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「ヴァロットン」で、自分のホームページとブログを検索してみると、タイトルや画像とともにアップされているのは、次ぎの5点に過ぎなかった。
・《ボール》 オルセー美術館(①、②、③)これに対して、今回はヴァロットンの油彩画が約60点、木版画が約60点、合せて約120点が展示されている大回顧展ということなので、家内同道で期待して見に行ってきた。 フェリックス・ヴァロットン(1865-1925)は、スイス・ローザンヌの大学卒業後、1882年にパリに移住して肖像画の勉強を続けた。しかし、彼が国際的に有名になったのは白黒のコントラストが強い木版画を制作したためだった。 パリでは、ナビ派のボナールやヴュイヤールたちと交流があり、「外国人のナビ」と呼ばれた時期もあった。 ヴァロットンは、次第に独自のスタイルを完成させていったが、それには日本の浮世絵、アングルの新古典主義絵画、写真などの影響があった。 ヴァロットンの制作した作品の特徴は、①平坦な画面構成、②冷徹な雰囲気、③洗練された色彩表現である。 彼の平面的で色彩的な画面は、現実世界の緊張・脅威・残虐性・不条理といったものを意図的に隠し、その冷徹な画面の奥に彼の激情と多少のユーモアを込めている。この展覧会の作品を見る者は、作品の奥に潜む冷ややかな物語を発見していくことになる。 ![]() なお、三菱一号館美術館に収蔵されている多数のヴァロットンの木版画の一部が今回展示されているが、これらについては収蔵先の記載を省略した。 展覧会のサブタイトルは「冷たい炎の画家」となっているが、これはチョット分かりにくい。 その英訳は”Fire Beneath the Ice”、仏訳は”Le feu sous la glace”であり、「冷徹な画面の奥に潜む激情」という意味である。英文や仏文のサブタイトルはあくまで「作品」についての表現であり、「画家」の性格を表しているものではない。 そこで、この日本語のサブタイトルは「冷たい炎の画」と読み換えることとした。若いころに翻訳を仕事にしていた「とら」の妄言ならばご容赦いただきたい。 以下、展覧会の章立てに沿って「お気に入り作品」を列挙していく。 1章 線の純粋さと理想主義 ・《20歳の自画像》1885年: これは上手い。肖像画は早くから一流の域に達している。 ![]() ![]() ・《トルコ風呂》1907年、画像は↑中段左: 云うまでもなく新古典派の巨匠・アングルへのオマージュだが、アングルの《トルコ風呂》の温かい雰囲気に比べ、こちらは寒そう。 ・《5人の画家》1902-03年: ドニの集団肖像画《セザンヌ礼賛》1900、オルセー美術館には、ルドン、ヴュイヤール、批評家メルリオ、画商ヴォラール、ドニ、ランソン、セリジェ、ルーセル、ボナール、ドニ夫人マルトが描かれているが、ヴァロットンは入っていない。そこで、ヴァロットンはこの作品(チューリッヒ、個人蔵)で、ボナール、ヴュイヤール、ルーセル、ヴァロットンを並べて描いた。「外国人のナビ」のコンプレックスなのだろうか。 2章 平坦な空間表現: 1890年代半ばより写真の応用を開始している。 ・《ワルツ》1893年、画像は↓上段左: 夢みるような象徴的作品。画面から三拍子のリズムが聞こえてきそうである。右下の黒い服の女性は陶酔状態。その右肩にもパートナーの手が掛けられている。 ![]() ・《リュクサンブール公園》1895年、画像は↑↑下段左: 砂遊びをする子供、輪回しをする少年、よちよち歩きの幼児、その前を横切る巡査など、実に細かいところまで描かれている。これは写真を利用した作品なのではなかろうか。 ・《ボール》1899年、画像はチラシ表参照: 再見。近景は俯瞰写真、遠景は水平写真から合成して、複雑な構成としている。中国の「三遠法」ならぬ「二遠法」であるともいえる。 ・《月の光》1894年頃、画像は↑↑上段右: 心象的な風景画。ナビ派と北方ロマン主義絵画の混淆という難しい解説が付いていた。 ・《シャトレ劇場のギャラリー席3階》1895年、オルセー美術館(画像): これも写真を使ったものだろうか。 ・スイス山岳木版画、1992年 画像は↓: この連作は、今回最大のお気に入り!スイスの絵描きには、スイスの山が良く似合う。ホドラーもそうだった。そういえば、今秋、西美でホドラー展が開催される。 ![]() ・アンティミテ 1897‐98 画像は↓: 親密な男女のいる室内を描いた10枚の連作木版画。ヴァロットンが結婚前に関係していた労働者階級出身の女性との自分自身の苦い経験を描いたものというよりも、見知らぬ男女の秘め事を出歯亀的に鍵穴から覗いている作品のような気がした。 ![]() ・《夕食、ランプの光》1899年、画像は↑↑↑下段左: 義理の息子2人の中の一人と義理の娘と妻との夕食には、この家族の硬い関係が感じられる。ヴァロットン自身は背を向けている男として描かれており、その表情は読み取れないが「淋しい男の背中」である。 ・《アレクサンドル・ベルネーム夫人》1902年、オルセー美術館↓: ガブリエルの母、すなわち有名画商の妻。壁面には売り物らしき画が何枚も掛かっている。 ![]() ![]() 4章 「黒い染みが生む悲痛な激しさ」 ・《暗殺》1893年: ベッドの向こうのナイフと被害者の手だけが描かれた印象深い作品。 ・《処刑》1894年、《自殺》1894年、浮世絵から採った市松模様の床の《入浴》1894年、鵞鳥の《警戒》などの木版画はそれぞれ見事だった。 ![]() ・《フルート》1896年、画像は↑中央: 連作木版画「楽器」6点の一つ。室内全体の暗さと女性の黒服が緊張状態を表す中で、尻尾を挙げた白い猫だけが救いとなっている。 5章 冷たいエロティシズム ・《赤い絨毯に横たわる裸婦》1909年、画像はチラシ裏: あまり好きになれませんね。 6章 マチエールの豊かさ: 「マチエール」という仮名書き外国語を使わず、「質感」という日本語を使いましょう。これは教育の問題だが・・・。 ・《チューリップとマイヨールによる彫像》1913年、個人蔵↓や《キンレンカとプラム》1923年、個人蔵(画像は↓↓)は美しい静物画で双方ともにお気に入り。とら曰く「ヴァロットンには花が良く似合う」。 ![]() ![]() 7章 神話の戦争: 歴史画のパロディが多数出ていたが、はっきり言って嫌いなものが多かった。例外もいくつかあったが・・・。 ・《立ち上がるアンドロメダとペルセウス》1918年、個人蔵: 三色の美しい色彩が目に残っている。 ・《有刺鉄線》1916年、画像は↑↑↑右: 連作木版画「これが戦争だ!」6点の一つ。明るいサーチライトに照らされている兵士たちは、有刺鉄線の外の星明りの闇の中に逃げられそうもない。 ヴァロットンの回顧展を初めて見た。それなりに勉強になったが、個人的にはヴァロットンはあまり好みの画家とはいえないことも分かった。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2014-06-16 21:25
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