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クーデルカ展を見た後、コレクション展に移った。最近のコレクション展は、従来のマンネリを打破した意欲的な展示になっていて大変楽しめる。
・野田九浦《辻説法》1907年: 描かれているのは鎌倉時代の日蓮。明治政府は仏教を排斥し、神道に特権的立場を与えていたが、日露戦争当時のナショナリズムを反映して日蓮宗国教化の動きがあった。 ・萬鉄五郎《太陽の麦畑》: 雑誌「白樺」で紹介されたゴッホの影響を受けた作品。「白樺」の写真は白黒だったが、萬は、太陽の中心部に黄色と水色の補色を使ってその輝きを強め、太陽光線は盛り上げた絵具で表現している。 ・岸田劉生《イヴを待つアダム》1912年・《天地創造「1.欲望」》1914年・《天地創造「2.怒れるアダム》1914年・《天地創造「3.石を噛む男」》1914年 ・伊藤孝之《白馬山頂より立山遠望》1932年・《黒部十字峡》1933年 ・川瀬巴水《奥入瀬の秋》1933年・《紀州・瀞》1943年 ・田中咄哉州 《国華》 ・庄田鶴友 《国華》 ・磯田長秋《 襲寇敵船 》 ・奥村土牛《倭雛》 ・徳岡神泉《緋鯉》 ・加藤栄三 《鯉》 ・長野草風 《荒鷲》 もちろん、東の両大家のこの献納展への出品作も今回出ていた。 ・横山大観《春風万里乃濤》西の竹内栖鳳が出品した《春雪》は、最近、山種と東近美であいついで開かれた「竹内栖鳳展」に出ていた(①山種、②東近美)。当時の三羽烏、大観・玉堂・栖鳳の作品を↓に並べてみた。 ◎プロレタリア絵画 ・津田青楓《犠牲者》1933年・《ブルジョワ議会と民衆生活 下絵》1931年: 前者は、1933年の小説家・小林多喜二の虐殺に触発されて描かれた。拷問を受け吊り下げられた男と左下の窓を通して見える建設中の国会議事堂が対比されている。津田自身も家宅捜査を受け、一時拘留され、後者の完成作は押収されたが、前者は隠し通すことができた。 ・和田三造《興亜曼荼羅》1940年: 1940年の第2次近衛内閣が唱えた「大東亜共和圏」という対アジア構想では、日本を中心としたアジアの全民族共同体を理想とした。インド・タイ・朝鮮・中国・ミクロネシア・バリ島などの建築・風俗が精密に描きこまれている。中央に君臨する大理石像は日本の象徴だが、和風でないのが可笑しい。 ・御厨純一《ニューギニア沖東方敵機動部隊急襲》1942年: 1942年の「セイロン沖海戦」については、こちらを参照されたい。 ・落合朗風《浴室》1933年 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2013-11-07 19:13
| 国内アート
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