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私が今までに大下藤次郎の作品を見たのは2回だけである。 最初は「小島烏水版画コレクション展@横浜美術館」での《六月の穂高岳》↓(記事はこちら)。 今回出ていた穂高の画は3点。一つは《穂高山の麓》1907年。これは上記の東近美で見た作品とそっくりで、大正池が手前に、岳沢の雪渓が背景に描かれていた。 もう1点は《穂高山の残雪》↓1907年頃である。手前の樹に葉が付いていないところをみると、これも大正池なのだろう。すると中景右寄りのV字状雪渓が岳沢ということになる。 ♪今はあらず、山ははるか、雪山の楽しければ、かくも切なく目に浮かぶ♪三番目は《徳本小屋のほとり》。樹木が生い茂っている風景である。徳本を「とくごう」と正確に読める人は山男か山女だろう。私は10年以上にわたって、上高地-徳本-横尾経由で、涸沢に入っていた。徳本から登って行ける奥又池にも、涸沢から往復したので、岳人の基地だったこの小屋は通過するだけだった。 山の思い出を書きだすときりがない。ここらで展覧会の方に戻る。 展覧会の最終章「自然の趣味‐あたらしい風景画」のパネル説明の中に、大下藤次郎が1901年に新聲社から出版した『水彩画の栞』に次のような意味の文があるとのことである。 水彩画制作の利点としては、①美術鑑賞力・観察力増進、②自然を愛する心の育成・健康増進が挙げられるこの『水彩画の栞』を読んだ小島烏水が登山を始め、日本山岳会を結成するに至るのであるが、大下藤次郎もその会員となっていたのである。 以上で書きたいことは終わったのだが、折角なので章別にこの展覧会を紹介する。 第1章 写生をはじめる: 1891年(21歳)に明治美術会(脂派)の中丸精十郎に付いたということだから、画家としては随分と遅いスタートである。 1892年に描いた《下駄屋の店先》↓や1893年の《門と人物・小石川》↓↓などは「横浜写真」のようで、お世辞にも上手いとはいえない。 この章でのお気に入りは、《小丹波》1896 、《小石川》1896 、《多摩川上流》1896、《富士を望む》1897、《越ヶ谷の春色》1897↓ 第3章 藤次郎、房総を描く この章でのお気に入りは、《西総田舎の景》1893と《館山》1896↓ 第4章 海外へ: 1898年、藤次郎は海軍の遠洋航海船「金剛」に便乗して、オーストラリアや途中の南洋諸島を周り、船内や寄港先で作品をものにしているが、この時に水彩画の描き方に開眼しているようだ。 ・《赤道直下にて》1898↓ 第5章 水がつくる景色‐日本的風景の発見: 上記の遠洋航海の後の藤次郎の作品はとても明るくなっている。また、雲や水面や波の描き方を十分に研究し、その成果を作品に反映している。 ・《雲の観察》↓1900.12.5 夕 西南方 第6章 自然の趣味-あたらしい風景画 藤次郎は1901年には青梅に移り住んだ。 ・《青梅》1904 ここでのお気に入りは、《早春》1904、《磐梯山噴火口》1907年、《多摩川畔》1907、既述の《穂高山の麓》1907、《穂高山の残雪》1907、《徳本小屋のほとり》1907‐11、《宍道湖の黄昏》1911の他は、下記の《猪苗代》1907↓と《猪苗代》1907頃↓↓である。 なかなかスッキリとした佳い展覧会で、季節外れの暑さを凌ぐにはうってつけの展示だった。 【附記】 上記の水彩画展に関連して、二つの特別展示が同時開催されていた。 Ⅰ.千葉県立美術館所蔵「近代日本の水彩画」 ・浅井忠: 明治洋画の第一人者の水彩画 〇フォンテンブローの森 1901 〇大原女 1902ー07 〇花 1902-07 〇農家 製作年不明 ・石井柏亭: 洋画の普及に努めた画家の水彩画 〇病児 1904 〇晩春行楽図 1938 ・赤城泰舒: 大下の内弟子 〇赤屋根の村 1913 ・中西利雄: 大下以後を代表する水彩画家 〇トリエール・シュール・セーヌ 1930 〇人物 1936 〇外房風景 1936 〇四人の女 1939 ・不破章: 戦時下の水彩画 〇描くO君 1942 〇裁縫女 1943 ・小堀進: 初めて芸術院会員となった水彩画家 〇真夏の海(太海) 1931 〇風の日の海辺 1935 Ⅱ.千葉市美術館所蔵「無縁寺心澄・石井光楓」 ・石井光楓: 海外で活躍した水彩画家。淡彩 ・無縁寺心澄: 千葉で製作を続けた水彩画家。濃彩。上田尚の単行本表紙 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2014-05-31 15:16
| 近代日本美術
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