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今回は、モローとその愛弟子ルオーの芸術世界と心の交流を紹介する世界で初めての展覧会であり、大変に勉強になった。
![]() モローは遺言によりルオーをモロー美術館初代館長に任命し、自分亡き後も愛弟子に影響を与え続けた。ルオーは師への感謝と崇敬の念を生涯忘れず、自身の芸術と人生に深い影響を受け続けていた。一見、二人の作品は異なって見えるが、実際には、ルオーはモロー芸術の正統的な伝承者であって、最後の象徴派画家というべきなのである。 ・ギュスターヴ・モロー Gustave Moreau(1826-1898)第1章 ギュスターヴ・モローのアトリエ 国立美術学校に在学中「レンブラントの再来」といわれていたルオーの卓越した技法が伺える絵画と習作、およびその師であるモローの作品を展示されていた。とりわけルオーの油彩画をモローが模写した習作は、芸術家同士として向き合った二人の心のつながりが感じられた。 ・モロー 《自画像》制作年不詳 / ルオー 《自画像》1895年 ![]() ![]() 本図のユピテルは《最後の審判》のキリストを想起させる。ユピテルが右手に持つのは、杖と蓮の花、左脇に抱えるのは竪琴。死にゆくセメレはユピテルの膝に乗っており、セメレには有翼の愛の神・アモルが取りすがっている。画面手前の大鷲はユピテルの聖鳥。 背景に描かれているのは、黄道十二宮の円蓋。ロマネスク聖堂入口上部のティンパヌムに倣っている。ティンパヌムには、その中央に神を配した最後の審判の図像が描かれていることが多いのである。 このようにキリスト教とギリシャ神話が混交した作品はモロー晩年のものである。 ・モロー 《石臼をまわすサムソン》 (ルオー作品に基づく)1893年 / ルオー 《石臼をまわすサムソン》1893年 ![]() 右図は、モローの指導を受けてから1年後に、ルオーがローマ賞への最終選考に提出した作品。鎖につながれた盲目のサムソンと彼を鞭打つ守衛や罵倒する群衆が描かれている。結果的には、ルオーのこの画はローマ賞受賞を逸した。 左図は、モローが自分ならこのテーマをどのように扱ったかを示した模写作品である。この図の右上には、師匠が弟子の作品を模写したものだというルオーの書込みが見える。よほど嬉しかったのだろう。 本作のための二人によるこの他の習作も多数展示されていた。 ・ルオー 《トゥリウスの家におけるコリオラヌス》 1894年 ![]() ・ルオー 《夜の風景または作業場での乱闘》 1897年 ![]() 第2章 裸体表現 モデルのデッサンは美術学校で歴史画を描く際の必須テーマ。この裸体表現については、師モローの古典的テーマくらべ、ルオーはより近代的なテーマを扱っている。 ・ギュスターヴ・モロー 《メッサリーナ》 ![]() 第3章 モローとルオーの往復書簡 モローとルオーへとの間の往復書簡が2通ずつ、合計4通出展されていた。実際には合計22通残っているとのこと。 モローからルオーへの手紙は、最初の呼びかけの言葉が次第に親密さを増した表現になっており、最後には「親愛なる我が子」という大げさな表現まで使われていた。またモローの手紙にはルオーへの厳しい教訓も含まれていた。 ルオーの手紙には「偉大なる父」という言葉が使われてはいたようだが、その文章はモローの手紙にくらべてかなり短いものだった。 第4章 聖なる表現 モローとルオーは多数の宗教的主題の作品を残している。モローは聖書から題材を選び、ルオーはキリストを象徴として描いている。二人の宗教画に共通するものはその深い精神性である。 ・ルオー 《クマエの巫女》1947年 / ルオー 《聖顔》1933年 ![]() 右図は、ルオーの重要な宗教的画題「聖顔」中の最高傑作といわれている作品。聖女ヴェロニカの持つ布に写ったキリストの顔は、苦悩と贖罪のために大きく見開かれた眼でこちらを見つめてくる。 第5章 マティエールと色彩 国立美術学校でモローが最も強調したのは「色彩の解放」と「美しい材質感」の重要性。その教えを忠実に 追求したルオーは複雑な混合技法を用い、これまでにない光り輝く絵画を描いた。 ・モロー《パルクと死の天使》1890年頃 / ルオー 《我らがジャンヌ》1948-1949年 ![]() 右図の軍馬に跨がり軍旗を高々と掲げる人物はフランスの国民的ヒロインのジャンヌ・ダルク。厚塗りの色彩により、聖女が厳かな月光に浮かび上がったモニュメンタルな作品となっている。 この両図は展示室の突き当りに並示されており、両作の類似した構成や色彩は今回の出展作中でもっとも印象深く、両者併せての「マイ・ベスト」だった。 ・モロー 《油彩下絵またはヘレネ》 ![]() ・ルオー 《キリスト教的夜景》 1952年 ![]() 第6章 幻想と夢 ・モロー 《ヘラクレスとレルネのヒュドラ》 / モロー 《一角獣》 ![]() 右図の一角獣は女性の「純潔」を象徴する想像上の動物。1882年に公開されたパリのクリュニー中世美術館のタピスリー《貴婦人と一角獣》(ブログ記事)に刺激を受けて、この主題の画を描いた。片足を曲げ女性にもたれかかる一角獣のポーズはルネサンス期の画家マンテーニャの作品を参考にしているとのこと。 絶対のお勧め展覧会です。 お見逃しなきように。 【参考: 過去のモロー/ルオー展覧会記事】 ・モローの回顧展: 1995.4のHPに書いた「ギュスターヴ・モロー展 @西洋美術館」 ・ルオーの回顧展: 学生時代に親父と見たものを除けば、2008.6のHP/Blogに書いた「ルオー大回顧展 @出光美術館」 ・汐留ミュージアムで見たルオー関連展。 ・ルオーとローランサン ー パリの踊り子たち 2006.5(HP、Blog) 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2013-09-20 22:58
| 現代アート(国外)
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