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六本木で開かれている「ラファエル前派展」で、ロッセティの《ダンテの愛》↓を見て、ブログにそのことを書いた。以下はその部分の再掲。
これは地上と天国のベアトリーチェを描いた2枚のパネルの中間部に相当する作品で、彼女の死を象徴している。この油彩画は斜めに二分され、此岸はキリストを中心とする太陽の光線が描かれた昼間の世界、彼岸はベアトリーチェを抱く月と星という夜の世界である。未完の作品のため、愛の寓意像の彼女が召される日時を示す日時計の部分が空白のままになっている。1996年1月26日に、Bunkanuraザ・ミュージアムで見た「象徴派展」にこの画の下絵が出ていたことを、その時の図録を見て再認識した。 両者を並べてみると、↓のようである。 ちなみに、↓左はダンテの「新生」からとられたもので、ダンテはこの時のベアトリーチェの会釈によって愛の虜となるのである。手前に描かれた扇を持つ女性のモデルはファニー・コーンフォース、ベアトリーチェのモデルがジェーンである。また、↓右はダンテの「神曲」に取材された天国でダンテがベアトリーチェと再会する場面で、このベアトリーチェもジェーンである。 ロセッティと結婚したエリザベス・シダルは、2年後に阿片チンキの過剰摂取で死亡し、ジェインはモリスの結婚しながらロセッティのモデルを務め、3人は奇妙な三角関係を続けた。 下絵では、斜の境界部やベアトリーチェの周囲に「神曲」の文章が描きこまれており、日時計も完成している。この際、油絵の一部が未完成となっている理由を知りたいところである。 【追記1】 調べてみたところ、この油彩画でロセッッティ自身が描いたのは人物像のみで、その他は別の画家の手によるという意見があることを知った(こちらを参照)。 【追記2】 1994年10月発行の「アサヒグラフ別冊 美術特集 ロセッティ」の作品解説によると、「ロッセッティはこの部分だけをレッド・ハウスの戸棚から取り外し完成をめざしたが、結局左右のパネルのみを組み合わせて一つの作品とし、中央パネルは未完成ながら《ダンテの愛》として独立して売却した」となっている。 ちなみに、モリスがジェーンのと結婚したのは1959年で、同年ウェッブの設計でレッド・ハウスが建設され、内装はモリス自身が行った。 モリス夫妻がレッド・ハウスに入居したのは、翌1960年、同じ年のダンテの誕生日にロセッティはシダルと結婚している。 【とらの大胆な推論】 以上、長々と書いてきたが、ここでロセッティの油彩画《ダンテの愛》について、一つの考えを提示してみたい。この推論は、油彩画の背景が、下絵の背景にくらべはるかにデザイン性が高いという感想から発したものである。 2. 《ダンテの愛》がベアトリーチェの死を象徴するものなので、ロッセッティは新婚のジェーンの死を予告することになる《ダンテの愛》をモリスとジェーンの結婚祝いとして贈ることを躊躇した。 3. このことを知ったモリスは、ロセッティに次の提案をした。 ① モデルをロッセッティが結婚する予定のシダルに変える。4. ロセッティはこの提案を受けいれ、油彩画《ダンテの愛》が制作された。 したがって、この油彩画は未完成作ではなく、ロセッティの完成作なのである。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2014-02-05 21:40
| 国外アート
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