藝大コレクション展‐春の名品選 ＠東京藝術大学大学美術館

　この日の上野は気温22℃という五月並の暖かさ。今週はアカバザクラ（スモモ）の花も満開である。東京のどこかでソメイヨシノが開花したというが、上野でももうすぐ満開になるだろう。　この日は東京芸大の卒業式。振袖姿の女子学生の笑顔が美しかった。　芸大美術館では二つの展覧会が開催中。　まずは第一会場の「藝大コレクション展　春の名品展」から。

セクション１．日本画では、お馴染みの《絵因果経》以下、以下のように名品がずらり。

・狩野山雪《四季耕作図屏風》：　↓は春から夏の右隻。左隻には秋と冬。・尾形光琳《槇楓図屏風》：　典型的な琳派。・曽我蕭白《群仙図屏風》：　左隻↓には、葛玄と鯉、黄安と亀。右隻には、西王母と桃が描かれている。・《小野雪見御幸絵巻》：　訪ねてきた白河院を迎えに出る小野皇太后が描かれている。　・狩野宗秀《京名所図扇面》のような扇面はあちこちで見ている（①、②）が、今回出ていたのは千本閻魔堂の念仏狂言（↓上）と金閣寺（↓下）。セクション２．西洋画のお気に入りは、清宮質文の木版《黒夜の鳥》だけ。黒い背景に青い鳥。キャプションで説明されていた台座の文字は単眼鏡でも読み取れなかった。

セクション３．工芸・彫刻では、高村光雲の欅の木彫《鷹（寿老）》が面白かった。重なった2俵の米俵の上にとまる大鷲。

特集展示1　女性を描く／ヌードと出会うでは、高橋由一《美人（花魁）》、黒田清輝《婦人像（厨房）》、藤島武二《イタリア婦人像》など見慣れた作品が多かったが、原撫松の《裸婦》↓では、壁に映った自分の影をなぞっているところが描かれていた。そうなると、このモデルさんも画家の卵かな？特集展示2　　近世の山水/ 近代の風景　－富士山図を中心にには、以下のようにお気に入り多数。

・雪舟（原作）木村立嶽（模作）《渡唐富士》
・池大雅《富士十二景（5 月↓・8 月・12 月）》・浦上玉堂《青松丹壑図》
・谷文晁《浅絳山水図》
・岡田半江《夏山雨後図》
・司馬江漢《二見ガ浦図》
・橋本雅邦《月夜山水》
・横山大観《富士》
・和田英作《富士山》
・入江長八《山水》：　「波の長八」の漆喰/鏝絵作品が藝大に収蔵されていることに驚いた。↓の画像ではよく分からないが、山などの対象物が盛り上がっている。これがこの展覧会のマイベストだった。　第二会場の「観音の里の祈りとくらし展」は別報とする。

美術散歩　管理人　とら