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以前から中国青磁や高麗青磁をかなり見てきて、ブログにも何回か記事を書いている。
一方、日本の青磁についてはまとめて見る機会がなかった。今回、戸栗美術館で、伊万里焼や鍋島焼などの日本の青磁を展示していることを知って、勉強に行ってきた。 まず「特別展示室」に入る。ここでは「青磁とは何ぞや」という説明のパネルがいくつも並んでおり、それに対応する伊万里が並んでいた。 青磁の特徴的な青緑色は、釉薬や粘土に含まれる酸化第二鉄が、高温の還元焼成によって酸化第一鉄に変化する事で発色すること、酸化焼成だと酸化第二鉄の黄褐色になること、白磁に鉄分が微量に混入すると「青白磁」になることなどである。ここには「蕎麦釉」や「銹釉」の皿も出ていた。 中國では、釉薬の有無によって、焼物を①陶、②瓷に分類しているが、明治以降の日本では、焼物は素地や焼成温度によって、素地に粘土を使用した①土器(700-800℃)、②炻器(1150-1300℃)、③陶器(800‐1200℃)、素地に陶石を使用した④磁器(1350℃~)に分類している。 このため中国の景徳鎮の青磁や日本の伊万里焼・鍋島焼の青磁は「磁器」であるが、 中国の越窯・耀州窯・汝窯・官窯で作られた青磁、高麗青磁、タイの青磁は有色の素地なので、日本の分類では「陶器」と分類されてしまう。 このように中国で発展した青磁に日本の分類を当てはめることには問題があり、「青瓷」という言葉を用いることが多くなってきている。西欧の焼物の分類も、素地と焼成温度によって earthen ware、 stone ware、 pottery、 porcelain とされているが、「青瓷」についてはceladon という訳語を使用している。 「青磁」が完成したのは、中国・後漢時代頃(AD25~220年)で、長い間、青磁の生産は中国に限定されていたが、10世紀頃にその技術が朝鮮半島に伝わって「高麗青磁」が誕生し、線刻や象嵌などの装飾を伴うものへと発展した。朝鮮時代には青磁の技術をもとにした白いやきもの「粉青沙器」も作られた。 日本では朝鮮半島からの技術移入を経て、17世紀初頭に国産磁器・伊万里焼の生産が開始されたが、その中で青磁も作られるようになり、染付を組み合わせた日本独特の新しい装飾の青磁が生み出された。この伊万里焼の技法をもとに献上品・贈答品用に発展した鍋島焼は国内青磁の頂点を極めた。 二階の廊下には、「さまざまな青磁の装飾方法」というパネルが掛っていて次の説明がされていた。 ①線彫り、②片切り彫り、③象嵌、④透かし彫り、⑤型・印花、⑥立体造形、⑦白絵、⑧貼り付け(貼花)、⑨青磁染付、⑩青磁色絵・金彩、⑪鉄絵、⑫掛け分け・釉彩。「第1展示室」には鍋島青磁が多数出ていたが、その前にそこに至る中国青磁、高麗青磁、伊万里青磁の代表例が並べて展示されていた。 中国青磁としては、青緑色でしもぶくれの《玉壺春瓶 龍泉窯》↓ 。一切の装飾を排除した気品のある青磁である。 この部屋のお気に入り青磁は以下である。 ・オリーブグリーンの《青磁 唐草文碗 耀州窯系》↓ 17世紀前半の初期伊万里の時代、伊万里焼生産の中心地であった佐賀県・有田よりも隣接している長崎県・波佐見(三股古窯)の方が美しい釉調の青磁を生産していた。 江戸時代後期になると、佐賀県の有田(伊万里焼・鍋島焼)から、有田と同じ肥前の平戸焼、さらに兵庫の三田焼・王地山焼、和歌山の瑞芝焼でも青磁が生産されるようになった。 平戸焼の天草陶石は、柔かくて加工しやすいため、細工物を得意としたとのこと。 「第3展示室」には、初期伊万里の染付、古九谷様式伊万里の色絵、金襴手の色絵と鍋島の色絵が並んでおり、国産磁器の発展を追うことができるように展示されていた。 分かりやすい解説の付いた良い展示なのに、観客の数が少ない。もったいないことである。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2013-12-05 22:18
| 東洋アート
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