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見事な日本晴れに誘われて、前から気になっていた「存星展」を五島美術館に見に行ってきた。
・北京・故宮博物院200選展(ブログ記事): 堆朱5件、彫彩漆1件、存星1件そのまとめをブログ記事(こちら)としているが、要点は下記のようである。 漆工芸には、無文漆器の他に、単色彫漆(堆朱・堆黒・堆黄)と多色彫漆(彫彩漆・填漆・存星)がある。今回の展覧会は、国内の彫漆工芸品を集め、その中で「存星」の立ち位置を明らかにすべく努力されたレベルの高い展覧会だった。展覧会の企画者の本展紹介文も下記のように力が入っている。 「存星」(ぞんせい)とは、中国からもたららされた唐物漆器の一種です。舶来品の中でも「稀なるものとして珍重された幻のような漆芸品でした。しかし、実のところ何が「存星」と呼ばれていたのかは明らかではありません。本展では中国宋・元時代の彫彩漆(ちょうさいしつ)や填漆(てんしつ)をはじめとする名品約60点を展示し存星》に焦点を当てた初の展覧会としてその実像の解明を試みます。展示は4章立てとなっていたので、それに従って展覧会のアウトラインを記していくこととする。 通常の展覧会と異なり研究的な展示企画であることがひどく印象的だった。 第1章存星を語る: 存星とは日本で生まれた呼称で、「君台観左右帳記 東京国立博物館蔵」↓によれば、「存盛 色黒シ ホリメ(彫り目)黄香色(黄色と黄色がかった薄赤色)也。ナナコ(魚々子)ヲマクコトク ホルナリ、マレナルモノナリ」となっている。 そして、松屋三名物の一つである《存星長盆》↓の特徴である①網目地、②彫彩漆、③沈金が、桃山時代から江戸時代初期にかけての「中世存星」の特徴であるとしている。 《狩猟図彫彩漆長盆 南宋時代 徳川美術館蔵》(全体↓、部分↓↓)は、前述の《存星長盆》の特徴のすべてを備えており、桃山時代から江戸時代初期にかけてのわが国中世で「存星」と呼ばれたものの代表作であるとして提示されていた。 《網目地菊鳥文香合 南宋時代 出光美術館蔵》↓も、①網目地、②彫彩漆、③沈金という桃山時代から江戸時代初期にかけての「存星」の特徴を備えていた。 近世になると、漆地に文様部分を彫りくぼめ、そこに色漆を充填して平滑に研ぐことで、器面に色漆の凹凸のない文様を表す「填漆」という技法が広まり、これに「沈金」を併用するものを「存星」と呼ぶようになった。 その代表的なものが、《重要文化財 楼閣人物図填漆箪笥 明時代 山形・蟹仙洞蔵》↓である。 幕末の玉楮象谷が制作した「存清」は、漆絵で文様を描き、輪郭や細部に素彫りを入れる方法で作られている。 中国では、明時代までに発達した「填漆」技法が、清時代になると次第に廃れ、同様の表現を指向した「漆絵」による作品が目立つようになっていた。その例として、第3章に《龍文漆絵輪花盆 清時代 個人蔵》↓が出ていた。 とても勉強になる展覧会だった。漆芸作品を観る目がいくらか肥えてきたような気がする。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2014-10-30 22:39
| 国内アート
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