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このコレクションの背景を知るために、会場の挨拶パネルを読んでみた。開催者の挨拶は、ファインバーグ氏の経歴とコレクションの内容を主としたものでだった。リストによると、全出展数は93点だが、その中の24点は6月18日~7月15日の後期だけの展示、2点は前後期で屏風の片隻だけの展示である。 以下は、前期の全展示品についてのショート・コメント。お気に入り作品はその番号を赤字とした。 第Ⅰ章 琳派 1 俵屋宗達《虎図》↓一幅: 淡くかすんだ水墨。毛描きは繊細。 4 深江蘆舟《秋草に瓜図》一幅: ノウゼンカズラ、菊、マクワウリが描かれている。たらしこみ技法。 6 俵屋宗理《楓図屛風》六曲一隻: 小型の金地屏風。 8 酒井抱一《宇津の細道図屛風》二曲一隻: 修行僧に託して都に届けてもらう歌を詠んでいる在原業平。 9 酒井抱一《十二ヶ月花鳥図》十二幅: 類似品はお馴染みだが、揃うと見事。 10 鈴木其一《群鶴図屛風》↓二曲一双: 光琳由来のテーマで、平面性が目立つ。 14 鈴木其一《山並図小襖》二面: 平凡な琳派絵。 16 神坂雪佳《三保松原図小襖》二面 大正末~昭和初: 大正琳派も江戸琳派と変わらず。 第Ⅱ章 文人画 18 池大雅《唐人合奏図》一幅: 指頭画の独特な描線。5人の男、2人の女が中国楽器を演奏、最後の男は香炉を持っている。これらの人物が縦書きの構図。 19 池大雅《雪竹図》一幅: 風にしなる竹を描いた水墨。 21 池大雅《孟嘉落帽・東坡戴笠図屛風》↓六曲一双: 前期は右隻。孟嘉が帽子を風で飛ばされないように押さえている。これが不作法という説明にはチョット納得できなかった。 23 池玉瀾《風竹図扇面》一面: 強風になびく竹の枝先。夫・大雅に負けない絵。母親に習ったという書は大雅以上。「すなをなる ともにみどりや ちよかけて 色もかわらぬ やどのくれ竹」のようにキャプションに書かれているのは親切である。変体仮名の勉強にもなる。 24 野呂介石《那智三瀑図》一幅: 緑の中に三本の滝を収めている平凡な絵。 25 紀梅亭《蘭亭曲水図》一幅: 横長の画面の珍しい蘭亭曲水図。流れは、最初は垂直に、途中から水平に変わる。構図は面白く、描写は細密。 26 与謝蕪村《寒林山水図屛風》二曲一隻: 金箔が使われた墨絵。戸棚の小襖物を屏風に仕立て直したもの。 27 与謝蕪村《竹斎訪隠図屛風》二曲一隻: 柔らかい線で長閑な状景を表した淡彩画。 28 与謝蕪村《高士渡橋図》一幅: 平凡。 30 横井金谷《琵琶湖真景図屛風》六曲一双: 大きな屏風。 32 浦上玉堂《千山萬翠図》一幅: 例の如き絵。酔って描いたものらしいとのこと。 33 中林竹洞《四季花鳥図》四幅: 外来の鸚鵡なども描かれていた。 34 岡田米山人《蘭亭曲水図》一幅: こちらは縦長の通常の蘭亭曲水図。川岸に、狩野山雪のような奇岩がいくつも描かれている。 35 山本梅逸《畳泉密竹図》一幅: いくつもの泉を描いた文人画。竹が繊細な筆致で描かれている。 37 渡辺玄対《武陵桃源図》一幅: 下方の漁師が桃の林の続く川を遡って行く。これは理想郷である桃源郷の湖に繋がっていく。陶淵明の「桃花源記」を下敷きにしている。このようなユートピアなら、一度行ってみたい。ただし長期滞在はチョット飽きるかも。 38 谷文晁《富士真景図》一幅: 以前のスケッチに基づいた絵。 39 谷文晁《秋夜名月図》↓一幅: 幅170cmを超す大きな絵。「文晁圖書」という巨大な角印が目立つ。この絵は、広重の「江戸高名会亭尽」シリーズの《八百善》の座敷の欄間に掛っているとの薀蓄↓↓。 42 福田古道人《桃渓山水図》一幅: 美しい絵。桃源郷に向かう舟の上は文人。 第Ⅲ章 円山四条派 44 円山応挙《孔雀牡丹図》↓一幅: ド派手。 46 円山応挙《滝山水図屛風》二曲一隻: まだそれほど上手くない初期の作。 47 円山応挙《鯉亀図風炉先屛風》二曲一隻: 裏の絹地に水紋が描かれた立体構造。それが効果を上げている。結構高さのある風炉先屏風なので、台子の際に使うものだろう。 48 呉春《雪月花図》二幅: 穏やかな絵。月は左隻に描かれていた。 50 森狙仙《滝に松樹遊猿図》↓二幅: 左隻中央に描かれた小猿の表情がカワイイ。刷毛を用いた毛描きは絶品。絵葉書購入。右隻には松のみ描かれ、余白が効いている。 52 森徹山《春鶴秋鹿図屛風(もと襖)》二曲二双: 前期は春鶴図、秋鹿図は後期に出る。金地。 53 岸駒《滝に鷲図》一幅: 16枚の紙を貼り合わせた下絵だというが、右下の小鳥を狙う大鷲は滝に負けない豪快さである。 55 柴田是真《二節句図》二幅、明治22年(1889): 右隻は、貴族の屋敷の男の子の端午の節句。左隻は、農家の女の子の重陽の節句の雛祭り。 56 鈴木松年《月に雲図》一幅、明治-大正時代: 月の下に描かれた雨雲が印象的。一文字は描き表装で、太田道灌の蓑を暗示する山吹の花が描き込まれている。上村松園の師匠でありながら父なし子を産ませた松年の人格は最低。そのことを知らないのだとすれば、外国人コレクターは幸せである。 第Ⅳ章 奇想派 58 狩野山雪《訪戴安道・題李欵幽居図屛風》六曲一双: 前期は訪戴安道図。雪の月夜、舟で友人宅を訪れる途中、興が冷めて引き返すというつまらぬ状景が、山雪特有のタッチで描かれるとそれなりの絵になる。 59 伊藤若冲《菊図》二幅: 中央に国内所蔵家の参考出品 伊藤若冲《菊図》一幅を挟み、3幅として展示してあった。「久しぶりの再会」と書いてあったから、もともとこのような三幅対だったのだろう。墨絵の迫力はそれほどでもない。 60 伊藤若冲《松図》↓一幅: これは激しい筆致で、白・黒・灰色のコントトラストが強い。 63 曾我蕭白《宇治川合戦図屛風》↓六曲一隻: 先陣争いをする赤の梶原景時と緑の佐々木高綱の色彩のコントラストが強く、アクの強い奇想派の絵となっている。 67 長沢蘆雪《梅・薔薇に群鳥図》一幅: 34羽もの鳥の中には、鸚鵡、ホホジロ、雀など。 68 長沢蘆雪《藤に群雀図》一幅: 17羽の雀がリズミカルに並んでいる。 69 長沢蘆雪《西王母図》一幅: 足元に桃。薄墨。 第Ⅴ章 浮世絵 70 筆者不詳《南蛮屛風》↓六曲一双 安土桃山-江戸時代: 画面に近づいて観られるので、描かれた人物の一人一人をゆっくり見られる。寺の神父など3人が十字架をつけており、黒人も何人かいて、ハシケやマストの上の人など興味は尽きない。 74 英一蝶《若衆と遊女図》一幅: 描き表装が面白かった。 77 松野親信《立姿美人図》一幅: 懐月堂派の影響。 78 東燕斎寛志《見立孟宗図》一幅: 有名な画題。 80 礒田湖龍斎《松風村雨図》↓三幅: 墨と金泥で幻想的に仕上がっていた。 82 歌川豊春《遊女と禿図》↓一幅: 美人だが、外見は菩薩で、内心は夜叉という意味の賛。 85 歌川豊国(初代)《見立松風村雨図》二幅: 左隻は実景、右隻は掛軸内に女が描かれているという手が込んだ構図で面白い。 86 鳥文斎栄之《遊女と蛍図》一幅: 秋草に流水模様の着物に注目。 88 歌川広重《隅田河畔春遊図》一幅: 三囲神社前の竹屋渡界隈の賑わい。近景は名物の桜餅茶屋、遠景には筑波山。 89 葛飾北斎《源頼政の鵺退治図》↓一幅: 2005年に東博で開かれた北斎展で見た。光線で鵺の存在を暗示している。北斎展の図録では個人蔵となっていた。その時の個人とは誰なのだろうか。 92 三畠上龍《舞姿美人図》一幅: 京都の芸妓。着物の松に着目。笹紅は薄くて上品。 93 祇園井特《化粧美人図》一幅: こちらの笹紅は濃い緑色でどぎつい。外人にこんなデロリ趣味があるのだろうか。 さらりと見られる展覧会だった。文人画と肉筆浮世絵に好品が多かった。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2013-05-22 12:59
| 江戸絵画(浮世絵以外)
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