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一昨日、たばこと塩の博物館で、「煙に寄せたメッセージ 版画・たばこのある風景」展を見て、その感想をこちらに書いた。
それぞれの版画の隣には、その発想の源泉となった文学作品の一部が引用されていた。もちろん版画作品は、文学作品全体の印象から発想されたものであって、引用された部分の挿絵ではないはずのものである。 しかし、版画と文章が並んでいる以上、まったく無関係のものではないかもしれない。幸い、図録にはこれらの文章も収載されている。そこで、当該の文学作品を通読し、この点を確認してみたいと思った。 この分析の第1例は、もちろんこのシリーズの第一作・有元利夫の《ヰタ・セクスアリス》+森鴎外「ヰタ・セクスアリス」である。 今回も、「青空文庫」(こちら)で全文を読ませていただいた。 主人公は、金井湛一という近世哲学史を講義している学者となっているが、これは鴎外自身の仮の姿であり、いうならばこの作品は鴎外の私小説ないし自叙伝に相当するものである。 セクションごとに☆☆☆で区切られているので、まずは全体を俯瞰する。 ・第1章=目的: 主人公の性への目覚めと経験の著述さて、版画の側の文章は、上記の中の「第17章=吉原での初体験」に存在していた。 この章の内容は、①主人公が自由新聞に初執筆したお礼の料理屋での接待、②無理やり連れて行かれた吉原での初体験、③帰宅してからの主人公の感想の3パートを含んでいるが、文章自体はこのうちの①の中にある。 その前後の文章を青字、引用文自体を赤字で引用する。 その頃僕は、お父様の国で廉のある日にお着なすった紋附の黒羽二重のあったのを、お母様に為立て直して貰って、それが丈夫で好いというので、不断着にしていた。それを着たままで、霽波に連れられて出たのである。 そして二尺ばかりの鉄の烟管を持っている。これは例の短刀を持たなくても好くなった頃、丁度烟草を呑み始めたので、護身用だと云って、拵えさせたのである。それで燧袋のような烟草入から雲井を撮み出して呑んでいる。酒も飲まない。口も利かない。しかしその頃の講武所芸者は、随分変な書生を相手にし附けていたのだから、格別驚きもしない。 むやみに大声を出して、霽波と一しょに騒いでいる。十一時半頃になった。女中がお車が揃いましたと云って来た。揃いましたは変だとは思ったが、左程気にも留めなかった。 ②の文章をそのまま引用するのは控えるが、③は以下のようになっている。 四畳半の部屋に帰ってから、昨日の事を想って見る。あれが性欲の満足であったか。恋愛の成就はあんな事に到達するに過ぎないのであるか。馬鹿々々しいと思う。それと同時に僕は意外にも悔という程のものを感じない。良心の呵責という程のものを覚えない。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2013-05-11 17:06
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