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青磁の展覧会には目のない私だが、この特集展示があることは出光美術館にチラシが置いてあったので、初めて気づいた。そこで、早速に出かけたがとても意欲的な展示であり、写真撮影がOKだったので、安カメラで沢山撮って、それぞれの色調の記憶が薄れぬうちに画像を処理して、このブログ記事に載せることにした。
特集展示は、①汝窯と東窯、②南宋官窯と米色青磁、③修内司と砧青磁、④華北青磁と米内山陶片の4章に分かれており、その後に横河コレクションの⑤青磁と⑥赤絵が第5章、第6章として付いていた。 古くは「秘色」と呼ばれるガラスや玉にも劣らない青磁が江南の越窯で焼造され、唐の皇帝に納められていたことが知られている。この「秘色青磁」は1987年に陝西の法門寺地宮で発見されたが、この江南の秘色青磁を一つの理想として華北の北宋青磁が進化していき、最終的に「北宋汝窯青磁」に到達した。 一方「北宋官窯」は、文献的には記述されているが、考古学的にはその窯址は未発見で、その実体は不明である。汝窯との結びつきについても、さまざまに考察されているが、日本では「東窯」という概念がキーワードとなっていた。 「東窯」とは、実在の窯を指すわけではなく、小山冨士夫が「北宋官窯」を考えるにあたって、文献に照らしながら「淡い釉調を特徴とする一群の青磁」に与えた名称である。その後「耀州窯」で同種のものが出土したため、「東窯」の概念は耀州窯に組み込まれていったが、実際には両者は釉調や胎土に大きな隔たりがある。 このことを重要視した以前の研究者は「釉色の美しさを求めた汝窯登場への道のりには「耀州窯」以外の窯もあるだろう」と考えて、「東窯」の存在を想定した。 今回の特集には、この幻の北宋官窯を求め、また汝窯を求めて日本の研究者が注目した「東窯」と呼ばれた作品が久しぶりに展示された。私にとっては、この「東窯」の概念はとても新鮮だった。 1.青磁盤 汝窯 北宋時代 個人蔵 川端康成旧蔵: その白い胎は丁寧にととのえられており、精緻な作行きである。透明な淡い青磁釉が光を反射してとても美しい。総体に貫入が入り、高台内には汝窯特有の支釘痕が3つ残っている。これを所持していた川端康成の美意識の高さにも感服した。 2. 青磁刻花牡丹唐草文水注 北宋時代 常盤山文庫: 3.青磁碗 北宋時代 常盤山文庫: 4.青磁碗 北宋時代 常盤山文庫蔵: 5.青磁碗 北宋時代 常盤山文庫蔵: 6.青磁五輪花鉢 耀州窯 五代‐北宋時代 常盤山文庫蔵: 7.青磁五輪花碗 五代‐北宋時代 常盤山文庫蔵: 8.青磁碗 耀州窯 五代‐北宋時代 東博蔵 横河民輔氏寄贈: 9.青磁盤 耀州窯 五代‐北宋時代 常盤山文庫蔵: 10.青磁盤 五代‐北宋時代 東博蔵 笹津悦也氏寄贈: 2.日本人が見出した官窯青磁-南宋官窯と米色青磁 南宋時代、浙江省杭州に宮廷専用の陶磁器を製作する官窯が置かれた。そこで焼かれた青磁のうち、酸化炎焼成によって黄褐色に焼きあがったものは、稲穂の色に例えて「米色青磁」と呼ばれてきた。 現在確認されている米色青磁は世界で4点のみであるが、すべて日本国内にある。一方、乾隆帝が集めた故宮の伝世品には、米色青磁は1点もない。 欧米の官窯研究の基準が故宮伝世品だったの頃、日本では杭州領事を務めた米内山庸夫が「郊壇下官窯址」で採集した陶片が判断基準の一つになっていた。 大量の陶片の中には、青の青磁とともに、黄褐色のものもあることを知っていた小山冨士夫は、黄褐色の青磁瓶が現れた時に、作品に官窯の風格があることを確認して、青ではないという理由や故宮には存在しないという理由で、これを官窯の範疇から外すことをしなかった。 11.青磁輪花鉢 南宋官窯 南宋時代 東博蔵 横河民輔氏寄贈: 12.米色青磁瓶 南宋官窯 南宋時代 常盤山文庫蔵: 13.米色青磁杯 南宋官窯 南宋時代 常盤山文庫蔵: 14.米色青磁洗 南宋官窯 南宋時代 常盤山文庫蔵: 3 日本人の美意識-「修内司」と砧青磁 古来、日本では中国から大量の青磁を将来してきたが、その中で釉色の美しいものを「砧」と呼んで、大切にしてきた。20世紀になって、日本人は南宋に2つの官窯青磁があったことを知り、先に作られたとされる「修内司」をより優れたものとして、日本に伝わってきた「砧青磁」よりもさらに美しいものと考えた。今回展示されている《国宝青磁下蕪瓶》や《青磁盤》は、以前には「修内司」と考えられた作品だった。 18.青磁盤 南宋時代 常盤山文庫蔵 川端康成旧蔵: 19.青磁下蕪瓶 南宋時代 アルカンシェール美術財団 国宝: 20.青磁輪花碗 銘 馬蝗絆 龍泉窯 三井高大氏寄贈: 4-1 色の意識-華北青磁の展開 唐時代末期(874年)、陝西省法門寺地宮には皇帝をはじめ皇族高官がさまざまなものを献納したが、その中に越窯の「秘色青磁」が含まれていた。青磁生産が未発達だった華北の人々にとって、その美しい青磁は宝物のように映り、10世紀後半からは釉色を意識した青磁がつくられ始められた。 そのまま釉を掛ければ黒く濁った色にしかならないような黒い土に、白い化粧土をかけてから施釉するという工夫もされた。このように色を意識した器は、底裏にも釉をかけた総釉の仕上げをめざした。さらに窯道具に工夫を凝らし、総釉にするために使った支えの痕が目立たなくする気配りも見られるようになった。 華北におけるこのような①釉薬の美しさ、②釉薬を器全体にかける総釉の仕上げ、③底裏の処理などへのこだわりが「汝窯」に繋がって行ったと思われる。 4-2 米内山陶片 15・16.南宋官窯址採集陶片(郊壇下): 17.米内山庸夫陶片採集記録(郊壇下)繭山龍泉堂: 【付】 「横河コレクション青磁展示」のお気に入り ・越窯《青磁小禽》 五代-北宋時代 ・耀州窯《青磁蓮花文皿》 北宋-金時代 ・景徳鎮窯 《青磁双耳瓶》 清時代・乾隆年間 美術散歩 管理人 とら 【註】 青磁に関する記事 1.器物参観(常設展+企画展) @国立故宮博物院 2.特別展:絲路傳奇+常設展+企画展 @国立歴史博物館 in 台北 3.青磁 @東京国立博物館 東洋館 4.青磁の誕生 by 三笠景子研究員 @東京国立博物館 5.日本の”美術”の愛し方 @徳川美術館 6.伊藤郁太郎: 「中国宋代の青磁」雑考 メモ 7.北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展― 行けなかった展覧会 8.南宋の青磁 @根津美術館 9.幻の名窯 南宋修内司官窯-杭州老虎洞窯址発掘成果展 @大阪市立東洋陶磁美術館 10.悠久の光彩 東洋陶磁の美 @サントリー美術館 11.汝窯青磁 @故宮博物院 12.日本人が愛した官窯青磁 @東京国立博物館東洋館
by cardiacsurgery
| 2014-08-20 21:05
| 東洋アート
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