書聖 王羲之 ＠東京国立博物館

　これは昨日のこと。西美で初日の「企画展　ラファエロ」と「小企画展　風景」を見て、「すいれん」でランチを済ませ、東博の最終日前日の「王羲之展」に回った。　ちょうど昼時だったせいか行列はなく、スムースに入場できたが、場内は大混雑。年配者だけでなく、若い方も多かったのは意外だった。

　このような混雑状態では、見たいものを絞ってそれに集中していくしかない。

　序章「王羲之の資料」には、国宝《世説新書巻第六巻》唐時代が2点出ていたがパス。

　第1章「王羲之の書の実像」では、以前にも見たことのある《楽毅論》、《十七帖》、《淳化閣帖》、《快雪時晴帖》、《秋萩帖》などを横目に見ながら、お目当ての《行穣帖》プリンストン大学付属美術館蔵の行列に並び、時間をかけて観た。　「足下行穣　九人還　示應決不　大都当佳」

　大意は「現地を見て帰ってきたきた9人の報告をもとに、おおよその対応を考えてみましたが、これで宜しいでしょうか」ということらしい。

　なお、「示」という文字については、「意」や「哀」との見解もあるとのことである。

　これに並んでいたのが昭和48年に発見された《妹至帖》（↓左）とごく最近発見された《大報帖》（↓右）。両者は字体が酷似している。　前者は「妹至羸　情地難遣　憂之可言　須旦夕營視之」。

　これは「妹は体が弱いから、大変心配しています。朝な夕なに見てやってください」との意味。

　後者は「（便）大報期転呈也　知不快　当由情感如佳　吾日弊　為爾解日耳」。

　これは「大に関する 知らせが期からきました。ご不快のご様子。心の赴くままに過ごされるのがよろしいかと存じます。毎日あなたのことを心配いています」と意味らしい。

　第2章「さまざまな蘭亭序」では、《蘭亭図巻》が3点出ていた。↓はそのうちの「万暦本」。会場にはこれの動画が出ていたが、見ていると眩暈がしてきた。　第3章は「王羲之書法の受容と展開」。

　ここには、智栄の国宝《真相千次文》、米ふつの《行書虹県詩巻》、高宗の国宝《楷書徽宗文集序巻》の他、虞世南、欧陽詢、楮遂良、孫過庭、蘇軾、黄庭堅、文徴明、董其昌、王鐸、趙之謙、呉昌碩などのなじみの書が出ていたが、さらりと見るだけにした。

　一階に下りてくると、エスカレーターの前に大行列。最終日の本日はもっと混んでいることだろう。

美術散歩　管理人　とら