北陸美術散歩 2 ＠南砺市井波地区

　これは「北陸美術散歩 2　＠南砺市井波地区」の続き。　

1．旧井波駅舎：　旧井波駅舎は昭和47年に廃止された加越線の駅舎。1934年に造られた総ヒノキ造りの寺院風の駅舎である。待合室は高い折上げ格天井で、長押の欄間は木彫りの町にふさわしい彫刻欄間となっている　
2．八日町通り：　瑞泉寺に通じる石畳の通りで、周囲は格子戸のある町家とともに趣がある。　この通りには木製あんどん、木製の欄干・木彫りのバス標識があるだけでなく、排水路の蓋にも彫刻があるることに驚いた。3．翁塚と黒髪庵：　翁塚は、1700年に松尾芭蕉の門弟であった浪化上人が建立したもので、塚には義仲寺の松尾芭蕉の墓にあった小石３個と芭蕉の遺髪が納められているとのこと。また、黒髪庵は1810年、北陸の俳人、歌人により寄進されたものであり、1885年には、芭蕉像を安置した芭蕉堂が建てられた。
4．池波正太郎ふれあい館：　　「鬼平犯科帳」や「剣客商売」などの時代小説を執筆した池波正太郎は、故郷探しをした結果、井波が「父祖の地」であることが分かったという。そしてこの井波に度々訪れている。館内には、書簡、自筆絵画、色紙、写真、著書、愛用品々が展示されていた。

5．瑞泉寺：　井波別院瑞泉寺は、1390年、本願寺5代綽如上人によって開かれた。その時に綽如上人が作った「勧進状」は明治38年国宝に指定されている。この寺は、北陸の浄土真宗信仰の中心として多くの信者を集め、越中の一向一揆の重要拠点となったことで有名である。15世紀末に、福光城主・石黒光義が攻めてきた際には、5000人の農民が竹槍・熊手・棒・鎌を持って応戦し、石黒軍を破った。その結果、礪波地方は真宗一色に染まり、井波の町は「寺内町」として発展した。16世紀、佐々成政の軍勢に攻められ、焼き払われるまでの約100年間、瑞泉寺の寺内町・井波は武家社会から独立したコンミューンであった。

　瑞泉寺はその再建後も何回か火災に見舞われているが、現在の「山門」↓は、天明5年（1785年）に造られたものである。山門には素晴らしい井波彫刻《波に龍》↓↓が付いている。 　現在の「本堂」は、明治18年（1885年）に造営されたもの↓。八乙女山をバックに聳えている。向かって左↓の「太子堂」は、大正7年（1918年）に造られたもの。いずれも見事な建物だった。特に垂木の間の木彫りなどは他に類をみない贅沢なものだった↓↓。　寛政4年（1792年）造営の「式台門」↓には見事な《獅子の子落し》↓↓が付いていた。6．井波彫刻総合館：　ここには井波の彫刻作品が沢山展示されており、販売もされていた。まず建物の外側の写真を3枚あげる。　内部は館長に案内していただいた。お気に入りの作品の写真を3点あげる。　「井波」は、素晴らしい歴史と工芸の町である。現在のところ、大都会からのアクセスがイマイチなので、週日には閑散としていた。

　しかし、北陸新幹線が明2014年に開通する。そうなればこの「井波」を訪れる人も増えてくるのではあるまいか。「高山」では最近の円安を背景に外国人観光客が激増しているという。「東京」⇒「金沢」⇒「井波」⇒「五箇山・白川郷」⇒「高山」がゴールデンコースになってくるかもしれない。

　第二日の「北陸美術散歩3　＠金沢市」の記事はこちらに書いた。

美術散歩　管理人　とら