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これは、慶長遣欧使節出帆400年・ユネスコ世界記憶遺産登録記念の特別展である。杜の都・仙台は昨日の台風一過の快晴。隣の国際センターで開かれている会議を抜け出して、見に行ってきた。
![]() ![]() ![]() これだけ多数のものを、昼食時間を含め3時間以内に済ますために、①イヤホンガイドを借り、②図録を購入することにして、重点的に見に行ていった。 展覧会の章立ては 第1章.南蛮の異風広範な内容の展覧会なので、フライヤーに載っている画像の説明を中心にしたブログ記事とする。 ![]() この画の常長はローマ入市式に身をつけた豪華な衣装をまとい、大小の刀をはいている。刀の鐔には伊達家の家紋・九曜紋、着物には鹿と薄、背後のカーテンには支倉家の紋章・逆卍紋が見える。背景の帆船にも逆卍紋が掲げられ、船尾には九曜紋が描かれている。空には光る星(父なる神)と精霊、聖フランチェスコと希望を表す寓意像。描かれた犬は忠誠の象徴。 上段中央は、国宝・【MoW】の《支倉常長宛のローマ史公民権証書》1615年11月、仙台市博蔵。ローマ市議会が常長にローマ市の公民権を与え、貴族に列する旨を記した文書。ラテン語で羊皮紙に書かれており、左上端には支倉家の逆卍紋が描かれている。 上段右はプラド美術館蔵のペドロ・アントニオ・ビダール筆《フェリーペ3世像》1617年。常長一行がマドリード王宮で謁見したのは1615年。天正遣欧使節の少年たちは1585年に当時6歳の彼が王太子となる宣誓式に出席している。 右端・上から3番目の画像は、この《フェリーペ3世所用の甲冑》1590年頃、マドリード王宮武器庫博物館蔵の部分。 下段中央は、狩野内膳筆《南蛮屏風》江戸時代初期、文化庁蔵の部分。これは南蛮船が出港するところで、黒服はイエスズ会士。 下段左は有名な重文《聖フランシスコ・ザヴィエル像》江戸時代初期、神戸市立博物館蔵。両手を組んでキリストの磔刑像を捧げ、天使たちが飛び交う天を見上げるザヴィエルが、十字架を通してキリストの力を受け、心臓が赤く燃え上がる秘蹟を成し遂げたところを描いている。ザヴィエルの口からは「満ち足りています」という意味のラテン語がほとばしりでている。 左端・下から2番目の画像は、スペイン・デスカルサス・レアレス(王立跣足派女子修道院)蔵の《花樹鳥獣蒔絵螺鈿洋櫃》桃山~江戸時代初期。常長が受洗したのはこの修道院で、この蒲鉾型の洋櫃は当時もこの場所に置かれていたと考えられている。 左端の中段は、重文《洋人奏楽図屏風》桃山~江戸時代前期、MOA美術館蔵の部分。 ここでは近景にリュートを演奏する女性たちが、遠景に入江の風景が見える。 左端・上から2番目は、重文《山形文様陣羽織》桃山時代、仙台博蔵。これは伊達正宗所用で、輸入品の黒羅紗の地を同じく輸入金の金銀糸モールで飾り、襟にはフリル襞飾りのあとが残っている。南蛮趣味の伊達男の好みである。 次はフライヤー裏面の画像↓。 ![]() 左中央は、狩野宗秀筆《都の南蛮寺図》桃山時代、神戸市博物館蔵。狩野宗秀は狩野永徳の弟。イエスズ会の布教の拠点である教会を描いた扇面画。この南蛮寺は1576‐1587年という短命で、この教会の様子を描いた作品は本図のみであるとして珍重されている。 左下は、《花鳥蒔絵螺鈿聖龕(聖母子像)》桃山~江戸時代初期、九博蔵。南蛮漆器の聖龕では最大のもの。扉の周囲は螺鈿をはめた七宝繋文で囲まれ、扉表や扉裏には各種の植物や動物が表されている。中央には、典型的な聖家族が描かれている。 上段中央は【MoW】《支倉常長書状 スペイン国王宛 ラテン語文》スペイン・シマンカス文書館蔵。これはローマからスペインに戻ってきた常長がスペイン国王フェリーペ三世に宛てた手紙。1616年にマドリードからセビリアに移り、随員の多くをメキシコに送り出した後もソテロとともにセビリアに逗留して、粘り強く交渉を続けた。これは家康のキリシタン迫害後の出された手紙で、その墨痕の乱れから彼の苦境が偲ばれる。 上段左は、国宝・【MoW】《支倉常長像》1615年頃、仙台市博蔵。常長が磔刑像に手を合わせる姿をカンヴァスに描いた油彩画。黒い着物に剛服を羽織リ、その下に襟と袖に白いレースをつけた袖口の細い濃い色の鎧下着のようなものを着ている。手に指輪をはめ、一条のロザリオを持っているところはキリスト教的。一方で、髪には髻、腰には鮫皮の短刀を差すところは和風。筆者は、フランス人画家クロード・デュリエと推定されている。 この画は常長帰国後政宗には献上されず、支倉家にとどめ置かれたが、1640年、常長の子・常頼の家来がキリシタンであることが発覚して支倉家は改易、常頼は死罪になった際に、藩に没収された。中央の折目はこの画が支倉家に折り曲げて密かにしまわれていたことを示しているのだろう。 この画に関しては、遠藤睦郎の撮影写真(1884年頃、仙台市博蔵)や児島虎次郎の模写図(1906年頃、東京芸大蔵)も出品されていた。 会場でこの画と並んでいたのは、やはり国宝・【MoW】《ローマ教皇パウロ五世像》1615年頃、仙台市博蔵↓。こちらは、常長が日本帰着後、伊達正宗に献上している。筆者としては、教皇肖像画家・アントニオ・スカルヴァーティという説があるとのこと。 ![]() 下段右は、《伊達正宗書状 ローマ教皇宛》ヴァチカン図書館蔵。これはパウロ五世宛てのラテン語の親書である。金箔・銀箔を散らした料紙を用い、正宗の署名・花押・朱印がある。和文親書とともに、1915年11月3日に、サンピエトロ宮で、常長が教皇に謁見した際に手渡された。内容としては、①仙台にサンフランシスコ会宣教師派遣依頼、②メキシコ通商に関するスペイン国王への仲介依頼など使節派遣の目的が記されている。 この他に、明治時代に岩倉具視使節団が訪れて、「慶長遣欧使節の再発見」につながったヴェネツイア国立文書館蔵の2通の《支倉常長・ソテロ連署書状》も出展されていた。 ユネスコ記憶遺産の登録については、2013年6月、日本から推薦された「御堂関白記」の他に、日本・スペイン共同推薦の「慶長遣欧使節関連資料」が決定した。 今回の展覧会は、後者に関する資料が、日本はもとよりスペイン、イタリア、ヴァチカン市国から幅広く集められた素晴らしいものだった。図録の紙質もやカラー印刷も一級品で2000円とリーズナブルである。 図録内の4本の論説も素晴らしい。タイトルは、①常長の肖像画を読み解く、②支倉使節と宮廷の都マドリード、③慶長遣欧使節ゆかりの品を求めて‐イタリア・ヴァチカン・スペイン調査・出陳交渉顛末記、④伊達正宗と慶長遣欧使節‐大洋の向こうに見た夢。 東京仙台間の交通費は致し方なないとして、最速の新幹線では片道1時間半だから、悠々日帰り可能である。 近くの宮城県美の「シャガール展」については別記するが(こちら)、天井画・ステンドグラス・タピストリーなどの大規模作品をテーマとした展覧会で、北海道から次第に南下している巡回展であるが、なぜか東京はジャンプされてしまっている。 仙台のこの二つの展覧会はお勧めです。両展は11月17日までの開催。 美術散歩 管理人 とら 【追記】 河北新報の「潮路はるかに」はこの「慶長遣欧使節400年」を扱ったon-goingの連載もの。これを順番に読んでいくと、慶長遣欧使節の表と裏の話がよく分かってくる。 (38完)復興へ/不屈の魂、伝え続ける (2013/10/25) (37)高見大司教の言葉/希望を信じ 共に前へ (2013/10/18) (36)遺産の流転/眠り続けた宝に脚光 (2013/10/11) (35)再発見/2世紀後岩倉ら賞嘆 (2013/10/04) (34)孫兵衛/治水技術、復興支える (2013/09/27) (33)終焉の地/散在する墓謎深める (2013/09/20) (32)ソテロの最期/潜入失敗、長崎で殉教 (2013/09/13) (31)ミゲルの墓/長く深い苦悩に沈む (2013/09/06) (30)無念の帰還/情勢一変、領内も禁教 (2013/08/30) (29)コリアのハポンさん/縁思い、震災復興祈る (2013/08/23) (28)退去命令/交易、布教願い届かず (2013/08/16) (27)請願/法王の好意引き出す (2013/08/09) (26)晴れ舞台/聖地を行進、歓迎一色 (2013/08/02) (25)聖地巡礼/確たる信仰の根、張る (2013/07/26) (24)病む帝国/戦争、失政 内情火の車 (2013/07/19) (23)聖櫃/交易へ日本製品PR (2013/07/12) (22)受洗/2権力者と霊的契り (2013/07/05) (21)謁見/使命達成、厚遇で確信 (2013/06/28) (20)王都へ/信仰心覆う円柱の森 (2013/06/21) (19)評判/高貴、沈着、敬愛集める (2013/06/14) (18)奥南蛮へ/政情の変化、前途に影 (2013/06/07) (17)聖週間/典礼に感銘、78人受洗 (2013/05/31) (16)壁画/隔たり映す、殉教物語 (2013/05/24) (15)銀の町/製錬技法、会得ならず(2013/05/17) (14)アカプルコ/暴風耐え新大陸到達 (2013/05/10) (13)出帆/船上180人 思惑が交錯 (2013/05/03) (12)使節船/国内外の「知」総結集 (2013/04/26) (11)罪人の子/汚名そそぐ好機到来 (2013/04/19) (10)窮迫/老航海家、異邦で孤立 (2013/04/12) (9)大厄/難破・妨害、重なる試練 (2013/04/05) (8)駿府と江戸/大御所、交易へ地固め (2013/03/29) (7)光と陰/野望の裏、見抜き弾圧 (2013/03/22) (6)雄図/夢の背景に鉱山収入 (2013/03/15) (5)交渉/復興へ、交易実現狙う (2013/03/08) (4)政宗、動く/震災の実情、急ぎ報告 (2013/03/01) (3)津波/理想の港、水の壁襲う (2013/02/22) (2)金銀島幻想/宝を追い求め奥州へ (2013/02/15) (1)出会い/江戸の路上、運命交錯 (2013/02/08) プロローグ/政宗の志、今再び/復興へ思い一つ (2013/02/01)
by cardiacsurgery
| 2013-10-19 09:46
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