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この展覧会の副題は「足利将軍家の至宝」。このように来歴のはっきりとした貴重な美術品を数多く見る機会はそれほど多くないので、期待して見に行った。
![]() 東山御物とは、室町幕府歴代将軍の収集物全体を指す言葉で、足利義満・義教・義政らによって収集された絵画・茶器・花器・文具などである。室町幕府の歴代将軍は唐物志向が強く、日明貿易によって宋・元絵画を収集し、鑑蔵印を押した。義政期には唐物の管理や鑑定を行っていた同朋衆・能阿弥が「御物御画目録」を編纂し、材質・形態別の分類を行い、画家や画題、賛者などを記した。また、能阿弥は他にも東山御物について撰述した「君台観左右帳記」を著している。その後の戦乱や足利政権の崩壊によって散逸した行方不明になったものも少なくないが、安土桃山時代に入ると東山御物の茶器が重んじられるようになり、現代に残る東山御物の多くが国宝や重要文化財に指定されている。東山御物は今までにかなり見てきているような気がして、自分のHPやBlogを検索すると、以下のようなものがヒットした。 1.東山御物の茶道具 @根津美術館 2001年9月: 《肩衝茶入 松屋》、《曜変天目茶碗》、 《井戸茶碗》、《茶杓 織田有楽作 銘 玉ふりふり》、《色絵武蔵野茶碗 仁清》東山御物は日本美術史の中では重要な位置を占めているが、中国美術史全体からみるとかなり偏ったコレクションのようである。 この点について「上海博物館 中国絵画の至宝 @ 東京国立博物館東洋館」の会場には、「日本の中国絵画コレクションは、東山御物の南宋院体画・禅宗絵画・道釈画を中心とするもので、今回展示されていた北宋絵画・元代文人画・呉派文人画などは日本ではほとんど見られないものである」と書かれたパネルが張られていた。今回の展覧会は全部で7期に分かれた細切れ展示なので、その中間である第4期に出ている作品を観てきた。展示室1・2・3・5・6は「唐物」関係であり、展示室4・7は「唐絵」関係の展示だった(出品目録)。 展示室1に展示されていたのは以下の唐物である。 ・《古銅鴨香炉 南宋時代》 ・《唐物大海茶入 銘打曇大海 南宋時代》 ・《唐物肩衝茶入 銘遅桜 南宋時代 三井記念美術館》↓: 《唐物肩衝茶入 銘初花》を名器第一と考え、それより遅れてきたこの茶入を次席と考えて銘遅桜と名付けられた。 ![]() ![]() ![]() ・《青磁中蕪花瓶 銘吉野山 南宋時代》 ・《松鶴蒔絵香箱 室町時代》 ・《物かは蒔絵伽羅箱 室町時代 陽明文庫》 ・《青磁輪花茶碗 銘馬蝗絆 南宋時代 東京国立博物館》: おなじみ ・《灰被天目 銘夕陽元 元~明時代》↓: 釉の一部に生じた虹のような窯変が美しい。 ![]() 展示室2は、おなじみの《油滴天目 南宋時代 大阪市立東洋陶磁美術館》↓ただ一点。国宝。「君台観左右帳記」では、油滴は窯変に次ぐ「第二の重寶」とされている。 ![]() 《樹下人物文螺鈿長盆》、《青磁蓮池水禽文硯屏》、《蓮霊芝文堆黒筆》、《樹下人物文堆朱筆》、《古銅雨龍形筆架》、《古銅雨龍形文鎮》、《古銅鳥形水注》、《紫石卦算》、《雨龍透彫刀子》、《青磁小花瓶》2点が、「君台観左右帳記」↓に書かれている通りの設えで展示されていた。この設えは見ごたえあり。 ![]() ・《茉莉花図 (伝)趙昌 常盤山文庫》↓: 重文。茉莉花とはホワイト・ジャスミンのこと。反時計回りに、蕾⇒開花⇒満開の花が描かれている。花は輪郭線を白で塗りこめ(没骨法)、枝と葉は輪郭を墨線でくっきり引いている(鈎勒法)。 ![]() ![]() ![]() ・《採芝図(伝)馬遠 岡山県立美術館》↓: 長杖をついた高士が見守る中、二人の侍童が霊芝を切り出している。 ![]() ・《梅花双雀図(伝)馬麟 東京国立博物館》↓: 重文。再見。雀が二羽描かれている。手前の頭をあげているのがオスだと思われる(参照)。《梅花小禽図(伝)馬麟 五島美術館》の対幅。 ![]() ![]() ![]() ![]() ・《松下眺望図(伝)夏珪 鹿苑寺》 ・《豊干図(伝)梁楷》 ・《寒山拾得図(伝)馬麟》 ・《六祖截竹図 梁楷 東京国立博物館》↓左・《六祖破経図(伝)梁楷 三井記念美術館》↓右: この二図は現在二館に分蔵されているが、かっては対幅であった。六祖とは禅宗六代目祖師である大鑑禅師慧能のこと。 ![]() ![]() ・《鷺図(伝)梁楷 MOA美術館》 展示室5には、上述の「君台観左右帳記」の国立歴史民俗博物館本が展示されていた。 この部屋のその他の展示はいわゆる「唐物」で、南宋時代の銅花瓶・青磁花瓶・青磁香炉・茶壺・茶入、南宋~明時代の堆黒・犀皮・堆朱などの漆器だった。漆器については、最近五島美術館で見聞を広げたばかりだったので、一点一点穴が開くほど眺めてきた。↓は、元時代の堆朱盆。 ![]() 展示室7は、再び絵画。ここには、南宋~元時代の中国絵画の他に、高麗時代の朝鮮絵画や室町時代の日本絵画も出ていた。 ・《蘆葉達磨図(伝)門無関》 ・《馬郎婦観音図(伝)胡直夫》 ・《布袋図(伝)胡直夫 福岡市美術館(松永コレクション)》: 再見 ・《蜆子和尚図 牧谿》↓: 蜆子和尚とは、日中は蝦や蜆を採って食べ、夜は白馬廟の紙銭にくるまって休み、放浪の生活を送った唐時代末の禅僧。ここには蝦を採って喜んでいる蜆子和尚の憎めない姿が描かれている。 ![]() ・《叭々鳥図(伝)牧谿 MOA美術館》 ・《対月図 (伝)柯山 五島美術館》 ・《羅漢図 蔡山》 ・《水月観音図(伝)呉道子 高麗時代》 ・《十六羅漢図より 第十一 囉怙羅尊者、第十六 注荼半託迦尊者 陸信忠 相国寺》 ・《芙蓉図(伝)周文 室町時代 正木美術館》 ・《蓮図 能阿弥 室町時代 正木美術館》 ・《足利義満像 室町時代 鹿苑寺》 ・《琴棋書画図屏風 室町時代 小栗宗継》 残念ながら、今回見に行く前に、①国宝《雪中帰牧図》李迪 大和文華館、②国宝《宮女図》(伝)銭選、③重文《布袋図》 梁階 香雪美術館、④重美《達磨・政黄牛・郁山王図》徳川美術館の展示は終了していた。 また、次期以降に再訪して、①国宝《鶉図》(伝)李安忠 五島美術館、②国宝《鳩桃図》徽宗、③国宝《秋景山水・冬景山水図》(伝)徽宗 今地院、④国宝《漁村夕照図》牧谿 根津美術館、⑤重文《清凉法眼禅師・雲門大師図》馬遠 天龍寺、⑥重文《維摩図》(伝)李公麟 京博などを観なければならない。(再訪・再々訪記事はこちら) 根津美術館、三井記念美術館、五島美術館の3館でそれぞれの所蔵作品をたらいまわしにし、観客がこのキャンペーンに従って現存している「東山御物」を追い回している状況は、足利将軍家の同朋衆にはかなり不思議な光景に映るかもしてない。 ![]() と言いつつ、この3館の展覧会を回ってしまった。それぞれのブログ記事は、五島美術館はこちらで、根津美術館はこちらとこちらである。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2014-11-01 14:22
| 国内アート
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