記事ランキング
ブログパーツ
最新のトラックバック
外部リンク
以前の記事
2021年 01月 2020年 11月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 more... カテゴリ
全体
国外アート 西洋中世美術 ルネサンス バロック 印象派 印象派後期 現代アート(国外) 東洋アート 仏像 国内アート 江戸絵画(浮世絵以外) 浮世絵 近代日本美術 戦争画 現代アート(国内) アート一般 書籍 音楽 映画・写真 講演会 北海道の鈴 東北の鈴 関東の鈴 中部の鈴 関西の鈴 中四国の鈴 九州の鈴 ヨーロッパのベル アジアのベル アメリカのベル オーストラリアのベル 未分類 フォロー中のブログ
検索
その他のジャンル
ファン
ブログジャンル
画像一覧
|
この日は「奈良崎一高」の特別展示を見るために東京国立近代美術館に行ったのであるが、閑散としていた。
いつものように、4F⇒3F⇒2Fの順に、MOTコレクション展を見ていった。途中3Fと2Fにあった「奈良崎一高」の写真については、その概要を前報に書いた。 4Fの左側の特別室には、新しく入ったセザンヌの《大きな花束》c.1992-94がどっしりと掛けられていた。その前に椅子が2脚置いてあるという特別待遇である。 しかし、この画面全体を子細に観てみると、放射状に広がった花束・テーブル・奥の壁の三者で構成される三次元空間を二次元の絵画に落とし込むために、さまざまな工夫をしていることに気付く。 テーブルの面がせり上がって歪んでいること、テーブルクロスの折れ目がテーブルの形と合わないように描かれていること、葉や花が茎や枝につながっていないことなどは、すべてそのための意図的な操作なのだろう。 余計なことだが、キャプションに「購入 Purchase」と書いてあったので、いくらぐらいなのか気になって調べてみた。 2004年にロンドンのクリスティーズに出た際の価格は444万ポンド(817万ドル)だったのだが(参照)、今回の購入価格は1,780万ドル(推定20億円程度)で、特別予算が使用されたとのことである。 ちなみに、官報には次のように記載されている。 〇独立行政法人国立美術館分任契約担当役東京国立近代美術館長加茂川幸夫(東京都千代田区北の丸公園3-1) ◎調達機関番号517 ◎所在地番号13 {26 |洋画ポール・セザンヌ作「大きな花束」}購入等~随意26. 8.21 European Art Consultants Limited (P.O. Box 387, Challenge House, The Grange, St.Peter Port, Guernsey GY1 4NQ, Channel Islands) ‚ 17,800,000アメリカドル 「美術品」 太田喜二郎《新緑の頃》1911の明るい色彩に思わず足を止めて見入った。エミール・クラウスに習ったベルギー印象派の作品である。 この画では、澄み切った青空を背景に、ソ連軍の戦車部隊と奮闘する日本兵の姿が描かれているが、実際の戦闘は、双方が多大な犠牲を払う悲惨なものだったという。 しかしながら、当時の国民にはこの事実はまったく伝えられていない。 この作品の発注者である予備役中将荻洲立平はノモンハンで戦死した部下の鎮魂のために藤田に制作を依頼したのであるが、この画は悲惨な現実を隠蔽したものとなってしまっている。 しかしながら、この荻洲の手元には、別ヴァージョンの《哈爾哈河畔之戦闘》があったという証言が残されている(参照)。 そこには日本兵の死体が転がる悲惨な光景が描かれていたということである。 画面横の説明パネルには、「この二つのヴァージョンの存在から、フジタの戦争に対する冷めた認識をうかがい知ることができる」と記されていたが、藤田が真実とは正反対の情景を描いて一般国民の愛国心を煽っていたことは疑いのない事実なのであるから、虚偽の「歴史画」によって国民を欺いた藤田嗣治の責任を、この説明パネルのような表現で曖昧にすることはできないと思う。 藤田嗣治の《アッツ島玉砕》や《サイパン島同胞臣節を全うす》 と小磯良平の《娘子関を征く》が出ていたが、この三点は常設的に展示されているようなので、今回久しぶりに登場したのは、この《哈爾哈河畔之戦闘》だけである。もう少し数多くの戦争記録画を見たいと思っている者にとっては、なんとも歯がゆい展示である。 加山又造の《冬》1957↓ と 高山辰雄の《出山》1962↓↓ が気になったので写真を撮ってきた。前者は再見であるが(参照)、ブリューゲルの《雪中の狩人》に似た構図のこの寒々しい風景には何度見ても心打たれる。自分が雪国の出身だからかもしれない。後者には、永い修行にもかかわらず悟りを得られず、山を出る釈迦の姿に深い苦悩が表れている。この画は初見である。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2014-11-29 14:52
| アート一般
|
ファン申請 |
||