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しかし、日曜日には願ってもない小春日和に恵まれたので、新宿に新設された「中村屋サロン美術館」を覗いた後に(ブログ記事)、原宿に回ってこの国貞展の後期を見ることにした。 原宿駅から外苑前に向かうものすごい人の波をかき分けて、美術館に着いた。国貞はあまりメジャーな浮世絵師ではないので、さぞ空いていると考えていたのは誤りだった。 我が国の浮世絵熱によって、春信・清長・歌麿・写楽・国芳・北斎・広重という見慣れた作家以外の浮世絵にも目が向いてきたのだろうか。 一応、章別になっていたので、目についた作品の感想を章別に述べていく。 Ⅰ.肉筆画の名品 2 七代目市川団十郎の暫 文化13年ごろ: 団十郎家の三升紋を染め抜いた柿色の素襖に長袴と2メートルの刀が目立つ。 43 大物沖逆風雨図 文化14年頃: 摂津大物の沖合、激しい風雨の中、壇ノ浦に沈んだ平家。背中に矢が刺さった知盛の亡霊が、長刀を振り回して、義経の船の行く手を遮る。舳先には数珠を持つ弁慶、義経は船の中ほどに。見慣れた情景だが、風の描写が上手い。 「くわえ楊枝の女」は、新吉原の端の河岸見世の抱女郎。出窓の白鳥徳利・耳盥、しどけない恰好で楊枝をくわえた遊女の自棄的な姿に着目。 三味線や踊りで座敷を盛り上げ売色を行わない芸者を描いた「吉原芸者」は、渋好みの紋付に有職文様の帯を締め、文を持った禿に返事をしているようだ。背後の大戸には潜戸が付いている。 56 お仙つぼね見世之図 文化12年頃: 局見世という下等な風俗営業で、長屋を狭い間口で仕切り、土間と鏡台と蒲団でいっぱいになるような狭い部屋が並んでいる。右の花魁風の女・中央の若い女・左の婀娜な女は、年増女が変装した呼び込みで、中にはさらにヒドイ女郎が待っているに違いない。題名の「三ヶ月お仙」は、四代目岩井半四郎が演じた顔見世狂言の役名。 82 星の霜当世風俗(行灯) 文政2年頃: 代表作とされる全体は10図の揃物だが、今回は前期の「蚊やき」を含めて2点しか出ていないのはまことに残念である。しかし今期の「行灯」は名作中の名作(再見)。 92~94 江戸自慢(四万六千日・五百羅漢施餓鬼・花屋敷の七草)文政4年頃: 「五百羅漢施餓鬼」には、枕屏風に疱瘡除けの赤い着物を掛け、丸い蚊帳の中で赤ん坊に授乳する母親が描かれている。駒絵は、本所にあった五百羅漢寺の三匝堂(別名栄螺堂)。五百羅漢寺では毎年7月に施餓鬼の法要を行っていたことから、「食べ物を与えるこの」がテーマとなっている。蚊帳の細かい描写が上手いが、歌麿の《幌蚊帳》の構図と似ているとのこと。 「花屋敷の七草」は、舟の美人が懐紙をくわえて水の流れで手を洗っている意味深長な情景。画中の松は「首尾の松」で、下流の柳橋や深川から出発した吉原通いの舟の中で楽しい一時を過ごすこともあったという。駒絵の花屋敷は現在の向島百科園。 99 今風化粧鏡(合わせ鏡)文政6年頃: 鏡枠内に美人の合わせ鏡という複雑な構図。鏡の傍には白粉の「美女仙女香」。白粉を肩に擦り込む指先や髪の生え際が色っぽい。 この章の中には、お気に入りの《月の陰忍逢う夜》シリーズの2点が出ていて、その光線の描写に舌をまいたが、以前にも見ているので、本稿では省略する(参照: こちらなど)。 また、広重との双筆コラボ作品についても、ここでは割愛する(参照: こちら など)。 Ⅳ.新画風の展開 142 大島村之段 驪山比翼塚 文政12年頃: 浄瑠璃の稽古本の上に描かれているのは、豪奢な着物をまとった花魁。鮮やかな更紗模様の前帯や、縞柄に鶴や燕などを配した模様が目を引く。 179 夕立景 文政8年頃: 192・194 誂織当世島(噴水の玩具・船の玩具)弘化2年: 「誂織当世島」は、背景をさまざまな縞模様で潰し、前面に半身美人を配した5枚のシリーズ物。 「船の玩具」では、女性が手に持った玩具の船の揺れを楽しんでいる。玩具の船に乗っているのは、三味線を弾く女と扇子を掲げる男。ゆらゆらと波に揺れる舟遊びを再現したものなのだろう。 228 今様見立士農工商(商人)安政4年: Ⅴ.孤高の晩年 246 御あつらえ三色弁慶 万延元年6月: 257 天日坊法策 市川小団次 米升 万延元年: 最晩年の大首絵シリーズのうち一点。鮮やかな色彩に目を奪われる。 今回の展覧会で良かった点は、国貞の作品263点の制作年代を一点一点確認して、作品リストに記載されていたことである。静嘉堂文庫で1996年に開かれた「歌川国貞」展では、製作年代が明記されていたのは全160点中、わずかに24点だったことを考えれば、雲泥の差である。このような制作年代によって、国貞の作品の変遷が4つの時期(①初期、②発展期、③展開期、④晩期)に分類して展示されていたので、新鮮な目で国貞の画歴を追うことができた。 リストを検討してみると、「①初期=文化期」、「②発展期=文政期」、「③展開期=文政後期・天保期・弘化期・嘉永期・安政期」、「④晩期=安政後期・万延期・文久期・元治期」と元号によっておおまかな分類ができるようであった。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2014-11-18 14:26
| 浮世絵
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