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これは12月20日(金)のこと。午後からは暴風雨という天気予報を参考にして、駅からすぐの西美を覗くことにした。午後1時に着いた時には晴天。「モネ展」の看板も暖かそうだった。
企画の意図は下記の通り意欲満々であるが・・・。 1.絵画空間の構成という観点から、他の作家の作品との比較を通して、風景に注がれたモネの「眼」の軌跡をたどる。「このような企画者の意図がどの程度達成されているだろうか」と考えつつ、会場を回った。 章立ては、Ⅰ 現代風景のフレーミング、Ⅱ 光のマティエール、Ⅲ 反映と反復、Ⅳ 空間の深みへ、Ⅴ 石と水の幻影 。 各章の表現はひどく高踏的で難解である。各章の冒頭に長い説明文がパネルに示されていたが、何回も読み直してようやく理解できる文章だった。会場は中学生の団体で賑わっていたが、彼らに理解できただろうか。 ポーラ美術館所蔵の印象派の作品には2006年にBunkamuraで開かれた「渋谷で出会うポーラ美術館印象派のコレクション展」で見たものがいくつもあり、西美の作品には再見のものが多かったが、記憶のない画がいくつも出ていて楽しめた。もちろん良い作品は何回見ても良い。 以下は、モネの全展示作品などに対するショート・コメント。リンクを張った題名をクリックすると画像が見られます。第Ⅰ章 現代風景のフレーミング: 1860年代-70年代のモネの作品 vs セザンヌ、シスレー、ブーダン、マネ、ギヨマン、ピサロ、ゴッホ、マルケ 1 モネ 並木道(サン=シメオン農場の道) 1864年 西美: 現存する数少ない初期作品の一つ。暗い茶色、緑、青などの色彩、落ち着いた雰囲気の画面は、17世紀オランダ風景画やバルビゾン派の影響だろうか。 2 モネ 雪のアルジャントゥイユ 1875年 西美: 街の通りと鉄道の駅舎の雪景色。白い雪の上に戯れる繊細な光の効果が追求されている。 6 モネ 散歩 1875年 ポーラ: 晴れた空と広い草原の広がりが並木の遠近法で強調され、光と影の中にパラソルをさす妻カミーユと息子ジャンが溶け込んでいる。 8 モネ セーヌ河の支流からみたアルジャントゥイユ 1872年 ポーラ: ヨットやボートが浮かぶ穏やかな川面に対し、流れる雲の動きは微妙に異なる諧調の灰色で表現されている。 9 モネ グランド・ジャット島 1878年 ポーラ: グランド・ジャット島は、スーラの《グランド・ジャット島の日曜日の午後》でも有名な行楽地。アニエールの鉄橋やクリシーの工場の煙突と灰色の煙という産業化の象徴がこれに対比されている。 14 モネ 貨物列車 1872年 ポーラ: 近代化によって田園から都市へと変わりゆく風景の中にも移ろいゆく煙や列車などの一瞬がとられている。画面の前面に、パラソルをさした婦人と男性の姿が小さく描きこまれている。 15 モネ サン=ラザール駅の線路 1877年 ポーラ: パリで最初に建設されたサン=ラザール駅の連作は第3回印象派展に出品された。三角屋根の駅舎に発着する汽車が吐き出す煙と蒸気の様子が力強く描かれている。 18 モネ 花咲く堤、アルジャントゥイユ 1877年 ポーラ↓: 煙を上げる煙突がみられる工場を背景に、ダリアの花咲く緑の草むらを前景に置いて、都市の産業化と美しい自然を対比させている。水平線を高くし、モティーフを手前に置く構図は浮世絵の影響。絵葉書購入。 21 モネ ラ・ロシュ=ギュイヨンの道 1880年 西美: この作品に描かれているのは、ヴェトゥイユからわずかにセーヌ河を下ったラ・ロシュ=ギュイヨンという小村。 22 モネ ジヴェルニーの冬 1885年 ポーラ: ジヴェルニーの雪景色を、モネは丘の上から村を見下ろす構図で描いている。教会の三角屋根や家々を覆う雪の影の部分は青紫を帯びた色調で描かれている。 30 モネ ジヴェルニーの積みわら 1884年 ポーラ↓: ポプラ並木の前の三つの積みわらに降りそそぐ陽光を強いコントラストで表現している。 41 モネ セーヌ河の日没、冬 1880年 ポーラ↓: 1878年の冬にフランスを襲った記録的な寒波によりセーヌ河が氷結したが、翌年1月には氷が割れて水面を流れるめずらしい光景が出現した。モネはその状景を繰り返し描いたが、この作品では、夕陽に染まる空の色が解氷浮かぶ水面に映し出されている。絵葉書購入。 43 モネ べリールの海 1890-1891年 西美 44 モネ 波立つプールヴィルの海 1897年 西美: 粗い筆触で波立つ海とあわただしく走る雲の印象がとらえられている。 45 モネ ヴェトゥイユ 1902年 西美: パリの北西に位置するセーヌ河に面した小さな町ヴェトゥイユを対岸から望んで描いた15点ほどの連作中の一点。モネの関心は水面に映る光の反射に集中している。 第Ⅲ章 反映と反復: 1880-90年代のモネの作品 vs ベルナール、ドニ、シダネル、コロー、シャヴァンヌ、ピカソ、ルドン 55・56 モネ グラジオラス 1881年 ポーラ: 縦長の画面に一輪のグラジオラスの花が描かれた対作品。明らかに日本美術の影響が認められる。この2点は第7回印象派展に出品された。 57 モネ ヴァランジュヴィルの風景 1882年 ポーラ: ノルマンディのヴァランジュヴィルの低地の前に生える木々を描いた作品。木々の間に風景を臨む構図は浮世絵から着想を得たといわれている。 58 モネ エプト河の釣り人たち 1887年 西美寄託 59 モネ 陽を浴びるポプラ並木 1891年 西美: 常設展でいつもお目にかかる作品。連作「ポプラ並木」のうちの一点である。大きく前景に描かれた3本のポプラ、青い空と白い雲、緑とばら色のシンフォニー。 64 モネ 柳 1897-1898年頃 西美寄託 65 モネ セーヌ河の朝 1898年 西美: 夏の朝、霧のたちこめるジヴェルニー付近のセーヌ河の風景を描いた「セーヌ河の朝」シリーズの一点。私のお気に入り作品である。 第Ⅳ章 空間の深みへ: 1880-90年代のモネの作品 vs ガレ、ロダン 71 モネ 舟遊び 1887年 西美↓右: 画面を覆う青とばら色、緑とヴァーミリオン。ボートに乗っているのは、モネが再婚したアリスの娘たち。ボートを断ち切った構図は日本の浮世絵から学びとったもの。モネは、水面を大きくとり、そこに映った影を巧みに表現している。 72 モネ バラ色のボート 1890年 ポーラ↓左: 切断されたボートや誇張されたオールは、日本の浮世絵を想起させる。舟に乗っている女性は、モネが再婚したアリス・オシュデの娘。この作品では、水面下の水草の動きを見事に描いている。 76 モネ 睡蓮 1916年 西美↓右: 睡蓮連作第三期(オランジュリー)の習作。 83 ガレ 海藻と海馬文花器 1905年頃 ポーラ↓: エッチングによって、波間にゆらめく海藻とその間を浮遊する海馬(タツノオトシゴ)が表現されている。 86 モネ ルーアン大聖堂 1892年 ポーラ: ルーアン大聖堂の連作33点の一つ。この作品の上部には夕方6時頃の光が当たってバラ色に輝き、下部は対側の建物の影によって灰色になっている。 87 モネ 国会議事堂、バラ色のシンフォニー 1900年 ポーラ: たち込めた霧の向こうに、夕陽の逆光によって議事堂は青いシルエットとなり、テムズにも影を落としている。 88 モネ ウォータールー橋、ロンドン 1902年 西美: 橋はやや赤味を帯びた色で描かれ、ロンドン特有の霧の彼方に橋の上の通行人や馬車が浮かびあがる。 89 モネ チャーリング・クロス橋、ロンドン 1902年頃 西美: ロンドン特有の霧の橋の上を蒸気機関車が走っている。ターナーの画を想起させる。 90 モネ サルーテ運河 1908年 ポーラ↓: モネがヴェネツィアを描いた作品は約40点残っている。この作品では、建物を照らす午後の強い光があざやかな色彩で表現されている。同時代のフォーヴィスムの色彩を想起させる。絵葉書購入。 帰途は、天気予報通り、北風に冷たい雨が舞っていた。 ちなみに世界の有名美術館から作品を集めた「光の賛歌 印象派展 ─パリ、セーヌ、ノルマンディの水辺をたどる旅」展が、東京富士美術館で1月5日(日)まで開催中である。できたら八王子にも足を延ばしてこれを見てみたい。 【追記】 東京富士美術館に行ってきました。ブログ記事はこちらです。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2013-12-22 17:06
| 印象派
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