理人　とら